浅野りんのレビュー一覧
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中学って小学校とは雲泥の差くらいに先輩後輩が意識され始める環境なわけだけど、文化祭というイベントを通し、もうすぐ引退してしまう3年生の苦労を少しでも軽減しようと無理に頑張ろうとする一果達1年生組の様子は微笑ましいなぁ
でも1年生なんて様々を学び始めている途中だから、無理をすれば形に現れる
それを察して、というか茶道部の伝統として3年生や顧問が「ほどらい」という教えを授けてくれる流れは良いね
全てを満足に整えるのではなく、欠けている己や欠け行く季節を楽しむ。こういうのも風情があると言うのかな?
それはそれとして、「泳いでる魚」というお題でたい焼きを描いてしまう和にちょっと笑ってしまった。流石の一果もアレを突き返せはしなかったか(笑)
和菓子職人として着々と成長しつつある和が描かれる78話
知り合いとはいえ、和を指名する形での依頼があると彼の実力とアイディアが認められてきたのだと感じられるね
それはいわば和が和菓子から離れようとしていた高校・大学時代からは考えられないもの
…と思いきや、旧知の間柄である巴などは今の和の姿を当然のものとして受け止めているようで。まあ、離れようとしていたと言っても和菓子を愛する性は変えられないし、彼の実家は和菓子屋である事実は消せないし
この流れでは和が職人になった事を佳乃子が意外と評した点はそれこそ意外かも
でも、意外と思おうとしていた佳乃子が居たという話でも有るのかな?
東京でバンドマンの和と出会った佳乃子にしてみれば、京都で職人をする和なんて知らない人。だからこそ和の和菓子への愛着を認められなかったのかな…
それでも今の佳乃子は和の近くにいるわけで
「戻れたら今度は…」と夢想する彼女のこれからはどうなっていくのだろうね
79話は読んでいて温かい気持ちになってしまったよ
小さい子供にとってアレルギーは大きな問題。近年はアレルギー対応の食品や調理法は広まったのだろうけど、それで人の心全てを包んでくれるわけでもなし
人とちがったら少し悲しいし、おなじだったら嬉しい
子供はそれを理解しつつも大人の大変さも理解し始める頃だから、我が儘を言えない場合もあって…
そう思えば草護が「和菓子なら」という思いつきから行動し、それに和が応えてみせた流れに感銘を受けてしまうね
そうした大人たちの下準備が丁寧に描かれているからこそ、手作りお団子ハロウィンという思い遣りの籠もったイベントが素晴らしいものと思えるし、それに子供達が喜ぶ様子に感動できてしまったよ -
購入済み
心が洗われる
毎巻思いますが、読んでて心が洗われるようです。他社の有名作品からの引用ですが、「子どもの言葉で人生が変わる」ってのはこんな感じなのかなぁ、と一果たち中学生組のやり取りを見て思いました。
佳乃子の話とか少しずつ関係性の変化を感じさせるセリフもあったりで先が楽しみでもあり、今のままの関係性で仲良くやってるところもまだ見ていたい気持ちもあります。
美弦ちゃん関連の話もまた見たいですね。 -
Posted by ブクログ
和達と再会できたけど、居場所を持たないが故に曖昧な部分が有る巴。そんな彼の足場硬めと言えるエピソードがこのように温かみ有る形で描かれるとは
一度は巴自身が自分の居場所ではないと捨てた場所。だからか、巴の振る舞いから 余所余所しさが捨てきれないし、義父・義弟との距離も有る。一度生じた穴は簡単に埋められない
…と思っていただけにあのような力技で強引に埋めてくるとは思わなかった(笑)
いや、わざとらしい強引さだから逆に義父達の想いを汲み取れるという事だろうか?
頓珍漢で調子を外した状況。それでも精一杯を籠めただろう「おかえり」の温かさにはじんわりと来てしまったよ…
一方で落ち着くべき処という話題ではどうしても気になってしまうのが和と佳乃子の関係か
一度は別れた筈なのに京都で再会してそのまま落ち着いてしまった元恋人。互いに何も想ってない筈がないのに何も言葉にしない
曖昧故に形にならない二人
それを思えば現在の形が無いなら、出逢いによって別の形になる可能性もあるわけで。最近、佳乃子との間柄を匂わせる草護の存在は気になる処
けど、やっぱり佳乃子が気にしてるのは和ただ一人なんだろうなぁ…
悪酔いしてうさ耳付けて。そんな不格好を見られたのに、笑える失敗談で済ませられる間柄
果たして佳乃子はお月さまに移り住んでしまうのか、何かを気にして地上に留まってしまうのか…
曖昧だからこそ気になるね
曖昧さが逆に活きたのは咲季と静月の関係か
見た目的に男女の垣根を超えた関係性を築いているように見える二人。でもそういう関係だからって二人の間に何も無いなんて決めつけられなくて
親しい間柄の人間にちょっと世間様に言い難い趣味を知られるってどう考えたら良いか判断に困るもの。又、曖昧な関係をどう捉えたら良いか?そのような悩みの答えは当人が考えない限りは答えの出ない問題で
だから和の答えも咲季の答えも今ははっきりしない
咲季と静月に必要だったのはきちんと向かい合った上で考える時間だったのだろうけど、まさか咲季の趣味が普通にバレているとは思わなんだ(笑)
見た目が逆転しているかのような二人だから、逆に見た目を問題としなかったわけだ
二人の答えは読者に未だ示されていないけれど、萩の向こう側でにこやかに談笑する二人を見れば答えは自明であるように思えたよ -
購入済み
おとーさん
触れられているようで触れられていなかった和と親父さんの親子関係。見ていて実に引き込まれるものでした。和菓子の奥深さにも毎巻感嘆させられるばかり。
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ラストに妙な不穏さを残した前巻だったけど、まさかこういう展開になるとは……(笑)
秋世の件が有ったからそれと重ね合わせてしまったけど、確かに本人から欠片も悲壮感というか追い詰められた感じがなかった事を思えば、誰もが余計な心配をしすぎたというパターンか
その中で描かれた意外な描写と言えば、大旦那の発言だろうか?
政さんが過去を語った53話では剽軽な人格者といった印象だっただけに、結婚を意識する克子に対してあのような言葉を放ってしまうとは意外…。きっと大旦那としては何の悪気もなかった発言、それでも気の強い克子を反発させるには充分過ぎる一言だったようで
若い挑戦者の意地が描かれる68話。メインとしては一太になるけど、そこに沖や緋色、和の藻掻きを並列的に描く事で深み有る話になっているね
進学校で周りと自分のレベルを比べ藻掻き続ける沖に対しての一果の言葉が良いなぁ。前々からこの2人は恋愛的な意味というよりも親友として良い感じに見えるのだけど、今回もそれを感じられる描写だったな
沖は藻掻き苦しむことは有っても、一果を通して見る自分や世の中に拠って丁度よいバランスを取れているね
緋色は若手職人チームが作られた事で作品をより世に出せる場を得られたようで。ただ、それは実績を認められたというよりも挑戦する機会を手にしただけに過ぎなくて
試食会での厳しい言葉、後押しする言葉に晒される緋色達若手は藻掻きながらもやり甲斐に満ちた日々を送っているのだと判るね
そして一太は緋色と異なる立場故に見えるものも少し異なるようで
跡継ぎとして責任ある立場として気負ってきた。けど、以前はミスが多く思えた若手も頼りになり実力を発揮する機会を得るようになってきた。だというのに自分にはまだ不出来な部分が存在している。
それらは彼らの前を走ってきた筈の一太としては穏やかでは居られない事態。いわば自分と周囲のレベルを比べてしまっている状態
そんな一太が頼るのは自分と似たようなレベル・環境で藻掻いているだろう和になるわけか
和は改めて考えると特殊な立場にいるね。一果の件、出奔していた期間、そして実力。和のそういった内心が積極的に描かれないために判りにくい部分もあるけれど、土台が曖昧であるために信念を揺らがすものは幾らでもある
和と一太の違いはそういった部分に関わるもの。今の一太は周囲と比べて多少揺らいでしまっても、それまでに培った実績があるし、見てくれている人もきちんと居る
彼の葛焼きを藻掻き続ける人々や顧客が評価するシーンはジーンとくるものだったよ
長きに亘って和への恋心を募らせてきた美弦の顛末が描かれる69話……
大学生という年齢、大人びた色のリップ。大人である和に高校生という子供の頃から心を寄せてきた美弦にとって力強い一歩を踏み出すきっかけとなる誕生日は美弦にとって千載一遇の好機となったようで
まるでデートのような一幕、2人だけの時間、捧げられた心籠めた曲
美弦としては恋心が煌めく夢のような空間。けど、ここで和が返した和菓子が決定的だったよなぁ……
美弦は和の作った玉すだれに和を想起し憧れを見た。和は美弦の為に作った玉すだれに隔たりや向こう側の意味を捉え、触れられない存在と形容した
美弦は大人に近づく年齢の誕生日に大人っぽい格好をして向こう側へ行こうとしたのに、和は同じ側に来たとは捉えなかった。
おまけにこれが以前は彼女である佳乃子にした誕生日祝と同様の形式でありながら、対面した美弦に全く恋愛的な感情を向けていないとなれば……
直接的な言及はない。けれど大人になろうとして付けたリップは取れ、心を籠めた曲名を消していたのは美弦にとって恋の時間が終わった事を示唆しているのだろうな…… -
Posted by ブクログ
前巻ラストにて佳乃子と歩んだ年月に思いを馳せていた様子の和。61話では佳乃子の視点で再びの宵山を描きつつ、佳乃子が歩んだこれまでとこれからを描くのか
佳乃子が京都に来てから2年。何となくで選んだ和の傍。決定的に関係を変える、もしくは戻す言葉はどちらからも発せられる事はない。それは当事者に不満が無いなら問題は無いかもしれないけれど、何も変わらずに年月が過ぎるなら他の道を模索する可能性と出会っておかしくない
各人物がバラバラになって宵山を巡るのは各人物が持つ様々な可能性を巡っているようで面白いね
一果は父と宵山へ行く約束を叶えられたけど、もう一人の父親とも巡りたそうな様子。美弦は鷹辻の想いを前にしても気付かずに和への想いを保ち続けている。咲季は静月となんだか良い感じなりそうな
そういった幾つもの未来への可能性が交差する宵山で和が佳乃子に渡した御菓子が面白いね
本来は冷やすと美味しくない団子。その定石が創意工夫によって「冷やしみたらし」に。洋菓子の方が好きと言ってしまい別れた2人。佳乃子が口にしたのはみたらし団子が好きという言葉。けれどそこには別れた頃にも再会した頃にも無かった可能性があって
そんな佳乃子に「来年」を約束した和。その可能性の先にもっと未来が有ることを願ってしまうね
喋って動く人形が独りでに失踪したかと思いきや、不思議な偶然と勘違いで緑松に辿り着く63話
誰もがそれは機械とか仕掛けによるものだと理解しているけど、あんまりにも愉快な存在なものだから時折本当に生きていたらなんて思ってしまう
だからロペちゃんの失踪も真実味を帯びてしまうし、野井もゴミ箱から拾って直そうとしたのかもしれないね
頼れる相手を見つけられず、助けてとも言えず。そんな野井に救いの手を差し出したのは和の勘違いだったのは良いね
…なお、最終的に全てのオチを持っていったのは政さんな気がしないでもない。この人、どれだけの技能を持ってるの……?
65話は素敵な話だったなぁ……
店の入口に置かれたやけに可愛らしい八朔人形を導入に、幾つかの布石を起きつつ過去に遡るエピソード
職人同士で川床での呑み。入口の八朔人形は可愛らしいし、料理も絶品。酒が進む中で余計な暑ささえなければもっと楽しめる
そこで暑さを和らげようとするのは一種の歓待と言えるかも。でも料理を台無しにしてしまえばそれは店が提供する歓待に相応しくない。客への心遣いが足りなかったわけだ
同時に平伍も呑み過ぎたあまり八朔人形を壊してしまったのも、もしかしたら店への心遣いが足りないと言えるのかもしれない
両者の心を埋め繋げる和菓子を作るために足りないピース。それを幼い和が与えるのは心温まる展開だし、そうして制作された和菓子が風柳の大切な夏菓子になっているのも良いね
何より「炎天雪花」が実物を見てみたいし食してもみたいと思える素晴らしい菓子だったのも良かったな -
Posted by ブクログ
和が女性と一緒に居る様子を目撃した佳乃子と美弦の反応が微妙に違うのが面白い。佳乃子は和の新しい彼女を疑い、美弦はマルチの可能性を疑い…
その認識の違いは年齢によるものか和への信頼によるものか
ややこしい事態に成りかねない状況、あっさり咲季の正体をバラした和の英断は尊敬してしまう。しかも微妙に嘘を混ぜることで咲季の名誉も守ってるし
……その後に盛大に誤爆した咲季は本当に自分の落ち度というか。まあ、ここらが閉じ籠もっていた趣味を広げるタイミングだったのだろうね
嫁姑問題という何処のご家庭にもありそうな難しい擦れ違いが描かれる59話
メインとなるのは『万彩』こと彩華とその義母寿江となるわけだけど、サブエピソードとして富紀と倭世の関係が描かれる構造となっているね
昔はカラフルだった彩華が嫁入りしてからは黒一色、外には家庭の不和を見せないよう振る舞う姿は思わず心配になってしまうもの。おまけにその後に登場する寿江が「厳しい」を絵に描いたような人物であれば尚更
そういった状況では彩華に何か足りない部分があって姑から嫌われているのではないかと想像してしまう
でも、実際は犬が苦手な寿江が彩華に遠慮して、気遣いの出来る彩華も寿江に遠慮して…と互いに壁を作っている状況だったようで
彩華は和から、寿江は富紀から。それぞれ年の近い相手からの助言に拠って、遠慮していた嫁姑と和解する様子は微笑ましいもの。特に初めて会った時にも感じながら言及できなかった髪色にきちんと言及できたのは良かったね
また、作中で富紀は寿江に自身と倭世のエピソードを話すわけだけど、それを踏まえて冒頭部分を読み返すとこちらもこちらで微笑ましくなってしまうね
巴の行方不明は解消されたけど、変わらず別居状況で一果としては難しい心境が続いているようで
だからって娘の一果が両親のデートをセッティングしてしまうのは何ともおかしいけれど(笑)
穏やかな様子の巴と真理によるデート模様。一果の回想では仕事人間として描かれていた真理も一果との和解に拠って少し柔らかくなっているし、巴も父の呪縛が軽減された事で追い詰められた感じが無くなっている。
二人共かつて背負っていた重荷が軽くなった事を考えると以前よりは素直な遣り取りが出来るようになったと言えるのかな
しかし……こうして二人の遣り取りを見ると、真理ってツンデレタイプだったんだなぁ……。それをいなす巴は飄々としていながらも真理を受け止めてやれているという印象を覚えるね
傍目にはまだまだお似合いの二人に見えるけれど、やり直す気はないのかね?互いに最上の相手に出会えたと思っている。それでも選んだ道は…という事なんだろうか……?
道を違えながらも一果を挟んで家族をしている雪平一家の様子、一果の問い掛け、そして祇園囃子…
それらを介して佳乃子を思い浮かべる和は自分の道をどうする気なのだろうね? -
Posted by ブクログ
中学へ進学した一果の前に広がる2つの選択肢。店を継ぐか両親のどちらかと同居するか
これまで一果が緑松に居られる理由として『跡継ぎ』なんて担ぎ出されていたと考えれば、巴が帰ってきて真理との仲も改善されつつ有る状況で一果が緑松に居続ける理由はそれほど無い
でも、それはある意味で一果の想いを他所に親が勝手に決めつけてしまう状況になりかねない。だから一果と巴や真理は何を考えているか明かし合う必要があったわけで
紅白饅頭が原因で喧嘩していた親子が想いを語って仲直りする様を見て一果が今の自分が何を考えているかしっかり伝えられたのは良かったし、真理や巴がそれを温かく受け止めているのも良かったね
緑松の古株、政さんの来歴が語られる53話
彼が昔から緑松に居る点は何度か言及されてきたけど、まさかああまで昔から緑松に居たとは
と言うか、遂に大旦那の顔が描かれましたよ!これまでは横顔くらいしかまともに描かれてこなかったけど、どうやら温厚な人物で人の世話をよく見る人物だったようで
御菓子によって繋がった大旦那と政、特に生き方に彷徨っていた政にとって大旦那の誘いはそれこそ救いの手だったんだろうなぁ…
その救いの手は偶然授けられたものではなく、政が生来持っていた食べ物への経緯や職人としての技量や知識が下地になっているんだよね。それが新しい生き方を政に提示するに至ったわけだ
54話、ここで8話にて涙を流していた鳴門みゆが再登場するとは思わなかったな。どうやらあの経験以来和菓子にハマりだしたようで
和菓子に興味を抱いたみゆを入り口に一果が入部することになった茶道部。和菓子へそのまま繋がる道ではないけれど、茶道を通してそこに供される和菓子の意味、またそこに似合う和菓子とはどのようなものか考える機会となるのかな
緑松の跡継ぎを目指す一果としては貴重な経験を幾つも出来る場となるのではなかろうか?
何だか面白い展開だった55話
男の咲季にストーカーが付くなんて本来は奇妙な話なんだけど、咲季が時折している女装のせいで話に奇妙な説得力が付くという…
……この時点ではストーカー犯をあの雅かと疑っていたけど、そんな事はなかったね(笑)
ていうか、あの手紙の真相も二段構えとなっていたのは面白い話
届けたいけど、素直に届けられない自分の気持ち。すぐ近くに居て何でも話せる相手が電話一本のみの関係になってしまった。そこに寂しさ以上の感情を抱いてしまえば、電話を受けることすら難しくなる、か…
それでも投げかけた淡い気持ちの一文。それを咲季は上手く拾い上げられたようで。思わぬ所で途切れた友情は思わぬ形で再び繋がったわけだ
そして、和達がストーカーの話題で盛り上がっていた裏で少しずつ湧き上がっていた女性達の疑念が本当に奇妙な形で結実してしまいましたよ(笑)
これ、色々と事情がややこしい状況なんだけど、ここからどうなるんだろう?一応、和ってフリーって扱いになってる筈だけど…… -
購入済み
アニメから
アニメから入りました。心温まる物語で読み心地がとても良い。和はとても良い主人公だと思いますし、そこから広がっていく人の輪。これからどうなっていくのか実に楽しみです。
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Posted by ブクログ
修行始めて1年半で企画用の和菓子を考案するって重圧半端ない……
一応付き合いある所からとは言え、依頼は依頼。職人として不出来なものは出せない。けど和は職人として半人前未満なのだから父からの期待や華風園の期待に応えるのは難しい
それでも一応は形と銘のある和菓子を作れたのだから地力が無い訳では無い。ここで平伍が返したのはいつかの日に聞いた言葉だね。自分を納得させられるか、他人の期待に応えられるか。和が対峙しているのはいつかの父が通った道
平伍は想い人と出逢った事で納得への道を形作った。なら和は誰への想いで道を作るかと言えば、平伍とは幾らか違う形となったね
道のヒントになったのはかつて自分が楽しんだ形跡とかつて付き合った佳乃子からの言葉
平伍は富紀への想いで和菓子を作り上げたけど、和はもっとシンプルに和菓子への愛で作り上げた感じかな
久方ぶりに出現した和のあの癖は、和の和菓子愛が変わっていない事を示していたね(笑)
本作において時間の流れは基本的に和菓子や季節イベントを用いて描かれるけど、ここ数巻で別軸として存在しているのは美弦の受験シーズン
和菓子は季節が巡る事で様々な魅力を味わえるが、受験は季節が巡れば気持ちも落ち込んでくる。進んでいる筈が後ろ向き
そんな不安定な美弦に対して美夜は公演に誘う形で、鷹辻は彼女を気に掛ける事で気分転換させようとしていたね
それにしても、美弦に想いを寄せているらしき鷹辻もまさか美弦の想い人がおっさんとは思わなかっただろうなぁ(笑) おまけに美弦は和の元カノの存在も認知しているわけだし。いっぺんに明かされる情報にしては色々と複雑過ぎる……
ただ、鷹辻から和は嫌な相手には映らなかったんではないかと思えてしまう。会ったばかりの少年を公演に誘い、興味なさげな様子もポジティブに捉える。そして美弦が気にしていた秋の後ろ向き感にも別の意味を見出してやれる
それに鷹辻は感化されたからこそ、美弦が後ろ向きの象徴と捉えてしまった落ち葉を前向きの象徴だと教えてやれたのだろうね
少しずつ雪平巴の謎に迫る45話。一福が京都に帰ってきてすぐに巴の母親が現れるとは思わなかった
それで少しは巴の行方が判ると思いきや、母親もその点は判らなかったのか…。というか、再婚やそれに纏わる諸々によって巴を考える時間が減ってしまったまま時が過ぎていたという感じか
巴の失踪で得てしまった安定。それは他の子供が自立し時間の余裕が出来た事でようやく巴について考えられるようになった。だからこそ罪も自覚してしまい苦しむというわけか…
そうして苦しむ繁を和は優しく思い直させてやっていたね。母が知らぬ息子の好物、思い至らなかった息子の優しさ
それは悲しい別れ方をした親子をいずれ結びつけるものになるのかな……?
そうして親子仲が改善する兆しが描かれたからこそ、和が一果の父を気にした際の一果の反応には驚かされたな
和が自分の知らぬ間に跡継ぎとなっていた一果をどう思っているかは断片的に描かれてきたけど、一果の側が和からどう見られていただろうと考えていたかが明かされたのは初めてか
あんな、心臓が冷えるかのような眼で語るなんて……。一果はあまり表に出さなかったけど、和から自分や父がどう思われているかを結構気にしていたのか……
富紀の妨害に拠って辿り着けなかった一果の父の正体。それはもしかして思いも掛けない場所からやってくる? -
Posted by ブクログ
前巻の30話からの続きとなる31話は和が居たバンド解散の裏側に触れつつ、佳乃子が京都に居る意味を改めて問い掛けているね
和は東京に居ながらずっと和菓子や緑松の事が頭にあった。それは中途半端と指摘されるかもしれない状況。だからタクミ達は和を本来居るべき場所、和がやりたい事を出来る場所へと旅立たせる為の荒療治としてバンド解散の道を選んだ
それが功を奏して和は迷った末に迷いなく和菓子に打ち込めるようになった
和の有り様は佳乃子にも適用できるものなのかな。ずっと傍に居たのに意地っ張りな一言から迷いが始まり、京都に居着いてもその目的は明確に出来ず
それでも和菓子が好きだと伝えられて、あの時の誤りを正せたなら、ここから今までと異なる別の何かを重ねていく事が出来るのかもね
34話は美弦の想いの行く先に繋がるようなエピソードとなったね
家では変わらずにしっかり者の長女をやりつつ、和の近くをキープする為にバイトは減らせず。そうして減らしてしまったのはギターを弾く時間と自分の心。これは美弦初登場時のエピソードを思い出させるね
あの時は様々な軋轢からやりたい事を諦めようとしていた。今回は諦めないばかりに軋轢が生じた形
以前正しかった対処法がいつまでも正しいわけないから、「バイトは休んだら?」という和の助言は間違ったものではない。でも突然別の遣り方を始めるなんて難しい話だし、それは美弦の何としてでも守りたかったものから遠ざかってしまうもの
ここで和が更に柔軟な案を出し更には手助けする形で、美弦の諦めたくない気持ち、守りたい気持ち、そしてこれまで顔を出せなかった甘えたい気持ちを大切に留め続けられる形にしたのは良かったなぁ
美弦がこれからの進み方を考える中で交わした和との約束、これが果たされる時が待ち遠しいね
そして物語が大きく動き出しそうな35話
読者的には和の先輩と一果の父親が同一人物であると薄々察しているだけに不思議だった点、どうして和は一果のフルネームを聞いても何の反応もしなかったのかという疑問が遂に解消されたね。
なるほどね、婿入りで名字を変えて更には巴を世話していたマスターの一福が旅に出ていたのか。それじゃ、和は気付けないわな
逆に言えば一福が帰ってきたなら和が気付けなかった諸々に気付き始める転機になるかもしれないということだけど……
楽しい楽しい修学旅行先で擦れ違う一果と巴。このまま擦れ違いに終わるのか、それとも声を掛けてしまうのか
どちらの道が取られるにせよ、巴が何を考えて娘を放置したままバンドの助っ人を続けているのか気になってしまうよ……
些細なシーンだったけど、32話で「お兄さん」の位置を欲張った和に対して何の気無しに「お父さんの方がマシです」と返してしまった一果は可愛らしい
あと、小学生女児とメアド交換してしまった和のこれからはどうなるのか(笑)