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「心神喪失者の行為は罰しない」
刑法第39条vs連続殺人鬼。救うべきは誰か――
凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。事件の関係者である有働さゆりは医療刑務所から脱走し行方不明のままだった。
その頃、精神疾患を抱える殺人犯を無罪にした人権派弁護士が殺害される。遺体の傍らにはあの犯行声明文。これまでと異なる動きを見せるカエル男に翻弄される捜査一課の渡瀬と古手川は、ある人物から提案を受ける……。
解説・恩田陸。
【著者について】
中山七里(なかやま・しちり)
1961年、岐阜県生まれ。第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し、2010年に『さよならドビュッシー』でデビュー。他の著書に『おやすみラフマニノフ』『いまこそガーシュウィン』『連続殺人鬼カエル男』『総理にされた男』『護られなかった者たちへ』『境界線』(以上、宝島社)、『氏京太郎、奔る』(双葉社)、『棘の家』(KADOKAWA)、『ヒボクラテスの困惑』(祥伝社)、『作家刑事毒島の暴言』(幻冬舎)、『彷徨う者たち』(NHK出版)など多数。
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Posted by ブクログ
カエル男との再会にはかなりの時間が経過していましたが「嗤う淑女二人」を読んで間もないので時間軸が途切れていない感じがしました。巻末にあるような順番で読み進めるとスッと話の流れに乗れると思います。
有働さゆりが犯す惨虐な現場は中山さんの描写の巧みさから明確にイメージしてしまう。読んでいるだけなのに苦しさを体感しているような気になってしまう。惨虐さを共有できるにはそれ相応の怨念が膨張しないと難しいです。加えて多額の費用を費やしてでも苦痛を与えたいと考える異常さは類する異常さが引き寄せるのでしょう。
登場するキャストは豊富で中山七里さんの他のシリーズの主演者達が次々と登場して、少ない描写ながらもそのキャラクター特有の心情が容易に想像できた。少しずつ他の作品と関連しているのが凄いと思う。全てを最初から関連づけるのは不可能だと思うので、作りながらの考案でここまで複雑にできる苦労は想像すらできません。個々の作品だけでも充分惹きつけられているのに。
Posted by ブクログ
連続猟奇殺人鬼として日本中を震撼させたカエル男が再び動き出した。精神疾患を抱える殺人犯を無罪にした人権派弁護士の連続殺人。だが、これまでのルールに反する行動をとるカエル男に捜査陣は翻弄される。
カエル男シリーズの完結編ということで、自分の中でハードルが上がりすぎていたかもしれないのだが、「ん?」と思っているうちにあっさり終わってしまった印象を受けた。取り扱う問題は中々にセンシティブで、読んでいる最中は刑法39条について色々考えさせられた。それだけにそのあっさり感が非常に残念だった。他シリーズの登場人物がちょこちょこと顔を出すのは面白いとは思ったが、物語を壊さない程度だったのでそこは好印象。
Posted by ブクログ
シリーズ全てを振り返ると、ストーリーとしてはやはり第1作目が突出して面白い。カエル男の目的はさっぱり分からず、展開も読めず、メインキャラは曲者揃いで魅力的。本作は言わば「まとめ」の回で、締めくくりの一作と受け止め、読んだ。なるべくしてなった、こうするしかない、そんな哀しいラスト。読者からすれば、有働さゆりの父親こそ惨たらしく断罪されるべきだと怒りが湧く。
全ての登場人物を使って言いたいことを全部語らせた感があり、そこまで厚くない本なのに満足度は高い。人権派弁護士と呼ばれる一派をどう解釈するか、これまでの人生で犯罪とどう関わってきたかで意見が分かれるところだろう。被害者側か、加害者側か、両方か、全くの無関係か。
いずれにしても、性犯罪者の再犯率など調べればこの国の司法制度について疑問を持たない方が珍しいはず。制度が追いつかず後手に回っているのに、なぜ根本的な部分を改めないのか?
考え出すと、またシリーズ全てを読み返したくなる。渡部警部の考えは、思慮深く、篤く、憤る心理に適度に冷ましてくれる。
テーマが非常に重いため、お馴染みの登場人物が時折交わす軽妙なやり取りが唯一の救いになる。
「初めからそこにいただろ」には笑った。
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