石井妙子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
原節子。
日本人離れした美貌、きりりとした佇まいから、「永遠の処女」と呼ばれた、昭和を代表する美人女優である。
小津安二郎の紀子三部作を始め、112本の映画に出演。燦然と輝くキャリアを持ちながら、42歳という働き盛りに引退し、銀幕から、いや世間からも身を隠し、半世紀もの間、隠遁生活を送った。2015年の逝去すら公表されたのは2ヶ月経った後だった。
本書はこの原節子の真の姿に迫ろうとする評伝である。
50余年、世間との関わりを断っていた人物の素顔に迫るのは容易ではない。著者は原の評伝を書くことを伝えようと、何度か自宅を訪ねている。だが、生前、一度も面会することができなかった。
時には藪の中をさ -
Posted by ブクログ
ホラー小説、にしか見えない
本人の弁が特にあるわけでもないし、都民でもないので完全に読み物として
と思っていたのだがどうやら、単行本出版とこの文庫化時に取材を申し込んだが応じなかったらしいので、よりホラー度が増した
単行本時仮名だった人が実名に変わっており
リスクまで取って書いているのに怒るわけでもなく
取材に応じるわけでもなく
はたまたメディアの反応もなく
ホラーとしてしか…
僕個人は唯一コロナ真っ只中で次々と謎の造語を作り出して発信していた時だけ、天冥の標2巻がフラッシュバックし救世軍と対する勢力だーと1人SFしていた
発信力自体は素晴らしいと思うけどね
普通に読み物として面白かった( -
Posted by ブクログ
ネタバレもしここに描かれていることが全て本当なら、恐るべきホラーだと思う。
美内すずえあたりに漫画化してほし…いや、『ガラスの仮面』の続きを早く。
上昇志向が強くて、権力者に近づいては、大ぶろしきを広げすぎて失敗する。
そんな父親に振り回された少女時代。
芦屋に住んでいれば皆お嬢様というわけでもないだろうに、レッテルを貼ってしまえば疑うことのない日本人の特性(?)を逆手にとって、お嬢様で通す。
カイロ大学に籍を置いたという事実だけで、首席で卒業したと触れ回る。
気づくと周囲に迷惑をかけ通しだった父親と同じ生き方をしている。
笑顔で近づき、権力者に引き立ててもらう。
利用価値があるうちは横にべった -
Posted by ブクログ
学歴詐称疑惑が最近また話題になっていたので、気になり読んでみました。
書かれてあることが本当だとしたら、小池百合子さんはある意味凄い。サイコパス。こんなにも嘘を塗り重ね、信条の無い中でも国会議員や都知事ができてしまうという日本の政治とマスメディアに怖さを感じます。
学生時代に多少遊んでいても、その後しっかり仕事をする人もいます。ただ、小池さんはこの本を通して政治家の仕事ぶりを読んでみても、政治を任せてはいけない人なのではないかと思いました。環境大臣時代の水俣病やアスベスト問題との向き合い方、都知事になってからの豊洲移転問題やオリンピックの問題、コロナの対応など、とても適切な仕事をしたとは思えず -
Posted by ブクログ
キャスターから国会議員へ転身、大臣、さらには都知事へと、権力の階段を駆け上ってきた小池百合子。しかしその半生には、数多くの謎が存在する。「芦屋令嬢」時代、父親との複雑な関係、カイロ留学時代の重大疑惑――彼女は一体、何者なのか?徹底した取材に基づき、権力とメディアの恐るべき共犯関係を暴いた、衝撃のノンフィクション!
いやーびっくりするような話で、政治家って多かれ少なかれ嘘があると思うんだけど、もしこの本の内容が全て正しかったらマジで小池百合子すごいなと思っちゃう。ここまで堂々とバレないって一種の才能じゃないかね。もちろん嘘は良くないけど、正直日本国民やマスメディアにこの嘘を見破れる人は少なくてみ -
Posted by ブクログ
世間をガヤガヤさせている文春砲の威力か。こっわ。
しかもメガ粒子砲クラス(古い)の長編ルポ。私は免疫がないので0.3掛けで読んだけど、それでも途中から「これ小説?」と思わずにいられない破廉恥な内容だった。
小池百合子はただの尻軽パリピ?と信じてしまう。
仮にそうだとしても、小池氏を当選させたのは市民だし、そう仕向けて煽りまくったのはマスコミ。本文中の証言からも窺える。マスコミの急先鋒である文春は一体なにを問題として取り上げたかったのか。小池個人を叩いて目先の売り上げを出したい、ようにも映る。
文春流ジャーナリズムは、何かを良くしようとする気はなさそう。それは、やってることが小池さんと大差ない -
Posted by ブクログ
映画『MINAMATA』をきっかけに読んだ。映画より本のほうがあとに書かれているが、取材は14年以上前まで遡る。アイリーンとユージン、それぞれの個人史や水俣病前史まで、映画の時間軸よりずっと長く書かれている。アイリーンの家族の歴史もかなり遡って掘り下げられていて、それだけで一遍の映画ができそうだ。
映画がどこを脚色しているかも、ある程度わかる。アイリーンとユージンの結婚までのいきさつはほぼフィクション。暗室の火事もたぶんフィクション。一方で、ユージンがチッソで受けた暴行は、映像より実際のほうが過酷だ。少しショックだったのは“水俣のピエタ”と呼ばれた有名な写真は、被写体家族の意思に反して使われ -
Posted by ブクログ
最近のゆとり世代は原節子の写真を見ても恐らく誰かは分からないのであろう。全く嘆かわしい。原節子の写真を見てぱっと誰かを認識できないような人間は、リベラルアーツの欠片もないということであり、「(とても)若き老害」、「中道左派の保守主義者」を自称する私としては、文科省の教育プログラムの再考を促したいところである。
さて、国民的女優として銀幕を舞台に活躍しながらも、42歳で引退した後、半世紀もの間、沈黙を貫いた名女優、原節子。本書は、第15回新潮ノンフィクション賞を受賞した、原節子の生涯を巡るノンフィクションであり、女優という仕事に対するプロフェッショナリズムの高さを痛感できる一冊である。
本書 -
Posted by ブクログ
石井妙子(1969年~)氏は、白百合女子大学文学部卒、同大学院修士課程修了のノンフィクション作家。新潮ドキュメント賞(2016年)、『女帝 小池百合子』で大宅壮一ノンフィクション賞(2021年)を受賞。
本書は、小池百合子氏が、TVキャスターから政治の世界に入り、男性社会に在りながら常に「風」を巻き起こし、国会議員から大臣、更には東京都知事へと権力の階段を駆け上がり、女性初の総理大臣候補と言われるまでになった半生と、そこにつきまとう疑惑について、100人を超える関係者の証言と、3年半に亘る取材のもとに描いたものである。そこでは、「芦屋令嬢」、破天荒な父の存在、カイロ留学時代等、これまで表に出る