猪俣美江子のレビュー一覧

  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    ネタバレ

    面白い英国ミステリが読みたくて衝動買いしたが、まあ普通だった。あとがき(三橋暁)に―ー自動文学を寓話の領域から現実の世界に招き寄せた書き手として、フィリバ・ピアス、K.M.ペイトン、ロバート・コーミアと並び称されていきた。—ーという一文を発見してうれしくなる。

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    2024年12月18日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    シリーズ第二弾。

    ケンブリッジ大学のカレッジ・ナース(学寮付き保健師)・イモージェンの家に下宿する学生・フランが、担当教授のゴーストライターとして、今は亡き数学者・ギデオンの伝記を執筆することに。
    ところがその伝記は、前任の執筆者たちが死亡や行方不明などで次々と頓挫していた曰くモノで・・・。

    今回はいきなり死体が発見された前作と異なり、序盤は穏やかなのですが、件の数学者の経歴の不可解な部分を追求していくうちに、色々不穏になってきて結果事件と繋がっていくという展開です。

    冒頭でイモージェンが友人達とパッチワークの制作している場面があり、その後もパッチワークキルトのテキスタイルについてのパートがあったりと、“何だかパッチワークに結構ページ割いているな・・”とパッチワークといえばキャシー中島さん(?)位しか思い浮かばない私は、その部分を斜め読みしそうになったのですが、後半でこのパッチワークの図案が謎解きのカギになったので、実はちゃんと繋がっておりました。
    というわけで、イモージェンがフランの為に謎を解明すべく奔走するのですが、その間学生の不正疑惑のとばっちりを受けたり、調査の為に訪れた農場で大怪我を負わされたりと、結構受難でお気の毒でした。
    そんな災難を受けながらも、様々な布石をちゃんと真相につなげていくイモージェンは流石です。
    終盤はちょっとハラハラしましたが、友人の巡査部長・マイケルの協力もあり、事なきを得て良かったですね。
    あと、最後にちょっとしか登場しませんでしたが、今回のキーマン(ウーマン)だったと言える、ヴィお婆ちゃんが素敵で、お婆ちゃんの輝かしいラストも清々しくて良かったです。

    カレッジの伝統的な雰囲気を楽しめるのも魅力なこのシリーズ。
    解説を読むと、原書の方ではさらなる続巻が出ているようなので、翻訳を心待ちにしております~。

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    2024年02月06日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    古典ミステリー、いや1992年は古典なんだよ……そうだよな…30年前じゃん…
    とあとがき読んでひきつった。
    元はYA系作家ということで1990年代のコバルトミステリーを読んで育った読者の私はすごく入り込みやすい。
    コバルトミステリーの主人公ってざっくりいうと「正しい」人間。
    理不尽なおとなのやりかたとかいじめがけったくそ悪いと思える人間であることが多い。弱虫だったりこずるかったりするけど読者にストレス与えないように設計されている。
    この主人公イモージェン・クワイもそう。
    ケンヴリッジの住人(生徒・講師・スタッフ・教授)にある特権意識を批判的に見ているし、被害者であるフィリップを思いやるちゃんとした大人だ。
    事件は4/5くらいのところで真相が明らかになるが、殺人とは別の謎『被害者はなぜそこにいたのか』の真実をイモージェンは追及する。被害者を愛するひとたちや希望をもってこの大学に来た故人のために動く。
    何の得にもならないが何故そうしたかというと、彼女はこの学校の住人の健康やこころを護る仕事に誇りをもっているからだと思う。すべてを知った彼女が断固として罪をゆるさない様子は読んでいて爽快だ。
    30年前のイギリスの階級主義はまだまだ強固だが今だって似たようなもんだろうなと思う。ただ、こういったいじめは今発覚したら確実に退学らしいけど。
    このシリーズはあと3作あるそうだけど同じように「学術的ミステリー+世俗ミステリー」の混合なのかな、楽しみだ。

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    2023年10月07日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    特別に凄いミステリーではないが、主人公が学寮の保健師って言う点が目新しい。被害者、容疑者共に寮生であり、日々の仕事をこなしつつ丹念に会話を続けていけるのも彼女の日頃のフェアな態度が信用されているとわかる。死者に対しても汚名挽回に奔走する点も好感がもてる。

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    2023年09月30日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    ネタバレ

    ちょっとしたイタズラ,軽いいじめの連鎖と親切心から何が引き起こされたか.事故かもしれないが死んだ者にとっては殺されたようなもの.イモージェンの粘りで名誉が回復されて本当に良かった.

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    2023年07月08日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    英国っぽさ満載(寄付金ネタをはじめ)。結果的にヒトを殺しても全く痛みを感じない(ダメージゼロ)の階級にうんざり。

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    2023年04月06日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    長い話でもないのに、今ひとつ波に乗れなかったか。こんなんで殺すの等。初の作家だったので、YA物を試してみるか。

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    2023年01月18日
  • 大忙しの蜜月旅行

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    なかなか続きが出なくって
    前作までの訳者さんが
    亡くなってしまわれたのは少し残念。

    一応、新婚旅行で滞在する屋敷で
    前の持ち主が死んでいるのが見つかる
    という事件は起こりますが
    作者が「推理もある恋愛小説」と言ってるように
    メインはお貴族様と結婚した
    女流作家の気苦労やら、なんやら(笑)

    まぁ、シリーズを通して読んできた読者への
    ファンサービスな一冊ですね。
    御前様は相変わらずだし。
    新婦のハリエット嬢と執事のバンターが
    うまくやっていけそうで良かった(*^0^*)
    「田舎者」のご近所さんに振り回されて
    ついにキレるバンターに驚いたわ…。

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    2020年11月12日
  • 大忙しの蜜月旅行

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    サブタイトルが「推理によって中断する恋愛小説」とありますが、まさにコレです。読後感はロマンス小説を読んだ感覚。
    イギリスの田舎の風俗描写と、新婚旅行で周囲そっちのけでキャッキャウフフするピーターとハリエットが凄い。この二人のファンなのでとっても楽しめたのですが、これは絶対にシリーズの最後に読むべき本で(ストーリーやキャラクターが繋がってる事もあり)、絶対最初に手に取っちゃいけない奴ですねw

    この作品、元が舞台脚本だっただけあって、今までの作品と一味違ってうっすら舞台の痕跡みたいなのが感じられて面白い。(例えば、居間にカメラが固定されてそこに次々キャラが出入りするような演出になってて、とても舞台的なんです)また、バンター単品の登場シーンも多く、よりウッドハウスのジーヴスばりの従僕っぷり描写が多くてびっくり。
    ピーター卿の母上のキャラクターがとっても良い。

    後日譚「トールボーイズ余話」も収録。これも幸せそうでとても良い短篇だった。

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    2020年03月25日
  • 領主館の花嫁たち

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    なんと見事なゴシックホラー。いや、話はぜんぜん怖くないよ? 一族代々の花嫁が不幸に死すという呪いに、領主館の双子姉妹は抗おうとするが…というだけの筋書き。でもそれだけの話をここまで読ませるのは、田舎の忠実な召使いから不細工だがセンスがいいばばマダムまで人間味あふれるキャラ造形、少しずつ謎を明かしていくストーリーテリングの妙、そして自然・服飾・内装らを自在に豊かに描いて本編の主役たる「アバダール館」を体験させてくれる描写の腕ですなー。なんかそのへんがイマイチだと、映画『クリムゾン・ピーク』みたいにトンチンカンになるのよね。
    そして私がゴシックに求める肝心な一点が、しっかりと核にある。霊や運命のせいにするも暴き出される人間の心の醜さなー。いつだっていちばん怖いのは人間。華麗なお屋敷を舞台にそれを描くのがゴシックホラーだよな。『ねじの回転』とか「リオノーラの肖像』とか。
    いや、本物の読書家の友人に「それとあれとこれが好きならクリスチアナ・ブランドお好きですよ」と勧められて読んだわけですが、当たりだったわ、ありがとー。

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    2019年03月26日
  • 薔薇の輪

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    ★3.5
    ブランドの長編は、人間関係の過剰なドタバタ劇を面白く受け止められるかどうかで評価が分かれる。ほぼ全ての登場人物達が荒唐無稽な言動をし、こちらはそれに振り回されて本筋を見失いかねず、悲劇なのか喜劇なのかも分からなくなってくる。ただし今まで読んだ作品は訳も古く、そのせいで余計滑稽さを感じていた面があり、その点では翻訳自体が新しい本作品は滑稽さがだいぶ抑えられ、コミカル程度で読みやすかった。

    事件の顛末は想像内ではあったが、屈折した人間関係と身勝手極まりない醜い人間像は、ブランドらしい皮肉のスパイスが効いた巧い書き味に仕上がっている。

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    2016年10月09日
  • 薔薇の輪

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     コメディである。喜劇というべきか。
     非常になんも考えずに楽しく読める作品だが、論理的というより推測に推測を重ねるタイプの推理なので、「え? その予想には根拠ないよね?」ってなる。まじものごとき憑くものも同じタイプだけれども、確認しないまま推測に推測を重ねるのってどうなんだろうってなる。テンポの良さを重視するがゆえなのかもしれないし、読み物としては楽しい。
     ただ、ミステリかって言われると悩ましい。

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    2015年12月31日
  • 薔薇の輪

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    障害を持つ娘のことを綴ったエッセイで人気を保っている女優エステラ。彼女の服役していた夫が病気のため特赦で出所、娘に会いたいと訪ねて来る。仕方なく娘の住むウェールズの田舎に案内するが、そこで事件は起こった…
    登場人物が少ないしかなり昔の作品なので、ミステリとして驚愕の結末、というわけにはいかないが、エステラやその関係者の心理描写、真相を究明しようとするチャッキー警部と何やら隠し事をしている彼らのやりとりなど緊迫感があって楽しめた。

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    2015年10月17日
  • 薔薇の輪

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    虚偽にはりめぐらされた世界に、現実に起きた事件のあれこれを思い出させられたり。ひどい話だが、母親として「愛がない…わけではない…」というところが余計に曲者。

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    2015年09月30日
  • 薔薇の輪

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    有名女優の周りに多くの人々が侍り、依存して生きていくというような状況ができあがったのはいつ頃の時代からなのだろうか。本書は1977年の作品ということなので、スターとその取り巻きが当たり前に描かれていても年代的にはおかしくない。厳密には主人公の女優に依存しているというのとも少し違うのだれど、このような関係が悲劇を生む、というのは古今東西どこでもありそうな話のようだ。

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    2015年07月19日
  • 薔薇の輪

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    ネタバレ

    某角川映画原作作品のように、最初は倒叙作品の演出(エステラ視点で固定)にして徐々に視点を切り替えていく形にした方がすっきりとまとまった気がする。クリスチアナ・ブランドは多くの登場人物がそれぞれ大騒ぎしている中に伏線とミスリードを上手く盛り込んでくるのが得意だと個人的に思っており、登場人物の少ない「薔薇の輪」は本領発揮があまり出来ていない。なおマスコミと芸能人に対する皮肉な視線はいつもの筆使い。スヴェンガーリについては「悪魔スヴェンガリ」という映画を例に挙げた方が分かり易かったような…本筋に全く関係ない所では、矢鱈に"まんいち"という言葉を使用していたのが気になる。

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    2015年07月10日