猪俣美江子のレビュー一覧
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「イモージェン・クワイ」シリーズの二作目ですね。
イモージェンはケンブリッジ大学のセント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース(学寮付き保健師)。
彼女の家の二階に下宿している、カレッジの学生フランセス(フラン)・ブリャンが、お金に困っていたが、新任の伝記文学講座の教授レオ・マヴェラックから、ある数学者の伝記を書く仕事を依頼される。
ところが、この伝記は、先任が三人もいて、いずれも仕事を投げ出して、急死したり行方不明になったりしていた。不審に思ったイモージェンが調べだすと、数々の疑問や、厄介事が出てくる…………?
二作目なので、登場人物に馴染みが出て来ている分、物語に集中して、スピード感のある展開を楽しめました。
小説なので、イモージェンに関わる様々な偶然が伏線になり、疑惑が事件に進展していき、思わぬ事件解明にたどり着くあらすじを、楽しいイモージェンの会話を満喫しながら味わいました。
キーワードのキルトが出てきますが、解説で翻訳者の猪股美江子さんによると、この作品の登場人物と共通点を持つ実在の人物がいるそうです。
作者のジル・ペイトン・ウォルシュと親交のある、ルーシー・M・ボストンだそうです。ボストンは作家であり、児童文学者ですが、パッチワークの名手だそうです。亡くなったのは1990年、九十七歳でした。
本作が発表されたのが、1995年ですので、親しかった友人を思い入れしたようにも受け止められるそうです。(作中でも、この登場人物は、愉快な才能あふれるお婆ちゃんです)
登場人物の個性豊かな人物像が、魅力的なシリーズを味わいながら楽しみました。
すでに三作目も出版されていて、楽しみですね。
(この本は、メメさんの本棚登録に惹かれて読みました。メメさん、読み応えのある素敵なミステリーでした。ありがとうございます(=^ェ^=))
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Posted by ブクログ
ネタバレなんとも釈然としねぇー話だよなぁー、というか、ストレスの溜まる話だなぁ…、というか。
とにっかく留飲の下がらない話!w
別にハッピーエンドじゃなくてもいい。悲劇なら悲劇でいいのだ。
だって、ホラーだもん。ホラーは悲劇があるからこそ怖さが増す。
でも、この話に出てくるのは、主要登場人物から幽霊まで全員喜劇だ(爆)
それこそ、幽霊(レノーラ)がクリスティーンに欺かれていたこと知る場面だ。
“しばしひたとクリスティーンを見つめ返したあと、レノーラが言った。「わたしたちを騙したの?」”って、何なんだよ?幽霊が驚いてどうするんだよ。幽霊は驚かすのが仕事だろ!と思わず噴いてしまったw
さらに言えば、これはゴシックロマンでもない。
ま、ロマンはロマンなのかもしれないが。ゴシックの方は、ゴシックというより、むしろポップ???
と言っても、ゴシックの対義語って、ポップでいいのか?(明朝体では絶対ない!w)。
ていうか、ゴシック、ゴシックと言うけど、そもそもゴシックって具体的にどういうものなんだっけ?
そんな文句ばかり書いたからといって面白くないかというと、決してそうではないのが面白いところで。
考えてみれば幽霊屋敷モノの話というのは、最後に屋敷が火事で焼け落ちるか、登場人物が全員死んじゃって残った屋敷に新たな人が引っ越してきて終わるわけだ。
それ以外の結末となると、ホラーというよりファンタジーになってしまうわけで、そこを崩さず幽霊屋敷ものとして何か目新しいことは?ということで、こういう展開を思いついた……
のかもしれない(笑)
つまりだ。
それが楽だからって、いつも自分に「いい人」を強いていると、いつかそれがとんでもない形で爆発しちゃうよと、まるで私たち日本人に言われているようで、そういう風に読んでも面白いんじゃないかと(解説によれば、著者は親日家だったらしい)。
そう、双子の妹、リネスは確かに身勝手で不実で嫌ぁ~な女なのだw
でも、だからこそ一番人間らしいとも言えるわけで(笑)
こう言っちゃなんだが、そこそこ裕福な貴族の生まれで、おそらく挫折らしい挫折も味わっていないローレンスのような若者にとっては、誠実で安心だけが取り柄のクリスティーンなんてどんクサいだけで。リネスのような適度なストレスがある女性の方が刺激的で魅力的なのだろう。
だから、クリスティーンからリネスに乗り換えたからって、ローレンスが特別不誠実というわけではないと思う。
幽霊の世界ではどうか知らないが、人間の世界では、恋には失恋がつきもの、結婚には離婚はつきもの。何より、愛とは移ろいやすいものなのだ(書いていて恥ずかしくなってきたがw)。
それらが終わってしまったら仕方ないとあきらめて、すぐその代わりを見つける。その“不実さ”こそが人間が幽霊なんて“物”より優れているところなのだ(笑)
ていうか、そこ!
そもそも、リチャードが「イザベーラなんていうどーしようもない不実な女w、さっさと忘れて別のもっといい相手を探そ」と切り替えていればこんな呪いなんて発生しなかったわけだ。
レノーラだって、そうだ。先王が生きていたら閨に連れ込まれたろうという容姿なんだから、そんな中二病のバカ弟wにかまってないでいい男を捕まることに熱中していれば……w
人間には、ポジティブな不実さこそ必要!
それがこの話で作者が一番言いたかったことなんじゃないだろうか?(って、本当かよ!?w)
最初に、釈然としない話、ストレスの溜まる話と書いたんだけど、なんで釈然としないのか?ストレスが溜まるのか?
たぶん、根本にあるのは、読者の好感度No.1であろうクリスティーンがあまりに報われない結末だからだろうと思う。
でも、じゃぁどういう展開だったら留飲が下がるのか?
幽霊たちが身勝手なリネスをとり殺すことで(クリスティーンの場合のように)消滅してしまったらよかったのか?
それとも、怨霊と化したクリスティーンが身勝手なリネスとその娘、さらいに自分(たち)をそう育てたテティとヒル、4人を祟り殺してしまえばよかったのか?
もしくは、クリスティーンの幽霊にリネスが謝り、改心して。それからはローレンスと幸せに暮らしましたというハッピーエンドになればよかったのか?
というか、クリスティーンの健気な行動を見て、幽霊たちの呪いが溶けてしまえばよかったのか?
確かに、そういう結末なら納得できるし、留飲も下がるだろう。
でも、それだと駄目なわけだ。だって、それじゃあまりに陳腐だもん。そんな結末の小説、今時誰も読まないと(笑)
ま、今時といっても、1982年に出た本らしいけどさ。
そんなわけで、「つくづく納得いかねぇ―なぁ…」なエンディングを迎えるわけだが、とはいえ最後の最後。クリスティーネと思われる娘が出てくるくだり。
あれがこの話の唯一の救いなのか?
いやぁ、おそらくそうじゃないようなぁ…。
だって、娘は「わかってくれるの?この古い、忌まわしい話をそっくり受け入れてくれるの?それでも気持ちは変わらないのね?」って念押しするんだもん。
そもそもその相手の男の言う「付き添い役の女」って何なんだよ?娘がクリスティーネなら、付き添い役の女じゃなくてお祖母ちゃんじゃん(当然、見た目からしてお婆さんになるはずだ)。
てことは、その娘はクリスティーネじゃなく別の娘(あ、でも手の傷があるのか)で、そのテティは幽霊。つまり、リチャードとレノーラでもなく、クリスティーンでもない、新たな呪いが始まっているということ!?(ダーステティの誕生!w)
そうだよなぁー。あんなことがあったら、リネスはともかく、テティとヒルはもはや普通に生きていけないよなぁー。
新たな呪いを生み出しかねないよなぁー(よい人というのは、つくづく厄介だw) 。
……と、そこが曖昧(結末は読者にゆだねるというあれね)というこの手の話の定番のエンディングで、★4つ!
★を一つ減らしたのは、主人公がハッキリしないところ。読んでいてイマイチ釈然としないのはそれもあると思う。
ただ、最後の最後に「テティ」と呼ばれる謎の女性が出てくるところを見ると、主人公はあくまでテティで。結婚した時点で館に心を乗っ取られていたという見方も出来るかと思う。
最後に一つ。
仮にこの話が映画化されたら、エンディングテーマはスティービィー・ワンダーの「愛の伝説」がいいと思う(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティに並び賞される(らしい)イギリスミステリー界の女王、クリスチアナ・ブラント晩年の傑作長編…というのは完全に聞いてきた話の受け売りで、この本を手に取ろうと思うまで、作者については全くの無知であった。
うん、確かにオモロい。20世紀の欧米ミステリーテイストに溢れた良い作品である。少々古臭い部分があるのは古典だから。例えば探偵役のチャッキーは今風にみるとカッチョ良くはないし、推理の冴えもちょっとなぁ…とは思うんだが、例えばホームズ、例えばポアロだって今風に見れば、人格破綻のイメージもあるわけで…。
トリック部分も今となっては「えー、そうなの!」と驚くほどではないものの、そこに至るまでの物語がきちんと書き込まれててそれを読むのが気持ち良かった。
古典ミステリーを読んで、ちょっと風雅を気取る時間も良いものだな。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家クリスチアナ・ブランド、1977年発表の小説。邦訳は2015年。
ウェールズの田園地帯を舞台にしたミステリー。読み終えて、何だかとても物悲しくなる作品ですが、良いです。
ロンドンの人気女優エステラには心身に障害を持つ娘がおり、ウェールズの片田舎で人目を避けて育てられていました。そして、この障害者の娘のものとして新聞に連載されている日記が大衆的人気を博しており、女優エステラの人気の源泉となっていました。しかし、実はその日記はほとんどがエステラの秘書バニーの創作、現実との間には大きなギャップがあったのです。
そんな所へ、シカゴのギャングで15年獄中にあったエステラの夫が、心臓病が悪化したため釈放され、死ぬ前に一目娘を見たいとロンドンにやって来たことから騒動が巻き起こり・・・。
始めの方はコメディーなのかシリアスなのか良くわからないような物語りで戸惑うのですが、事件が起きてからの展開は息もつかせぬものがあり感心します。秘書が主導するエステラのチームと警部とのせめぎ合いが見事。たっぷり描かれているウェールズの田舎の風情も興味深いです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史と伝統のあるケンブリッジ大学の雰囲気や、美しい風景、庭園の描写には惹きつけられた。
謎が少しずつ解けていく楽しさもあるのだけど、読後にはモヤモヤが残ってしまった。
ケンブリッジ大学が舞台なのに、学生たちのカーストやいじめがあまりにも幼稚で、私が思い描いていたケンブリッジ大学のイメージとはどうも重ならない。これが中学生の話ならすんなり納得できるんだけど……。
そして何より事件が決着したあとも、どうにも割り切れないモヤモヤが…。
一方で、保健師のイモージェンは誠実で好感が持てた。保健師という立場や知識を活かして事件に関わる設定も面白い。
ケンブリッジの雰囲気と保健師イモージェンの活躍を楽しむコージー寄りの作品として読めば楽しい。
でも、コージーとして読むには陰湿ないじめや殺人など辛くなる場面もある。
結局どこに軸を置いて読めばいいのか掴みきれなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイモージェン・クワイシリーズの第3弾。今までとは毛色が違う話だった。まず大学が舞台ではなく、アカデミックな雰囲気もかなり削がれて、普通のミステリだった。ちょっと残念。
セント・アガサ・カレッジの卒業生である大企業「ファラン・グループ」の会長が転落死する。さらに後継者も殺されてしまう。内部告発、スキャンダル、株の大暴落が起こり、それがセント・アガサ・カレッジの存続危機に繋がってしまう。周りの人間が会社や大学の一大事に右往左往する中、イモージェンは1人、一連の事件の犯人を探し出す。
期待していた話ではなかったけど、まあまあ面白かった。でもイモージェン、アンドルーに失恋したみたいになっているけれど、彼は落ち着きないし、勝手な奴だし、全く魅力的じゃない。くっ付かなくて大正解。
イモージェンクワイのシリーズはあと1作あるそうだ。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第三弾。
ケンブリッジ大学の貧乏学寮・セント・アガサ・カレッジで学寮付き保健師(カレツジ・ナース)として働くイモージェン。
彼女はカレッジが開いたディナーの席で、同カレッジのOBで大規模な金融グループ〈ファラン・グループ〉の会長であるサー・ジュリアスから自身が誰かに命を狙われている旨を打ち明けられます。
その数ヶ月後、サー・ジュリアスが崖から転落死したというニュースを聞いたイモージェンは、その死に疑問を抱いて調査に乗り出しますが・・。
今回はカレッジ内の事件ではないので、前二作のような大学ならではの情景描写は控えめで、大企業〈ファラン・グループ〉のゴタゴタというかドロドロした内幕がメインに描かれている印象です。
ミステリ的には疑惑の転落死からの、第二の殺人発生といったシンプルな流れで、真相の意外さも含めて普通に楽しめるのですが、個人的にイモージェンと共に調査をする、アンドルーの言動に終始モヤモヤしちゃいました。
このアンドルーが、イモージェンの元カレ的なポジションなのですが、気が多くて軽薄だし、調査の時もイモージェンの足を引っ張るような言動ばかりした挙句、途中からは調査自体をイモージェンに丸投げしちゃうという・・(-_-;)
で、イモージェンもイモージェンでアンドルーのどこがいいのか、彼への未練を断ち切れず、完全に"都合のいい女"になってしまっているので、読みながら"もしコイツとよりを戻したとしても、100%浮気するから止めとき!"と、イモージェンの肩を揺さぶりたくなった私です。
と、いうことでミステリ云々よりもイモージェンの事が色々と心配になった本作でございました。
ラストでの寂しそうな彼女の姿に、しんみりとした気持ちになりながら、いつかイモージェン自身に幸せが訪れるよう祈らずにいられなくなった次第です。
因みに解説によると、著者のジル・ペイトン・ウォルシュさんが2022年に亡くなられている為、このシリーズも次巻で最後になるとか・・うーん、寂しいですね~。