あらすじ
1992年の静かな2月なかばの朝。ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駆け込んできた。キャンパス内のおかしな規約で知られる〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたのだ。学生は何らかの理由で倒れた拍子にテーブルの角に頭をぶつけたと見られ、その遺体のそばには古書が一冊。たんなる事故なのか、それとも……? 巨匠セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズを書き継ぐことを託されたほどの実力派作家による、英国ミステリの逸品登場!/解説=三橋曉
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Posted by ブクログ
懐かしく温かみがあるミステリ。最後の2行でなんとも満ち足りた気分にさせてもらったが、ああそういえば殺人事件だった…と、良い読後感を持ったことがちょっと後ろめたかった^^;
主人公がとても好ましく、やたらに背伸びしたり出しゃばったりしない。常識がありきちんと世間に向き合っている。皆に信頼されている様が良い。
なんといっても、イモージェンという名前が素敵。ジェーンでもケイトでもメアリーでもなく、イモージェン!個性的で覚えやすく、こんなに主人公の名前に注目したのは初めてかも。
Posted by ブクログ
登場人物が少しずつ関与して起きてしまった事件。みんなの思い込みや思惑によってフィリップは未来を奪われ、主人公が解明しなければ汚名まで背負うことになるところだった。
イモージェンにいいひとが現れてくれることを祈りたいですね。
最後、未来が繋がれるところに悪いことばかりじゃなくてうるっときました
Posted by ブクログ
大学でのミステリー。保健師という立ち位置のクワイ。その地に足がついた 平等さ、良識や プロフェッショナル としての振る舞いは人を信用させ 人の口を開かせる。
推理はもとより
誰に何を告げようか
自分の及ぼす影響や 結果を慎重に 吟味しそれでも 堅実を 良識に基づいて前に進める姿勢。それはとても安心してストレスに満ちた ストーリーを読み進めていける。
Posted by ブクログ
なんて言ったらよいのか。ヒロインのまっすぐな性格と正義感は好ましかった。でも、ちょっとした悪意と不運な出来事が重なって引き起こされた殺人事件。上手く話はまとまったが、傲慢で不遜な人達が、ろくに反省もせずにのらりくらりと生きのびる。暦のトリック?みたいなものは、後出しジャンケンみたいだが、当時そんな事があったのかとびっくり。
Posted by ブクログ
どんでん返しというよりは何層にも重なった謎を一枚ずつめくって真実を探していく感じ。ヒントは至る所に散らばっていたが、最後繋がるところは綺麗だった。それはそれとして基本淡々と進むため、短いのに読むのが苦痛なパートが多かった
Posted by ブクログ
あっという間に読めちゃった。あまりに幼稚なケンブリッジ大学生にため息、、そして大人たちもそこそこ幼稚、、、。亡くなった方が気の毒になるレベル。ラストの顛末はよかったです。
Posted by ブクログ
何人かのほんのちょっとの弱さ、ほんのちょっとのイタズラ心が絡み合って事件になってしまった。2人の若者が亡くなってしまう。そしてラスト。正解かどうかわからないけど、未来のために正しい選択をしようとする何人かの人。人間の弱さと美しさ、社会には両方あって、、、面白かった。
Posted by ブクログ
面白い英国ミステリが読みたくて衝動買いしたが、まあ普通だった。あとがき(三橋暁)に―ー自動文学を寓話の領域から現実の世界に招き寄せた書き手として、フィリバ・ピアス、K.M.ペイトン、ロバート・コーミアと並び称されていきた。—ーという一文を発見してうれしくなる。
Posted by ブクログ
古典ミステリー、いや1992年は古典なんだよ……そうだよな…30年前じゃん…
とあとがき読んでひきつった。
元はYA系作家ということで1990年代のコバルトミステリーを読んで育った読者の私はすごく入り込みやすい。
コバルトミステリーの主人公ってざっくりいうと「正しい」人間。
理不尽なおとなのやりかたとかいじめがけったくそ悪いと思える人間であることが多い。弱虫だったりこずるかったりするけど読者にストレス与えないように設計されている。
この主人公イモージェン・クワイもそう。
ケンヴリッジの住人(生徒・講師・スタッフ・教授)にある特権意識を批判的に見ているし、被害者であるフィリップを思いやるちゃんとした大人だ。
事件は4/5くらいのところで真相が明らかになるが、殺人とは別の謎『被害者はなぜそこにいたのか』の真実をイモージェンは追及する。被害者を愛するひとたちや希望をもってこの大学に来た故人のために動く。
何の得にもならないが何故そうしたかというと、彼女はこの学校の住人の健康やこころを護る仕事に誇りをもっているからだと思う。すべてを知った彼女が断固として罪をゆるさない様子は読んでいて爽快だ。
30年前のイギリスの階級主義はまだまだ強固だが今だって似たようなもんだろうなと思う。ただ、こういったいじめは今発覚したら確実に退学らしいけど。
このシリーズはあと3作あるそうだけど同じように「学術的ミステリー+世俗ミステリー」の混合なのかな、楽しみだ。
Posted by ブクログ
特別に凄いミステリーではないが、主人公が学寮の保健師って言う点が目新しい。被害者、容疑者共に寮生であり、日々の仕事をこなしつつ丹念に会話を続けていけるのも彼女の日頃のフェアな態度が信用されているとわかる。死者に対しても汚名挽回に奔走する点も好感がもてる。
Posted by ブクログ
ちょっとしたイタズラ,軽いいじめの連鎖と親切心から何が引き起こされたか.事故かもしれないが死んだ者にとっては殺されたようなもの.イモージェンの粘りで名誉が回復されて本当に良かった.