あらすじ
幸福は二つの次元から成立する。一つは、生きるための基本的物財の確保、言論、集会、行動その他の自由、そして、諸権利の平等の実現である。これを可能にしうる社会構造がデモクラシーであり、それは古代ギリシア人の創造に始まり、現代においても、歴史を動かしている起動力である。他は、心の安らぎであり、それは、偶然と運命に翻弄される人間が、存在の根源に帰ることにより、達せられる。現代が直面している問題を、ギリシア哲学が切り開いた視野から考える。
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Posted by ブクログ
ギリシア哲学を主に研究してきた著者が、各種雑誌に寄せた文や講演録を集めたもの。講演をもとにした第1章は散漫、第6章・第7章は本のタイトルにはそぐわない。しかし、ギリシア思想に限らずハイデガーの思想等について、こういう手頃な説明の仕方があったか、と思わせるような表現が各所にあり、参考になった。
Posted by ブクログ
結構なレビューにあるが、タイトルの「ギリシャ哲学入門」はやめた方がいい。全く入門書になっておらず、著者の人生論が結構な濃度でつづられている。個人的にはタイトルと内容とのギャップに戸惑いつつも、内容は良かった。プラトンとアリストテレスの共同体論の差異なんかもわかりやすかった。
アリストテレスが終わったあたりからいよいよ人生論が強まり、最後は宗教に帰結していくが、語り口が新約聖書学者の八木誠一に似てると思ったら、最後に八木を登場させて、自身の思想と類似している人物として紹介していた。私は基本的にはこの書に関しては好感を覚える。しかし現代においてこのような教師然とした「べき論」はどれくらい力を持つのだろうか。ほとんど古臭く捨てられてしまうのではないか。じっと考える。
17.3.21