【感想・ネタバレ】会社の値段[新版]のレビュー

あらすじ

ちくま新書の名著が20年ぶりに大アップデート!

世界のトップ50社に、日本企業は1社だけ――
なぜ「御社」の価値は落ち続けたのか?

失われた10年が30年になったその間にも日本の個人金融資産は1400兆円から2000兆円以上に増えました。その富の保有者であるはずの国民の多くは、なぜ豊かさを実感できないのか? この素朴な疑問を考えてゆくと、経済の血液であるお金の循環が滞り、自由資本主義の原点、つまりリスクを取って新しい事業・産業に投資してイノベーションを起こす「アニマル・スピリット」が発揮されにくい30年を日本社会が過ごしてきたからではないかと思い至ります。(本文より)

「企業買収」などと言うと眉を顰める人は多い。しかし、株式会社というものは、そもそも少ない元手で大きな事業を起こすための「会社を売り買いする仕組み」ではなかったか。高品質の製品やサービス、優秀な社員、行き届いたサービス、伝統のブランド、これらの価値を正しく算定する「会社の値段」の考え方を知れば、資本主義システムの本質も、今朝の経済ニュースも腑に落ちる。失われた三〇年を経て、日経平均株価が最高値を更新し、金利のある世界が戻ってくる時代、この一冊で金融リテラシーを高める。

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【目次】
新版の出版にあたり――会社の値段がわかると日本の失われた30年が見えてくる

はじめに

【基礎編】
第1章 なぜ会社に値段をつけるのか
日本人の伝統的会社観/株式会社と資本主義の誕生/公開株式市場への発展/二〇世紀米国の資本主義/日本の資本主義/日本の「失われた三〇年」の根底にあるもの/株式上場もM&Aも中身は同じ/対照的だった東芝と日立/反対者の言い分――マネーゲーム、格差拡大/カネで買えないものはない、でいいのか?/ベンチャー起業家は本当に稼いでいるのか?

第2章 「米国流」の基本ルール――ファイナンス的思考
「米国流」がグローバルスタンダードな理由/投資価値算定の万国共通ツール/永遠に同じキャッシュを生みつづける金融商品の値段/お金の時間価値――現在価値という発想/企業価値算定の原理/リスクを数値化する/最低限覚えておくべき公式

第3章 会社は誰のものなのか?
株主至上主義の紆余曲折/所有と経営の分離から一九六〇年代M&Aブームまで/一九八〇年代以降――株主の逆襲/株主至上主義のベースにある新自由主義/会社の利益は誰のもの?/権利は株主が持っている/ドラッカーはさらに厳しい

第4章 「のれん」の値段は経営者の評価
企業価値と会社の値段の全体像/企業価値の本質/借金が多いほど企業価値が高い?/ブランドや人材の価値は本当に含まれている?/株価から会社の値段を計算する際の落とし穴/企業価値評価とは経営者評価

【応用編】
第5章 会社の値段は誰がどうやって決めるのか?
市場の「声」を聞く/倍率と割引率は同じこと/M&Aではキャッシュフロー倍率/PBRはのれん価値創出力/PBRを改善するには/のれん価値創出力を測るツール/「客観的に正しい企業価値」はあるのか

第6章 M&Aにおける会社の値段
失敗するのは「高すぎる値段で買ったから」/基本は同じ――類似会社・取引を参照する/コングロマリット多角化企業の評価方法も同じ/流動性と隠れた債務/プレミアム算定のためのDCF方式/M&Aの理由をDCFで表現する/プレミアムの源泉は二つ/支配権プレミアムの上限を探る

【実践編】
第7章 日本が追いかけた米国
様変わりしたトップ企業/日本人の資産とインベストメント・チェーン/1980〜90年代の米国株式市場変化/機関投資家の拡大とコーポレートガバナンス/LBO・敵対的M&Aの防衛策/強いアメリカの復活と株主至上主義

第8章 銀行中心時代の終わりとファンド黒船の到来
高度経済成長の終わりからバブル崩壊へ/バブル崩壊から貸し渋り、ハゲタカファンドの登場/事業再生という手法/事業再生と企業スキャンダルのつながり/民事再生法と産業再生機構/新陳代謝が進まないその後の日本/ファンドがサヤ取りで儲ける世界/ファンドが狙う会社・業界はひと目でわかる?/M&Aという出口戦略/日本社会への教訓と課題

第9章 外圧と政府が促した日本企業の構造変革
アベノミクスは変革への基盤整備/インベストメント・チェーンの高度化/贅肉を極限まで削る米国流/やりすぎの米国流と勘違いしがちな日本企業/コングロマリット大企業への構造改革プレッシャー/アクティビストと正面から向き合ったソニー/ファンド株主に翻弄された東芝/グローバル競合に倣いファンドを使って自己変革した日立

第10章 M&A攻防戦に見る日本の変化
敵対的M&Aがなくなる?/ライブドアによるフジテレビ支配権奪取の試み/米国の敵対的M&A合戦――ディズニーの場合/2025年のフジテレビをめぐる攻防/外資からの攻勢へのセブン&アイの対応/ガバナンスの効いた模範的対応?/セブンが海外企業に狙われた理由/日本の株主投資家は温厚すぎる?

最終章 会社の値段を通して見る資本主義とM&Aの未来
「株主が王様」vs.「お客様が神様」/「消費者余剰」社会と「超過利潤(レント)」社会/日米の投資家姿勢は変化したのか/「自分の値段」算定

おわりに

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Posted by ブクログ

2026/06/18 「会社の値段」森生明 ☆
戦後の発展を支えた間接金融主導体制が停滞をもたらしている
⇒リスク回避の金融体制をリスクテイクの株式資本主義体制へ改革
これはかってない日本経済の本質論 旧大蔵省の牙城崩す
岸田文雄総理大臣のNISA改革は大成果 誰も触れない
Cf近著「野村證券消滅」とテーマが重なる 本書がレベル高い
1.株式の本質はリスクマネー⇒資本主義経済のダイナミズムを実現
戦後日本は「復興」にむけて「資本の集約と集中投資」が求められ
それを支えたのは「銀行主導の間接金融体制」
間接金融はリスクマネーではない「預金は元本保証が基本」
間接金融は安全第一・リスクヘッジ=不動産担保融資を拡大
株式資本主義へ脱皮できず、不動産融資の拡大=バブル経済へ
その後、長い停滞期 
⇒リスクマネーを提供し、「挑戦する風土」を創る exNISA改革

2.企業価値(EV Enterprise Value)
=企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの割引現在価値
①将来キャッシュフローの算定
②割引率の選定
=株式時価総額+ネット有利子負債
*株式時価総額=簿価純資産+「のれん」→企業価値の本質
米国企業はのれんが8割、日本企業は3割
「のれん」の重要性
PBR=時価総額÷純資産
   =PER×ROE
    未来の価値予想×足元の利益実績

3.会社の値段
PER=株価÷一株利益(EPS)=株式時価総額÷当期利益
会社の値段=当期利益×PER
PER20倍はその逆数である成長率5%と同意

4.M&Aの本質=企業価値を巡る経営力の争い(216)
どちらの経営力が「より大きな価値創造」をもたらすか 
公明正大な取引 経営計画・主張が明確
①株主価値を最も引き上げるのは誰か
②誰に経営を任せるのがより株主に利益となるか

[感想]
企業財務から見た「企業経営」大変勉強になった
 ⇒日本の経営者はもっと経営と財務を勉強すべき
MBAファイナンスの基礎、米国経営者には当たり前の知見だが、日本の経営者は学ぶ機会がほとんどない。文理を問わず大学の一般教養で、「簿記とファイナンス」は必須にすべきと思う。グローバル経済下で戦えない。

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

昔に読んだ本書の新版という事で再読。森生さんはバリュエーションで分かりやすい本を他でも出されていますが、本書も読み易く分かりやすいです。
最近のセブンやフジメディアの事例も踏まえた記述も盛り込まれてアップデートされており、日本が米国の資本市場にキャッチアップしようとしているものの、依然日本独自のDNAもありガラパゴス状態であるという現状を嘆いています。
米国流の資本主義がベストとは思いませんが、日本が数十年取り残されているのは事実であり、リテラシーを引き継ぎ高めなければなりません。

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2026年06月21日

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