オノレ・ド・バルザックの作品一覧
「オノレ・ド・バルザック」の「幻滅」「浮かれ女盛衰記」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
パリ、ヌーヴ=サント=ジュヌヴィエーヴ通り(現トゥルヌフォール通り、5区)にある下宿屋ヴォケール館。この館の住人の中に、法学生ウージェーヌ・ド・ラスティニャック、ヴォートランという名の謎めいた男、そして隠居した製麺業者のジャン・ジョアシャン・ゴリオという老人がいた。この老人はいつも他の下宿人たちから嘲り笑われていたが、彼らは程なく、この老人が上流階級に嫁いだ二人の娘に金を工面するために破産してしまったことを知る。
南フランスからパリに上ってきたラスティニャックは、上流階級に憧れを抱くようになる。なかなか上流社会に適合できずにいたラスティニャックは、従姉妹で社交界の花形だったボーセアン子爵夫人に処世術の手ほどきを受ける。彼女の紹介で知り合ったゴリオ爺さんの娘の一人、デルフィーヌ・ド・ニュシンゲンに彼は惹かれていき、田舎でつましく暮らす家族からの、なけなしの送金を使い込んでしまう。一方ヴォートランは、ヴォケール館に住む娘ヴィクトリーヌを恋するようにラスティニャックにしきりに勧める。兄のせいで幸せをつかみ損ねているヴィクトリーヌのために、ヴォートランは決闘で兄を殺してラスティニャックの前途を開こうと言い出す。
人間喜劇シリーズの主要人物ヴォートラン、ラスティニャック、ゴリオ爺さんが総登場。娘は自分たちの結婚やステータスのために父親をとことん利用して、恥じるところがない。愛情があるとは言うものの、今際の際にもかけつけない。それでも父親は利用され続けることを良しとして、嬉々としてなけなしの金を貢ぎ続ける。利用される一方のゴリオに対して、ヴォートランは人を利用して生きていくことに徹する。この両極端の人物に挟まれながら、主人公ラスティニャックがどちらの道を選ぶのかがポイントだ。
ただ、ラストの彼のセリフ「さあ今度はお前と僕の番だ!」("A nous deux maintenant!")を見るにつけ、人を利用する側に舵を切った事は間違いない。彼の良心は眠ったままなのだろうか。
2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。
Posted by ブクログ
ルイ16世の処刑、恐怖政治、食糧危機、第一帝政、復古王政と不安定な社会情勢で、ブルジョワジーと貴族が織りなす、金と虚栄心にまみれた泥沼の社交界が舞台。
金に執着せず、2人の娘を一心に愛する父性愛の塊であるゴリオ。
田舎の若者らしい良心をもち、パリの社交界の泥沼のなかで出世欲からくる悪と善良さの間で葛藤していくラスティニャック。
この2人を中心に、社交界の泥沼な人間模様が巧みに描き出されている。
っていうか、ゴリオの父性愛ってもう自己中心的すぎ!
娘に依存しすぎ!これを養育といってよいわけがない。
そして、社交界の汚さ。ラスティニャックの良心も、もう捨て去られる寸前…。
バルザックといえば、人物再登場なる技法を初めて使った人でもある、近代文学の祖ともいわれる人。
実はこのラスティニャックは、バルザックの別作品「あら皮」で青年として登場している人物だとか。
それを、ゴリオ爺さんで若者として再登場させているわけですね。
気になる! ラスティニャック、お前の良心は一体どうなったんだ。
たぶん、当時の読者も気になったに違いない。
こうやってバルザックは巧みに、読者を自分の別の作品に誘導したのではないかと思うのです。
わたしも読みたい。人間喜劇を全巻読みたい。
ただ、この手のものはやっぱり邦訳によって読みやすさも違ってくるし、そしてもうこの人間喜劇、全巻手に入れることのほうが難しいのですね。
ざんねん。
Posted by ブクログ
最近自分の中で、読んだことない海外名作に挑戦してみようフェア。ついに気になってたゴリオ爺さんに手をつけた!
翻訳者さんもあとがきで書いているほど、冒頭50ページの読みにくさが鬼門だと言われる本作だが、この訳なら最初から読みやすく、面白かった!
こんな大勢の登場人物覚えられるか?とは思ったけど、割とすぐ区別がつくようにもなった。
ほぼ全員金に振り回される利己的で人間臭い登場人物たちがヴォケール館や豪華絢爛な社交界を右往左往する有様は、なんとなくレミゼミュージカルでテナルディエ夫妻がマスターオブザハウスを歌い上げる一幕を連想させて楽しい。
ラストは悲惨としか言いようがないものの(娘を持つ父はこれを冷静に読めるのか…)、なんかずっと色々な人がバタバタしてるので、滑稽感もあって読後感は悪くない。
すごい俗だけど、「結局金は大事」「遠くの親戚より近くの他人」なんて言葉が頭をよぎる。
解説でラスティニャックやボーセアン夫人らが別の作品に再登場するともあり、それも面白いと思った。しかもラスティニャックは別の作品では「悪徳の媒介者」!
意外にも登場回数トップ2はニュッシンゲンとビアンションらしい。
Posted by ブクログ
ゴリオ爺さんて、どんなおじいさんかな?日本には花咲か爺さんのお話があるけど......(こんなことを考えるのは、私ぐらいだと思います 笑)
ゴリオ爺さんの悲劇と、社交界デビューを目指すラスティニャックの物語が合わさった小説です。お金と出世、幸せ〜って何だあっけ、何だあっけ?そんな気持ちになりました。登場人物、それぞれに個性的でおもしろいです。
19世紀のパリが舞台。ラスティニャックは格安下宿で、ゴリオ爺さんと出会います。ゴリオ爺さん、妻に先立たれ、娘2人の夢を叶えるべくお金をつぎ込むつぎ込む......。超親バカです。
ラスティニャックは、ゴリオ爺さんの娘のうちの1人に恋をしますが、田舎から仕送りされたお金を使い込み......。
サブ主人公として強烈な個性を発揮するのが、ヴォートラン。上から目線で、ラスティニャックに説教をたれます。悪魔のささやき。ヴォートランの語りにインパクトありです。
【印象に残ったヴォートラン語録】
・女というのは、自分に力があるときにこそ、自分はなんて幸せで美しいんだろうと感じる。
・口で言うぶんはいいが、それ以上に自分の考えに固執しないことだ。....原理なんてない。あるのは事態だけだ。法則なんてない。あるのは状況だけなんだ。優れた人間ってのは事態と状況に適応する。
・人間ってのは百かゼロだ。....唯一の本物の感情とは、男と男の友情だ。
小説終盤、ゴリオ爺さんの悲しい叫びは自業自得のようであり、“こんな親子関係あんまりだ〜”と思いました。
本書の注によると、人間喜劇の時系列で『ゴリオ爺さん』の後日譚にあたる作品、『幻滅』『浮かれ女盛衰期』があるそうです。電子書籍で確認したら、登場人物が多すぎて、まとまった時間のとれるときに読まないと、私の理解力では無理なことが分かりました。当分、積ん読です。
以下、余談です。
『ゴリオ爺さん』(バルザック)のラスティニャック、『感情教育』(フローベール)のフレデリック。どちらも19世紀のフランス、パリの青年。両者ともに複雑な人間関係を経験しています。そして、女性関係においては打算が含まれていました。小説のラストにおける2人を比較すると、
ラスティニャックは、ゴリオ爺さんの死後、まだまだ野心むき出しの意欲が感じられました。一方フレデリックは、様々に恋愛を重ね過ぎたためか、何となくお疲れ気味で〜すという感じでした。
19世紀のフランスにおいて、愛人をもつことが、貴族階級の男性とって必要不可欠なことが分かりました。