岩田靖夫のレビュー一覧
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岩波ジュニア新書 学生時代に勉強せず、中高年から読書に目覚めた 私としては体系が学べる有り難い本
岩田靖夫 「 ヨーロッパ思想入門 」 ヨーロッパ思想全体を一望できる。ギリシア思想、ヘブライ信仰に始まり、西洋哲学につながる思想体系が うまく まとまっている
個々の思想の特性を体系の中で 繋げながら読むと 理解度が深まる。西洋哲学の存在論に何の意義があるのか疑問だったが、だいぶ 誤解がなくなった
エピクロスやストア派も含めた ギリシア思想体系や ロールズの正義論は もう少し 詳しい本を 読んでみたい
ヨーロッパ思想の基礎=ギリシア思想+ヘブライ信仰
*ギリシア思想=人間の自由と平等の自 -
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いや、この、「岩波ジュニア新書」には、ジュニア向けだからと侮れない良書があることは以前から指摘していますが、この本はその1つでした。
「ヨーロッパ思想は、本質的に、ギリシアの思想とヘブライの信仰という二つの基調音をめぐって展開される変奏曲である。」と喝破し、その両者を1部と2部で概観し、第3部では、「2000年に及ぶヨーロッパ哲学の絢爛たるシンフォニーから取り出された、この基調音の変奏のささやかな数節である」と言いながら、アウグスティヌス・中世のキリスト教哲学から始まり、デカルト、カントらいわゆる理性主義、ロックらの社会哲学、キルケゴール、ニーチェ、ハイデガーらの実存の哲学といった系譜とその思 -
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第1部 ギリシアの思想
第2部 ヘブライの信仰
第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ
という構成で、ギリシア思想とユダヤ教・キリスト教をベースとしてヨーロッパ哲学がどのように発展してきたかを概観した本。
「入門」とはいうものの、聖書や哲学に関して多少の知識があったほうが読みやすいと思う。
特に哲学については、専門用語が説明無しにいきなり出てくることもあるので、私は調べながら読み進めた。
ギリシア神話や聖書における超常的な出来事(イエスの復活など)に対して、現代的・現実的な解釈をしている点が面白い。
全体的に断定調で書かれているためか、どこまでがその箇所で言及している人物の主張で、どこからが著者 -
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本書はヨーロッパ思想について基礎的な知識を得られる入門書です。この1冊で西洋哲学を概観することができます。
西洋哲学は「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」、この2つの源流から成り立っており、この2つを理解せずして西洋哲学を学ぶことはできないと著者は述べています。
なるほど、ニーチェ、ヘーゲル、カント、デカルト、ハイデガー、有名な哲学者はたくさんおり、彼らの偉大な思想、理論の土台には、ギリシアの思想とヘブライの信仰があったとは、とても有益な学びでしたし、西洋哲学を学ぶ際、まずおさえておかなければならない部分だと思いました。
本書は、あくまで西洋哲学の流れを概観できるにとどまり、西洋哲学を -
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「ヨーロッパ思想を学ぼう!」と思い立った偏差値60位の高校に通ってる学生が居たとして、彼らが初めの1冊としてこの本を選んだとする。おそらく21p目位で本を閉じるだろうね。
本書はある程度の知識がないと断片的にしか理解出来ない。
岩波ジュニアは本当の初学者向けなイメージだったんだけどなあ。東大院卒の哲学家様は私みたいなバカはお呼びじゃないんだろうね、、、
何はともあれ、今まで断片的に学んできた西洋思想が頭の中で纏まった気がする。
哲学思想を解説する時も本文から引用して、該当する箇所を分かりやすく現代語訳してくれている。今後その古典作品を実際に読む場面があれば、より深く理解出来ると思う。
私 -
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1.この本を一言で表すと?
ヨーロッパ哲学の大まかな流れや進化に焦点をあてて全体を把握できる本。
2.よかった点を3~5つ
・ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である(はじめに)
→はじめにを読めば本書のおおよその内容がわかるとても親切な内容。
・キリスト教の解説
→十字架、愛と赦し、律法主義の否定、はわかりやすい説明だった
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・第3部はヨーロッパの哲学者を何人か紹介するというもので、あまり興味を持てなかった。
・入門と言う割には前提として必要な知識が多すぎるような気がする。
・キリスト教はよくわかったが、ユダ -
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岩田靖夫(1932~2015年)は、古代ギリシャ哲学を専門とする元・仙台白百合女子大学名誉教授で、文化功労者(2003年)。
本書は、1992~2005年に、仙台白百合女子大学、清泉女子大学、聖心女子大学で行われた講演や様々な学会等での発表の中から、「よく生きる」というテーマに関わりのあるものを集め、2005年に出版されたものである。
私は、10年ほど前に購入して、読み止しであったが、先日、渡辺和子さんの回想録を読んだこともあり、今般通読してみた。
著者の根本理念は、自らを「ソクラテスの弟子の端くれ」というように、『クリトン』にある「もっとも大切にしなければならないことは、生きることではなくて -
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結構なレビューにあるが、タイトルの「ギリシャ哲学入門」はやめた方がいい。全く入門書になっておらず、著者の人生論が結構な濃度でつづられている。個人的にはタイトルと内容とのギャップに戸惑いつつも、内容は良かった。プラトンとアリストテレスの共同体論の差異なんかもわかりやすかった。
アリストテレスが終わったあたりからいよいよ人生論が強まり、最後は宗教に帰結していくが、語り口が新約聖書学者の八木誠一に似てると思ったら、最後に八木を登場させて、自身の思想と類似している人物として紹介していた。私は基本的にはこの書に関しては好感を覚える。しかし現代においてこのような教師然とした「べき論」はどれくらい力を持つ -
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著者がおこなった講演や研究発表の中から、「よく生きる」という問題に関するものを13編収録している。やさしい語り口だが、扱われている問題はきわめて本質的だと思う。
自分がもって生まれた能力を可能な限り展開させて生きてゆくこと、すなわち「自己実現」は、人間の生にとって重要な意味を持っている。だが、このことは人間が「生きること」の半分にすぎない。あとの半分は、他者との交わりのうちにある。自分を強くして、自分を守って、自分が傷つかないようにいつも用心していると、人は孤独になる。自分の「傷つきやすさ」(vulnérabilité)を他者にさらすとき、はじめて本当の意味での他者との交わりが開かれる。