猪俣美江子のレビュー一覧
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『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』
著者 ジル・ペイトン・ウォルシュ
訳者 猪俣美江子
学寮付き保健師〈イモージェン・クワイ〉シリーズ二作目になります。前作よりもストーリーの組み立て方が好みで、テンポも良かったです。とても面白く読ませて頂きました。
今回のお話は、イモージェンが友人のパンジーとシャーリーと共に、キルト作りをするシーンから始まります。三人はキルト作り愛好家のメンバーで、年末に開かれる予定の赤十字の福引大会に寄付する作品のパターンを考えています。この最初の場面だけでも、複雑なパターンから成るキルトの魅力が伝わってくるようです。
そして本筋では、イモージェンの住まいに下宿す -
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アガサ・クリスティと並び称されたクリスチアナ・ブランドの、未訳だった長編が、発行されました。
1977年の作品。
探偵役は男性のチャッキー警部ですが、話の本筋は乙女ミステリとても呼びたいような内容。
ロンドンの女優エステラ。
美人で気立てもいいけど、演技はそれほどでもない。
エステラの人気は、体が不自由なためウェールズの田舎で療養している可愛らしい娘とのやりとりを書いた新聞連載のエッセイに支えられていました。
エステラが若く恵まれなかった頃に結婚した相手はなんとギャングで、長く服役中。
この夫が、病気のため特赦で出所することになり、死ぬまえに娘に会いたいと言い出します。
エステラを支えるマネ -
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キルトの図案をどうしよう、という縫い物友達との楽しいやりとりから、この話がはじまる。
「難破船(ロストセイル)」「バラの羅針盤(コンパスローズ)」など、素敵な名前の伝統模様。
キルト、というと日本人はタータンチェックを思い浮かべると思う。ここでいうキルトはそうではなく、日本でいうと手芸の「パッチワーク」に近い。
日本語で検索しても、このトラディショナルキルトパターンの図柄は、ほとんど出てこず、「patchwork quilt pattern"connpass rose"」などで検索すると出てくる。
めんどくさいけど、検索しながら読んで良かったー!という印象。繰り返しの -
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ネタバレ学寮付き保健師の主人公が下宿人が巻き込まれた厄介な伝記の執筆に関わっていくお話。
退屈な伝記のゴーストライター、キルト作りにテストの不正と色んな事が並行して出てくる。
後半から色々と情報が繋がりだしてきて面白い。
主人公のバイタリティと行動力がすごい。後、地味に色んなコネクティングがあるし警官の友人が有能すぎる。
フランの熱くて猪突猛進な所すごい。海外だなと思うのは普通の会話のやり取りで男女平等とかが出てくる所。
この話、主人公が肉体的にも精神的にも痛めつけられ過ぎてちょっと可哀想になる。
犯人達も利己的で地位にしがみついた哀れな人達って感じ。
ラストの終わりが気持ちいい。
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ネタバレイモージェン・クワイシリーズ第三弾。
カレッジの卒業生である大企業の経営者の死亡事故に不信感を抱いた主人公が元彼と独自に捜査に乗り出す話。
二弾読んでないけど先に読んじゃった。
イモージェン、地味に色んな人と繋がりがあって話術もあるし探偵向いてる。
アンドルーも悪くない奴なんだろうけど終始イライラする。イモージェンに甘えすぎだろ。主人公は早く吹っ切れて忘れた方が良いよ……。
犯人当てとか考えずに読んでたけど、真相が分かると結構伏線がいろいろと散らばってたなって感じ。
マックスが本当にただのクズ男でちょっと笑った。経営者としても駄目だったし。
サラッと前科持ち医師が出てきたり情報量多 -
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シリーズ第十一弾。
ついに結婚へと至ったピーター卿とハリエット。
従僕のバンターと三人でハネムーン先として買い取ってあった〈トールボーイズ〉と呼ばれる田舎の農家へ向かいますが、到着してみると家は施錠されていて、待っているはずの前所有者も見当たらない状態。
何とか入れてもらった室内も整っておらず、“話が違う”感満載でとりあえず滞在していたら、地下室から前所有者の死体が発見されて・・。
まず序章での社交界を飛び交う手紙のやりとりが、「ピーター卿ついに結婚!!」というニュースのセンセーショナルな様子が伝わってきます。
個人的にはここで、"手紙といえばこの人!"の(?)、クリン -
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『学寮付き保健師〈イモジェン・クワイ〉』シリーズの三冊目ですね。
イモジェン・クワイはセント・アガサ・カレッジのディナーに招待された。カレッジの卒業生で、大会社の会長ジュリアス・ファランを招待してのディナーで、女性の参加者を学寮長が探していたのだ。
もちろん、イモジェンは参加することに…♪
ところが、元セント・アガサ・カレッジの経済学者だったのが、ファランに引き抜かれて、〈ファラングループ〉のエージェントになっているアンドルー・ダンカンが、イモジェンの家に転がり込んでくる。
アンドルーは、イモジェンの元恋人で、今は結婚しているはずだが……?
これ以上は、ネタバレになるので、差し控 -
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「イモージェン・クワイ」シリーズの二作目ですね。
イモージェンはケンブリッジ大学のセント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース(学寮付き保健師)。
彼女の家の二階に下宿している、カレッジの学生フランセス(フラン)・ブリャンが、お金に困っていたが、新任の伝記文学講座の教授レオ・マヴェラックから、ある数学者の伝記を書く仕事を依頼される。
ところが、この伝記は、先任が三人もいて、いずれも仕事を投げ出して、急死したり行方不明になったりしていた。不審に思ったイモージェンが調べだすと、数々の疑問や、厄介事が出てくる…………?
二作目なので、登場人物に馴染みが出て来ている分、物語に集中して、スピード感の -
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ネタバレなんとも釈然としねぇー話だよなぁー、というか、ストレスの溜まる話だなぁ…、というか。
とにっかく留飲の下がらない話!w
別にハッピーエンドじゃなくてもいい。悲劇なら悲劇でいいのだ。
だって、ホラーだもん。ホラーは悲劇があるからこそ怖さが増す。
でも、この話に出てくるのは、主要登場人物から幽霊まで全員喜劇だ(爆)
それこそ、幽霊(レノーラ)がクリスティーンに欺かれていたこと知る場面だ。
“しばしひたとクリスティーンを見つめ返したあと、レノーラが言った。「わたしたちを騙したの?」”って、何なんだよ?幽霊が驚いてどうするんだよ。幽霊は驚かすのが仕事だろ!と思わず噴いてしまったw
さらに言えば、こ -
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ネタバレクリスティに並び賞される(らしい)イギリスミステリー界の女王、クリスチアナ・ブラント晩年の傑作長編…というのは完全に聞いてきた話の受け売りで、この本を手に取ろうと思うまで、作者については全くの無知であった。
うん、確かにオモロい。20世紀の欧米ミステリーテイストに溢れた良い作品である。少々古臭い部分があるのは古典だから。例えば探偵役のチャッキーは今風にみるとカッチョ良くはないし、推理の冴えもちょっとなぁ…とは思うんだが、例えばホームズ、例えばポアロだって今風に見れば、人格破綻のイメージもあるわけで…。
トリック部分も今となっては「えー、そうなの!」と驚くほどではないものの、そこに至るまでの