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Posted by ブクログ
今流行りの始皇帝よりも前の話で、紀元前6世紀、春秋戦国時代の中国が舞台です。
呉と越という小国同士の激しい対立を軸に、復讐・忠義・覇権争いが交錯する物語です。
呉王闔閭が天下取りを狙う一方、父王を殺された越王勾践が復讐を誓い、策士・范蠡の知略と共に国の再興を図る過程が描かれています。
伍子胥や伯嚭など、実在した歴史的人物たちの思惑や悲劇も交え、ただの戦記ではなく人間ドラマとしての深みを持った構成でした。
歴史の大きなうねりの中で、それぞれの信念がぶつかり合う重厚な一冊です。
読み始める前の予備知識がなかったために、人物を想像するのが困難でしたが、読み続けていくにつれて、その世界観にのめり込んでいきました。
全9巻と長いですが、読み応えは抜群でした。
Posted by ブクログ
文庫本全9巻まとめてのレビュー
春秋時代の中国南方(楚・呉・越)を舞台に展開された物語。
話の大きな軸は二人。
一人は伍子胥であり、もう一人は范蠡。
この時代のこの二人に主な焦点をあてた作品が今までなかったので、
読んでいてとても楽しい。
伍子胥についての大まかな知識は、海音寺潮五郎氏の「孫氏」で読んだことがあるが、
そこにはない伍子胥の生涯や魅力がこの本にある。
呉の公子光や孫武が、伍子胥にとっていかに大切な人であったか。
父親と兄の復讐をなすために、いかに多くの人々と巡り合い、力を貸してもらったか。
伍子胥に人としての魅力があったからこそ運命的な巡り合いがあるし、人として寛容であったからこそ、協力してくれる人もいる。
同じように、越王句践が范蠡にとっていかに大切な人であったか。
范蠡も実家と家族を失うも、やはり『人徳』というものに支えられ、多くの人々と知り合い、幸せにし、そして己の道を進んでいく。
”復讐”から始まる話は古代中国にたくさんある。
古いところでいえば太公望がそうである。
太公望にしろ、伍子胥にしろ、范蠡にしろ、
まずは復讐を成し遂げようとする本人たちが人間としての魅力を備えていないと、協力者も得られないし、何も達成できない。
その意味では「太公望」と似た話の展開ともいえる。
呉越の最終決戦がついに始まるとき…
それは呉の巨人・伍子胥と、越の天才・范蠡の知の対決でもあった。
とにかく一読の価値はある傑作だと思う。
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