日経アーキテクチュアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ建築DX デジタルトランスフォーメーション (木村駿)
■建設業が抱える3つの時限爆弾
①2024年4月1日適用の時間外労働の上限規制
②職人の高齢化による大量離職問題(14年343万人→25年234万人)
③バブル入社ベテラン技術者の定年退職
→「2024年危機」
建設業の労働生産性の改善をテクノロジーの力で乗り越える。
■建築業のネック
・単品受注生産
・屋外生産
→製造業にはない建設業の特徴
■ゼネコンの取り組み‐オープンイノベーション
・かつては他社より優位に立つための「武器」を自社内・専門化と共同で生み出すことこそが研究開発の目的だった。
→今後は自社だけでは足りない。
・外部パートナーとの協業を本格的に模索
〇竹中工務店:スタートアップ企業との協業 200億円
・ヒーローズ(将棋AIで有名)と建築物の構造設計業務を支援するAIの開発
→建設業界の外からは分かりにくい中核業務のDX化に、スーパーゼネコンと気鋭のAI企業が向き合っている点で画期的
〇大林組:シリコンバレーで建設テックを推進 200億円
・コミュニティーに入りこみ、スタートアップ企業に出資
〇鹿島:鹿島スマート生産ビジョン 500億円
・作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、全てのプロセスをデジタルに
・ダムの施工の全自動化
・異分野とのオープンイノベーション:病院向けサービス
(患者の生態データと院内の音や熱・光データをもとに、空調や照明の自動制御)
・シリコンバレー→スタートアップ出資
・シンガボール→大学・政府とコラボしてより高い付加価値の仕事を獲得狙う
〇清水建設;ベンチャー投資枠100億円
・シリコンバレーと国内ベンチャービジネス部で国内外のベンチャー企業に出資する方針
・500億を投じて江東区に大規模イノベーションセンター建設
〇前田建設
・年間3000社のスタートアップから情報収取。50社に絞り共同研究。
■DXの分野
・スタートアップだけでなく、新材料(1万年の寿命を持つコンクリート開発)など
・AIとビックデータの活用により、仮説と検証の繰り返しを高速化、現実では試しきれない元素の組み合わせを実現可能
・3Kの改善「腰をかがめた状態で夜通し作業する苦汁作業を自動化」
・自立運転ができれば、多少効率が悪くても機会が夜通し作業をし生産性が飛躍的に高まる。
・研究室で考えず、とりあえず作り、建築現場ですぐに検証。失敗を反映。(費用がネック)
■ゼネコン共同戦線 鹿島+竹中工務店 準大手
・2020年1月建設ロボット・IoT技術で異例の協業
・研究開発費用の問題:ゼネコン大手でも200億円ていど、トヨタ1兆1,000億円・スバル1,200億円
→各社がこの懐具合でバラバラにロボット開発するのは効率が悪い
・2020年6月「タワモリ」開発。名古屋の現場のタワークレーンを大阪で遠隔操作
→場所の高速を受けない・時間節約・心身の負荷・安全性・ベテランが横で技能伝承しやすくなる
→各社が共通のプラットフォームで同じロボットを使って工事するようになると、企業をまたいで施工管理のやり方や工法・設計の標準化共通化が進む。
・安藤ハザマ・戸田建設・長谷工コーポレーションもAIによる画像認識を取り入れた背筋検査システムの開発を発表
■建設現場の働きの抜本的見直し
・建設現場で働く人のテレワーク実施率は23%で、全業種の平均より4.6%低い(2020年4月)
→工事進捗管理・情報共有の技術サービスが急速に進化
■□■デジタルツイン■□■
・現実世界を仮想空間にモデル化して活用
・四足歩行ロボットが360度画像記録するクラウドサービスでデジタルツインを手軽に作成
・撮影や記録を自動化することで、1週間で20時間分の単純作業を削減
・現場の手書きメモを事務所に戻って入力などの作業なくなり、データ欠損を防ぎ履歴にも残る。
・仮想空間で劣化や損傷の進み具合も再現できる。
・5Gの活用によりリアルタイムのデータ共有。トンネル工事など危険な作業でも活用可能
・ペッパーに資料を読み込ませておき、新規入場者・新卒にペッパーが教える。技術者の時間が他に活かせる。
→現場に縛られる働き方、3Kから脱却
→建設現場を変える必要
・ロボットで施工しやすいように建設現場のレイアウト、建物自体の形を工夫
■□■3Dプリンター■□■
・急速に実用化、設計の合理化・デザイン性の向上
・強度を保ちながら材料の使用量を極限まで減らす設計可能
・軽量化により運搬クレーンも小型化、基礎工事・地盤改良負担も減る。
・セメントの使用量削減でCO2排出量削減、現地で印刷すれば輸送費削減
・1日中休まず製造可能で、建設コストが下がる。
★→アメリカ「アイコン」小規模な住宅を24時間で建設
・モルタルだけでできた住宅
・発展途上国の低所得者への提供を想定。
・建設コストは約43万円と格安
・地震が少ない地域で住宅を安く素早く整備する手段として注目を集める。
■各国で開発
・中国:世界最高の5階建て集合住宅・長さ26mの歩道橋
・オランダ:橋や住宅
・シンガポール:大学が3Dプリンターに特化した研究所を開設し、建設へ応用
・アラブ首長国連邦:2030年までにドバイの新規建造物の25%を3Dプリンターで建設目標
・大林組:中層住宅であれば耐震性能含めて問題なく製造できる
・大成建設:セメント系の建設・これから数年の取り組み次第で、普及するかどうかが決まる。
■課題
・施工性やコストはまだ在来の後方に分がある。
・耐震性・耐久性も課題がある。
・現場である屋外での作業では環境に合わせて調整する必要があり、地道なデータ蓄積が必要
■□■モジュール建築の隆盛■□■
・シンガポール2019年6月鉄筋コンクリートモジュール建築物として、高さ世界一のツインタワーマンション完成
・モジュール化することで工期短縮
・廃棄物を70%削減
★シンガポール政府のPPVC政策
・国が払い下げる土地に住宅を建てる場合、床面積の65%以上にモジュールにしなければならない決まりがある。
★モジュール建築
・工場での作業が、柱や梁のみか、仕上げまで済ませるか、コンテナを改造するか、によって
プレキャスト構法・プレハブ工法・ユニットハウス・コンテナハウスなど呼び方が変わる
★アフォーダブル住宅
・世界の大都市での課題、邸・中所得者層の住宅難に対応した住宅
→迅速な供給が可能なモジュール建築を活用しようという動きが出ている
★コンテナ建築を手がける「デベロップ」(千葉県市川市)
・コロナや災害時利用を想定したコンテナ型ホテル「レスキューホテル」を医療従事者に提供
・政府・県・クルーズ船会社から出動要請を受けて、3日で50室分を長崎に設置。
・コンテナ内にはベット・ユニットバス・エアコン・冷蔵庫・テレビ・電子レンジも備え付け(キッチンはない)
・デベロップ:「宿泊施設が移動して営業している」という考えのもとで提供しているため、料金は輸送費を除いて通常のホテル1泊分
■建築の「工業化」の変化:建築物が「商品」になる
・モジュール建築を手がけるプレイヤーが急成長を遂げ、従来のゼネコンのプレゼンスが相対的に低下する可能性
・かつてオーダーメイドだった民間航空機業界が、工業化・標準化が進み、欧州のエアバスと米ボーイングの2大企業の台頭に至ったように、
建設業も再編される可能性
→これまで他国への参入障壁となっていた「地域性」が薄れていく。競争激化。
■カテラ
・計画から設計、施工全てを一貫したすべての工程・資材・労務などを一貫して管理
・過去に日本のゼネコンが捨てたビジネスモデルを最新技術で対応
(ゼネコンは元請け-下請けの分業体制になったことで、建設サービスのコモディティ化:付加価値・差別化出来なくなった)
★三菱地所(他計7社)
・総合木材会社「メックインダストリー」を設立
・建築用木材の生産から流通・施工・販売までを新会社が一貫して担うことで中間コストを省き、戸建て住宅を低価格で供給。
・100㎡の平屋を1000万円未満で販売
・戸建て住宅からコンビニ・工場・倉庫への展開も視野に入れている。
■スマートシティ
・10年前:都市レベルでのエネルギー利用の効率化
・現在:エネルギーに限らず、交通・教育・医療・健康・防災・環境までは幅広い分野
→10年前は困難だった現実世界の情報を、きめ細かくリアルタイムに収集する技術が出てきたため
・国土交通省:自治体と民間の連携によるスマートシティ構想を、調査費用やノウハウの提供で支援するモデル事業を展開
〇トヨタ:ウーヴンシティー
・実際に生活をしながら実証実験
・新たなビジネスモデルや価値を生み出して他都市へ水平展開
〇プライムライフテクノロジーズ
・トヨタの取り組むMaasとパナソニックの家電・電池・IoTの事業を掛け合わせた先進的街づくり
〇NTTアーバンソリューションズ
・国内に保有数7000の電話局と1500のオフィスを活用して街づくりをする。
・米国ネバダ州でラスベガス市とスマートシティー化を推進
〇清水建設:豊洲のスマートシティ化
・三井不動産とともにデジタルツインの構築・豊洲全体のスマートシティー化
●鹿島・DH:羽田イノベーションシティ
・モビリティや健康医療などの最先端産業の研究開発拠点
・ライブホール・体験型商業施設で文化産業の支援
・国交省のモデル事業「先行モデルプロジェクト」に選ばれている
・データ利用、BIMのデータをもとに3次元モデル上に表示・自立走行バスのプラットフォームと連動
・天保の混雑・トイレや会議室の空き情報を配信し、利用者のサービス向上
〇中国:アリババ
・リアルタイムの都市データを活用して都市運営の欠陥を修正、公共リソースの全体最適化を図る。
・4000台のカメラで交通の制御
■スマートシティの課題
・プライバシーの問題
(カナダトロントのGoogleの挫折。53億円を投じたが撤退)
・民主主義は売り物ではない、私企業のニーズや利益ではなく、都市のニーズを優先すべきだ、との声
↓
・トヨタ:「人が中心」と繰り返し口にする
・NTT:「我々はデータを囲い込まない」収集したデータをオープンデータとして公開することで選ばれる。
■マネタイズ(収益化)
・新規領域であるスマートシティーの開発・運営で悩ましいのは、マネタイズ(収益化)
・企業が継続的に収益を上げる仕組みを構築することは、街づくりを継続的に進めるうえで欠かせない。
・スマートシティ事業を通じてどのように収益を上げていけばいいか
〇データを活用した都市マネジメントによる不動産収入の拡大
・デジタルサービスによる利便性を高め不動産価値向上
・価値向上でエリアに新たな開発を呼び込み工事の受注にする。
〇スマートシティ・都市マネジメントのノウハウ
・今後はその経験がないと、発注者から選定されない時代がくる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレP88 山梨文化会館 たった8年後に増築って、想定がまちがっていたとしか。
P125 岩手県営体育館 確かにもっと評価されていい。代々木第一体育館のプールはどうなったのか調べたら、使ってないみたい。
P128 若人の広場 さびしい感じ。あったはずのものがなくなっているような感じ。にしては、明るくて複雑な気分。
P136 坂出人工土地 うまく頭の中に浮かんでこないので、ネットで補完しましたよ。
P150 霞が関ビルディング 地味だけど好き。開業当初は展望フロアがあったのだったような。
P160 東京都児童会館とこどもの城を混同しました。
P223 太陽の塔 仮設なのに安定していた。耐久性もあり。
P234 大同生命江坂ビル もこしを連想しました。
P238 中銀カプセルタワービル 見たことあります。異様でした。
P282 最高裁判所 閉鎖性。
P292 アクアポリス 「都市は絶えず滅び再生する」…負け惜しみとしか。汎用性皆無でスクラップ。海の塩害というか腐食能力という自然に勝てなかった証。ただし、技術のトライアルは認めますけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたまに見る日経アーキの中でも気になっていた連載が単行本化された。
著者たちが昭和モダンと呼ぶ建築は1945年から75年にかけて建てられた所謂「モダニズム建築」である。昭和に直せば20年代から40年代までの30年間、日本の復興期~高度成長期を体現する遺産としての側面もあるこれらの建築たちが、今まさに耐用年数を迎えつつあり、「何の話題にもなることなく」ひっそりと壊され始めていることに危機感をもったことが本書の執筆動機とのこと。
一方で「何でも保存すれば言いというものでもない」という著者は「その建物があるうちに少しでも使ってあげるのが大事」と、建築への愛あふれる言葉を述べる。
実際、宮沢の達者すぎるイラストと、磯のこだわり感ある若干こじつけ気味の文章を目にすると、ものすごく現地へ足を運びたくなってくるから不思議だ。
今から東日本編が楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ざっと読んだ。内藤さんのいつもらしいまじめで少し気張ったような口調だけど、雑誌調のまとめかただから読みやすい(そのぶん頭に入ってきにくいかも)。
それにしてもこうみると、平成の建築ってすごい前進?変身?だし、
この三十年にできた建物ばかりが、東京の街の印象を作っていると言っても良いなぁと思った。
それは必ずしも悪い意味ではなくて、
森ビルのややもすると破壊的な再開発にも緑があったりマルシェやコミュニティの心が実はあったりと深みもあったりするので(それは平成ならではの地縁かも)、いいのだけど、
まあいえば計画者というか多くはディベロッパーや運営者がどかんと街の印象をつくるようになったという意味で、責任も役割も大きい世の中になった、それこそが平成なのだなぁと思った。
もちろん震災とか五輪とか建築にまつわる事件とかにも事欠かないわけなのだが。
こういうことを、まちや都市や建築家コミュニティから語れる、めずらしい論客だなとも思った。内藤氏のことを。