戸板康二のレビュー一覧

  • 劇場の迷子

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    もうここまで来るとミステリではないとも思うんだが、ラストのどんでんが趣があって思わず笑ってしまう。なんだかこの頃私は感激した時に笑ってしまうのだ。泣き笑いといってもいい。とりわけおとむじりのラストは素晴らしい。

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    2020年02月18日
  • グリーン車の子供

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    初期の殺人ものよりも、この辺りの役者の日常の謎のが確かに面白い。特に三人目の権八が良かった。ひかりこだま問題は、今ならひかりが小田原に止まるからそうすればいい。しかし今はビュッフェがないな。

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    2020年01月24日
  • 團十郎切腹事件

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    歌舞伎座改築中に寂しくなって全集を少しずつ再読してました。
    もともと歌舞伎に興味があって探偵小説好きな自分には手放せないシリーズです。

    歌舞伎役者中村雅楽の粋で上品ななたたずまい、大好きです。
    正統派で読後感がすっきりしている話が多いので個人的には何篇でも読める自信があります(笑)
    表題作を初めて読んだ時は昔の探偵小説家の巧さ・深さをひしひしと感じました。

    昨年四月から再び歌舞伎座で芝居を見られるようになりましたが、今後も雅楽所縁の演目を見る度にニヤリとしてしまいそうです。

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    2014年04月06日
  • 丸本歌舞伎

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    丸本歌舞伎は、著者が命名したもので、人形浄瑠璃の台本をもとに歌舞伎で演じた演目群の総称である。今では、歌舞伎の演目の主流にまでなっている。その経緯、演出上の特徴等を論じた総論と、「菅原伝授手習鑑」など十の作品を読み解く各論から成っている。著者の常識としている知識が此方に無いため、肝心のなぜ丸本歌舞伎が歌舞伎の主流になったかは、よく理解できなかったが、各論は、具体的で今後の歌舞伎鑑賞の手引きになると思う。昭和23年刊行だが、古さを感じさせない名著である。

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    2012年04月02日
  • 劇場の迷子

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    中村雅楽老シリーズ4作目。恋愛模様を描いた短編が多かったように感じました。シリーズの初めからのおなじみ竹野さん、江川刑事に加えて、関寺真知子という若くて美しくてお行儀の良い雅楽老お気に入りの登場人物も加わり、若くて様子のいいお嬢さんが大好き、という、歌舞伎界の重鎮の雅楽の弱点というか茶目っ気というようなところが描かれていて微笑ましいです。特に「おとむじり」という聞き慣れない言葉がタイトルになった作品が、味わい深かったです。

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    2009年10月07日
  • グリーン車の子供

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    雅楽が活躍するシリーズ2作品目。本当に安心して読めるすこぶる上質のミステリ。とはいえときどきどきりとするような毒も入ってはいます。表題のグリーン車の子供、は、タイトルを受賞した作品らしくバランス良くまとまった作品。細部にあまりこだわらない私はまったく気になりませんでしたが(むしろ気づきませんでしたが)巻末の解説による、新幹線<ひかり>と<こだま>の話なども、興味深かったです。

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    2009年10月07日
  • 團十郎切腹事件

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    これぞコージーミステリ。本当に上品で、でも甘くなくシビアで、しっかりと読ませる短編連作。老成した歌舞伎俳優から聞き書きをして記事を書いている東都新聞の芸能記者竹野を狂言回しに据えて中村雅楽という架空の歌舞伎役者を主役にした珠玉の連作ミステリ。殺人事件もなかにはありますがそれよりも日常の恋愛沙汰のもつれだったりライバルの人気のあるのを妬んだいたずらだったりと、そういう細かい謎を鮮やかに、さらになぞ解きの際の当事者たちの気まずい思いを最小限に押さえながらさばいてゆく手並みは本当にスッキリと育ちの良い感じで、読むと身になる感じがします。文庫だと片手で持って読むのに少々重たいですが、とても面白かったで

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    2009年10月07日
  • 松風の記憶

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    後年の人の死なない短篇群を先に読んでいたから、ことに若い人が死ぬ話は辛い。それだけ人間がよく書けているということでもあるのだろうが。

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    2020年02月25日
  • 團十郎切腹事件

    購入済み

    おすすめです

    短編集ですが、1話ごとに読み応えがあり面白かったです!
    歌舞伎の基礎知識があれば、もっと楽しめたんだろうなあ…
    歌舞伎とミステリ、どちらもバランスよく楽しめる良作です。

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    2019年11月22日
  • 團十郎切腹事件

    購入済み

    歌舞伎のお勉強も一緒に

    ミステリーとして面白かっただけでなく、歌舞伎の演目についてお勉強になりました。
    少し前に書かれたものですが、鮮やかに楽しめました。

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    2019年05月26日
  • グリーン車の子供

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    え~それほどのものかな?というのが「グリーン車の子供」を読み終えた感想。それよりももっと面白い短編が雅楽シリーズの中には幾つもある。歌舞伎や義太夫の演目の中で知らなかったものや、その基になった作品や故事を調べながら読むのも結構楽しい。

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    2017年12月28日
  • 團十郎切腹事件

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    「グリーン車の子供」が読みたくて雅楽シリーズを読み始めた。かなり面白い。しかしそれは推理や探偵物としての面白さではなく歌舞伎や義太夫など、毎回取り上げられるネタと蘊蓄がとても興味深く面白いのだ。切っ掛けはともかく、雅楽シリーズはアタリだった。

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    2017年12月28日
  • 劇場の迷子

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    鷹揚な「千駄ヶ谷の小父さん」が、意外な〝童心〟をのぞかせる「中村雅楽探偵全集」第4巻。77年から91年にかけて発表された28篇が収録されており、これで「中村雅楽」が登場する短編はすべて出尽くしたことになる。

    事件は、劇場やその近辺に生じるいわゆる「日常の謎」がすべて。血なまぐさい殺人などいっさい起こらない。戸板康二の関心は、劇的な事件そのもよりも、歌舞伎役者ら劇を演ずる人間の心の内側のドラマに迫ることにあったのかもしれない。

    この第4巻であたらしいのは、若き編集者「関寺真知子」がひんぱんに登場し、中村雅楽にさまざまな影響をあたえるところ。わずか3ページ強で、二人の役者が重ねてきた長い歳月を

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    2013年10月21日
  • 目黒の狂女

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    人間のよさ。戸板康二が描く「中村雅楽」という人物の魅力をひとことで言えば、そういうことになるのではないか。

    鋭い観察力と洞察力とで身の回りに起こる「面白い」事件(「日常の謎」と言ってもいいが)を鮮やかに解決しながらも、そこにはいつも人間のあたたかい血の流れが感じられるのだ。それは、主人公「中村雅楽」が歌舞伎役者(しかも名門の出ではない)として人生の大部分を劇場で過ごしてきたことと無関係ではないだろう。役者はひとりでは生きられない。相方や脇役、裏方としてはたらくたくさんの人々、そして劇場に足を運ぶ観客がいてはじめて、舞台の上でスポットライトを浴びることができる。雅楽の、事件の当事者に対する慈愛

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    2013年06月11日
  • 團十郎切腹事件

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    昭和30年代、ベテラン歌舞伎役者の雅楽が探偵役。
    推理はするが犯人と直接対決で追い詰めたりせず、犯人を当てるだけで、あとから犯人の自白を伝え聞く、というような話が多く、穏やかな雰囲気の事件譚で、江戸前の洒落た老優がかっこよかった。

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    2013年06月09日
  • 團十郎切腹事件

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    何より登場する人物のキャラクターがいいし、まさに古き良きを感じさせる短編集だった。
    大掛かりなトリックや、目立った驚きは無いものの、一気に謎が解明される様はやっぱり名探偵だ。

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    2013年05月18日
  • 團十郎切腹事件

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    歌舞伎役者「中村雅楽」が、不可解な事件の《なぞ》を解く人気シリーズ。老優・雅楽のたたずまいがとにもかくにも魅力的で、つい手に取ってしまう。

    この第一巻に収められているのは、江戸川乱歩の後押しで世に出ることになった「車引殺人事件」をはじめ、初期に書かれた18の短編。なかには、第42回直木賞を受賞した表題作「團十郎切腹事件」も含まれる。これは、ナゾの自殺を遂げた八代目市川團十郎の有名な事件を、およそ百年後に「中村雅楽」がなぞ解きするというもの。若い時分に耳にした知人の昔話をきっかけに、次第に切れ味を増してゆく「雅楽」の推理に圧倒されるが、じつはこれ、ジョセフィン・テイの古典『時の娘』への秀逸なト

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    2013年01月14日
  • グリーン車の子供

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    老優「中村雅楽」が、非凡な観察力と推理によって身の回りに起こる「日常の謎」の数々を見事解決してゆく短編集。ひとつひとつの事件よりも、読者は、歌舞伎界の重鎮にして名伯楽である主人公のたたずまいに魅了される。トリック以上に、「芸」の世界に生きるひとびとの「業」を描いた物語の巧みさに感心した。

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    2012年11月13日
  • グリーン車の子供

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    老歌舞伎俳優・中村雅楽の探偵譚全集の第二巻。殺人などの派手目な事件が減り、日常の謎系の事件中心に。個人的にはコッチの作風の方が好み。お気に入りは表題作「グリーン車の子供」かな。

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    2012年05月24日
  • 團十郎切腹事件

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    老歌舞伎俳優・中村雅楽の探偵譚全集の第一巻。オーソドックスなつくりのミステリながら、扱う事件が多種多様でバラエティに富んだ内容。謎解きそのものもよりも、人情味あふれる雅楽のキャラクターや、かいま見える梨園の舞台裏が読みどころかな。江戸川乱歩のコメンタリーや小泉喜美子の解説が併録されているのも嬉しいね。

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    2012年05月19日