森生明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026/06/18 「会社の値段」森生明 ☆
戦後の発展を支えた間接金融主導体制が停滞をもたらしている
⇒リスク回避の金融体制をリスクテイクの株式資本主義体制へ改革
これはかってない日本経済の本質論 旧大蔵省の牙城崩す
岸田文雄総理大臣のNISA改革は大成果 誰も触れない
Cf近著「野村證券消滅」とテーマが重なる 本書がレベル高い
1.株式の本質はリスクマネー⇒資本主義経済のダイナミズムを実現
戦後日本は「復興」にむけて「資本の集約と集中投資」が求められ
それを支えたのは「銀行主導の間接金融体制」
間接金融はリスクマネーではない「預金は元本保証が基本」
間接金融は安全第一・リスクヘッジ=不動産担保融資を拡大
株式資本主義へ脱皮できず、不動産融資の拡大=バブル経済へ
その後、長い停滞期
⇒リスクマネーを提供し、「挑戦する風土」を創る exNISA改革
2.企業価値(EV Enterprise Value)
=企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの割引現在価値
①将来キャッシュフローの算定
②割引率の選定
=株式時価総額+ネット有利子負債
*株式時価総額=簿価純資産+「のれん」→企業価値の本質
米国企業はのれんが8割、日本企業は3割
「のれん」の重要性
PBR=時価総額÷純資産
=PER×ROE
未来の価値予想×足元の利益実績
3.会社の値段
PER=株価÷一株利益(EPS)=株式時価総額÷当期利益
会社の値段=当期利益×PER
PER20倍はその逆数である成長率5%と同意
4.M&Aの本質=企業価値を巡る経営力の争い(216)
どちらの経営力が「より大きな価値創造」をもたらすか
公明正大な取引 経営計画・主張が明確
①株主価値を最も引き上げるのは誰か
②誰に経営を任せるのがより株主に利益となるか
[感想]
企業財務から見た「企業経営」大変勉強になった
⇒日本の経営者はもっと経営と財務を勉強すべき
MBAファイナンスの基礎、米国経営者には当たり前の知見だが、日本の経営者は学ぶ機会がほとんどない。文理を問わず大学の一般教養で、「簿記とファイナンス」は必須にすべきと思う。グローバル経済下で戦えない。 -
Posted by ブクログ
「会社の買収」についてなんとなく物騒なことだというイメージだけ持っていましたが、この本を読むとだいぶイメージが変わりました。
株式会社という仕組みが、社会を変える意欲を持った起業家を支援するとともに、それを支援したいパトロンのハードルを下げる役割があり、世の中に活力をもたらすための枠組みとのこと。
ハゲタカファンドがやっている(悪い)買収の意味もよくわかり、そういった外国のファンドに狙われないためにも正しい株価にしておくことが必要で、会社はその成果を正しく株主にアピールする活動が必要ということがよくわかりました。
会社に値段をつけることが正しいか正しくないかではなく、それを正しく算定しておくことが(今の米国ルールにのっとってグローバル社会で生きていくには)大切ですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ企業価値評価の世界ではバイブル的な位置付けの本。
M&Aの際に投資銀行が行うバリュエーションの実務や考え方のエッセンスが濃密に詰め込まれていて、噂に違わぬ良著だと感じた。
筆者があとがきに「なるべく素朴で原理的な質問を掲げ、普通に読んで納得のいく説明をすることを心がけた」「この本の内容が資本主義や米国流「なるほど」と理解され」と書いているとおり、ファイナンス入門書では手が届かないような細かなポイントまで抑えられており、コーポレートファイナンスはもちろん、資本主義経済そのものに関わる感覚が磨かれる一冊。
以下学びメモ
・指標の関係性
EBITDA=EBIT(営業利益)+減価償却費
NOPAT=税引後営業利益
企業価値PV=c/(r-g) c:収益力, r:資本コスト, g:成長性
※経営の目的はPVの最大化(会社は株主のものという発想に立てば特に)なので、rを小さく、gを大きく
PER=時価総額÷税引後利益
PBR=時価総額÷簿価純資産
資本+時価評価替による資産額+のれん=時価総額(株価×株数)=市場の期待値
※ここにはネットデットは含まれない(=借金をして得たお金はカウントしない)
・企業価値計算のリアル
各数値は教科書どおりには決められず、実務的には感覚。投資家の信頼を背に実績と信用を積み上げた投資銀行の手数料が高いのは、ある種当たり前と感じた。
・LBOの直感的な理解
買収先の株を担保にして大きな額のお金を借りる→それをもとにM&A→金利払いが大きくなる分の税金抑制効果も働く→経営の合理化→数年後に企業価値を維持して売り抜ければ、元手に対して高い利回りが実現できる。
・ベンチャーの時価総額が乱高下する理由
ベンチャーのPVが急に上がる理由は、gの期待が一気に上がるからであり、cが高くなったわけではない。ゆえに市場の期待度が下がった瞬間にPVも暴落することになる。
・バリュエーションにおいてなぜEBITDAが重要なのか
EBITDAは上記の通り、会社の財務構成にかかわらず、事業活動そのものが生み出すキャッシュの金額を表している。M&Aにおいて、金利額や税金額、償却額などは買収側の財務施策によってある程度コントロールが可能であることから、価格算定にはむしろ純粋な「稼ぐ力」であるEBITDAを指標とする方が理にかなっているため。
ちなみにバリュエーションの際にEBITDA倍率を使う際も、その分母はネットデットを含む企業総価値(≠時価総額)としなければならない理由もここにある。稼ぐ力であるEBIDAと比較するのは、財務構成が反映された時価総額ではなく、財務構成は反映しない企業総価値と比べるべき。
→むしろ、この企業価値を財務施策の改善等によってさらに高められそうであるならば買収の余地があることになる。ブルドッグソースの例とかがそう。
・経営本部が担うべき機能
経営企画:cとgを上げる。事業計画を練ってその進捗をモニターする
人事:cとgを上げる。人的資源配置や働くインセンティブの付与
財務:rを下げる。資本コストを絶えずチェックして効率化
IR:rを下げる。市場参加者が感じるリスクを下げて資本コストを圧縮する
コーポレートガバナンス:c,r,gが適切に動いているかをチェックする
・大企業の経営が傾く典型例
技術発展等、なんらかの脅威が市場に噴出→対策を取らざるを得ない→その中で長年の成長の影に隠れた問題点が露呈→とともに対策により従業員に窮屈が強いられる→問題意識の高い人材が離脱→人材流出により危機感が拡大→状況はさらに悪化
DXが起きた際の銀行などは特にこのイメージ -
Posted by ブクログ
今の自分にとっては、いろいろ整理するのにちょうどいい読みごたえの本
後半に進むにつれて、うなずく内容が増える。MAのとことか。
リアルオプションのとこはちょっと高尚すぎて中小企業では使わない。
P24 「借金が多いほうが企業価値が高くなる」というのは、企業価値をグローバル定義のEVと同じものと考える限り、そのとおり。
⇒のれん価値を含めての企業価値を創造するにあたり、資金の調達方法は借金でも出資金でも構わない。
「借金が多いほうが株主価値が低くなる」もそのとおり。
P49 つまり、PERは(r-g)の逆数であることがわかる。
P159 DCFが重用されているのは、「あなたが買収したらどんな素敵な会社に変貌させられるか」を具体的に描いて企業価値に反映するツールとして便利だからだ、
P160 今の経営陣がそのまま経営を続ける純投資型の買収や資本参加であれば、現状の中長期計画を使えばよいし、企業価値算定にDCFをつかうまでもなく、倍率で十分かも(ただ、「なぜ買うの?」と突っ込みたくなるが)
P170 なぜプレミアムを払う必要があるのか?よく考えてみればおかしな話。
企業価値は誰が経営するかによって異なる。買う側が運営するほうが高いからMAする、その価格を売り手に払ったら、払いすぎになるだろう
~会社を売って「あとは頑張ってください」といって立ち去る株主にプレミアムを受け取る権利があるという主張は理解に苦しむ。
「あなたが買収して経営したとき、どんな素晴らしい会社にできるか次第です」支配権プレミアムの根拠は、買収者が自分の好きなように経営する「自由」を手に入れるための代償であり、わかりやすく表現すれば、それは現株主への「立ち退き料」だ。
P177 アーンアウトは。
①売り手株主と経営陣が一体
②その経営陣に当面経営を任せて口出ししない
③買い手がシナジーを描くのに時間がかかる
④買い手と売り手の間に信頼感がある -
Posted by ブクログ
『「和をもって貴しとする」だけでは済まない世の中は、持つ者と持たざる者の格差を広げ、不安、不満、開き直りを助長する。その苛立ちは暴動やテロにつながり、社会をますます不安定にする。
このような時代に強くたくましく前向きに生きていく人たちを育むには、どういう社会をつくればよいか?
「そのカギはバリュエーションにある」
と言うと、唐突すぎて理解を得られないのだが、
「価値を生むこととカネが儲かることがずれない社会づくりをめざすべき」
と言えば、より共感を得られるだろう。』
志はよく理解できたけれど、本作がそれに成功しているとは思えないが、読み物としては勉強になって楽しめた。
会社の価値とどう向き合うか、リスクをどう捉えて引き受けるのか、総合的に責任ある経営をいかに実現するか、この辺りの問いに対して、価値とリスクと価値算定に向き合う経営の可能性について学ぶことができる作品。
ドラマの「ハゲタカ」を観たくなった。 -
Posted by ブクログ
M&Aなどを行なう時に、いくらで買えば妥当なのか、それを評価する方法が書かれている。
企業価値算定のための基本的な定量的手法を学ぶことができる。
現在価値とその中心部分にあるディスカウントレート、そしてその2つを使った公式として永久還元の定義式という3つの重要なツールについての理解が深まる。
現在価値とは、つまり10年後の100万円と今の100万円はどれほど価値の差があるのか、という考え方である。
ディスカウントレートとは、リスクの程度を、数値化し、金銭的価値の座標軸に取り込むための割引率である。
永久還元とは、毎年永遠に100万円もらえるとしたら、その権利をいくらで買うのが妥当か、ということを判断する手法。
ただし、そこには当然リスクも発生するので、先ほどのディスカウントレートを用いて算出する必要がある。
企業価値ってなに?と何も分からなかった私でも、読み終えるころには、納得!と思える本。 -
Posted by ブクログ
M&Aを行う際、対象企業ははたしていくらの価値があるのかを算出する企業価値評価に関する本
企業の価値を測るものさしとしては時価総額だけでなく、企業のブランド価値、将来にわたって企業が生み出す利益など多岐にわたります。それらを現在価値として示す方法をシンプルにまとめたの本書です。
自分の中では企業価値評価はベールに包まれていたのですっきり理解することができて大変ためになりました。
DCF法を用いた計算方法が中心なのですが、初めて聞くととおぉ!と思うことばかりです。実際に四季報なんかで手に入る少ない情報だけでもずいぶんといろいろなことを分析できるものだと感心してしまいます。
具体的な数字を用いた議論をしているので理解しやすいです。この分野を勉強する初めての1冊として最適ではないでしょうか。
最近、外銀なんかに行く人の話を噂で聞いたりするのですが、インターンなんかの段階ですでに学習済みになっていたりすることを聞くとずいぶんと遅れているなぁと思ってしまいます。USCPAを取得している人なんかもいるみたいです。
有名どころは卒業前までにはしっかり押さえて血肉にしておきたい今日この頃です。