プロフィール

  • 作者名:小山田浩子(オヤマダヒロコ)
  • 性別:女性
  • 出身地:日本 / 広島県
  • 職業:作家

広島大学文学部卒。2010年『工場』で第42回新潮新人賞受賞。小説家デビュー。2013年『工場』で第26回三島由紀夫賞候補になり第30回織田作之助賞受賞。2014年「穴」で第150回芥川龍之介賞受賞。

作品一覧

  • 穴

    3.8
    1巻506円 (税込)
    仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。芥川賞受賞の表題作に、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦との不思議な時を描く二編を収録。
  • 工場(新潮文庫)
    3.4
    1巻605円 (税込)
    大河が南北を隔てる巨大工場は、ひとつの街に匹敵する規模をもち、環境に順応した固有動物さえ生息する。ここで牛山佳子は書類廃棄に励み、佳子の兄は雑多な書類に赤字を施し、古笛青年は屋上緑化に相応しいコケを探す。しかし、精励するほどに謎はきざす。この仕事はなぜ必要なのか……。緻密に描き出される職場に、夢想のような日常が浮かぶ表題作ほか2作。新潮新人賞、織田作之助賞受賞。(解説・金井美恵子)
  • 庭(新潮文庫)
    4.1
    1巻649円 (税込)
    私は夫と離婚をする。そのことを両親に報告せねばならない。実家へ向かう路線バスのなかで、老人たちがさかんに言い交わす「うらぎゅう」。聞き覚えのない単語だったが、父も母も祖父もそれをよく知っているようだ――。彼岸花。どじょう。クモ。娘。蟹。ささやかな日常が不条理をまといながら変形するとき、私の輪郭もまた揺らぎ始める。自然と人間の不可思議が混然一体となって現れる15編。(解説・吉田知子)
  • 小島(新潮文庫)
    4.5
    1巻825円 (税込)
    「絶対に無理はしないでください」豪雨に見舞われた地区にボランティアとして赴いた〈私〉は、畑に流れこんだ泥を取り除く作業につく。その向こうでは、日よけ帽子をかぶった女性が花の世話をしていた。そこはまるで緑の小島のようで――。被災地支援で目にした光景を描いた表題作のほか、広島カープを題材にした3作など14編を収録。欧米各国で翻訳され、世界が注目する作家の最新作品集!(解説・藤野可織)
  • ものごころ
    4.1
    1巻2,200円 (税込)
    子供の世界へダイブする、カラフルな短篇集 植物や花、虫やさまざまな生き物が乱舞する、色鮮やかで心躍る「子供の世界」へ! 二人の少年が川原で拾った、怪我をした犬の命運は。(「心臓」) 子供が飲み込んでしまったスモモの種はいつ出てくるのか。(「種」) 「穴」で芥川賞を受賞して以来、独自の小説世界を築いてきた小山田浩子さん。近年では海外に招かれる機会も多く、「日本発のマジックリアリズム」の旗手として注目を集める著者が、言葉の奔流のような文体と、顕微鏡をのぞきこむような高精細な描写で「子供の世界」に挑む9篇。 子供の世界へ身体ごとダイブし、子供が見るように世界を見る、唯一無二のカラフルな小説集。
  • 最近
    4.0
    1巻2,420円 (税込)
    夫に付き添い初めての救急車でやってきた深夜の病院の待合室。ふと思い出したのは、子供の頃に聞いた、赤い猫を見ると死ぬという噂――パンデミックというついこの間の出来事を背景に、ある平凡な夫婦とその周りの人々の生活を精緻に描き、日常の外側に読者を連れていく。海外でも翻訳多数の気鋭作家による最新連作長篇。

ユーザーレビュー

  • 庭(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    何気ない日常のような文章
    ひとつひとつ細かく細かく
    描写される
    どこか懐かしかったり
    どこか自分のことのような
    でも
    なんだか不気味さが漂っている
    何かが起こるわけでもない
    ちょっとだけ
    なにかが背筋をゾワッとさせる

    文章の段落がなく
    たたみ込むようにセリフが
    連なる
    それがまるで本当に自分が
    動物園の中で
    騒がしい雑踏の中で
    途方に暮れている気分に
    させてくれている
    あるいはオタマジャクシや
    カエル、蜘蛛、蟻、草や木の実
    すべてが生きている
    今、ここで生きている

    その中で人々の心の中が
    見え隠れして
    また日常が過ぎていく

    怖い、ホラーだ!


    0
    2025年11月28日
  • 工場(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    街のすべてが工場で
    成り立っているような
    巨大な工場がある
    そこで働くことは誇らしい
    ことらしい
    いったいなんの工場なのか?
    自分の仕事は
    なんのためにあるのか
    はたして必要なのか?

    それぞれが疑問に思いながら
    毎日過ごす

    工場特有の鳥がいる
    工場特有の動物がいる
    工場特有のトカゲがいる
    謎は深まるばかり
    小学生の書いた研究論文が
    校正に回されてくる
    そしてそれは
    シュレッダーに回されるのだろうか
    きっとそうだろうな

    そして黒いウは‥
    いこぼれのむしを読んでから
    また工場を読むと
    なんだか
    はっ!とする言葉があったりする
    これは
    永遠に読むのを
    やめられないのかもしれない!

    何かを求め

    0
    2025年10月25日
  • 穴

    Posted by ブクログ

    私は不穏な空気を感じながら、読み進んだ。
    穴、穴、穴。
    先走る私は、主人公が穴に落ちるのはいつなのだ!と思いながら。
    ジリジリと暑い真夏の田舎の風景、普段誰も足を踏み入れないような川沿の草むら、見たことのないようなぼうぼうの草の茂み、虫の死骸。それが雨で湿って子供に踏み込まれて、土と混じったような臭いまでして来そうだ。蝉の大きなうるさい声と青い空。
    私は昔の田舎の草の臭いと小学生の時、空があまりにも青くてきれいで悲しくなったことを思い出した。
    不思議な獣、義兄、義祖父。義兄は本当にいたのだろうか?獣は?

    映画を観る時のように、オチはなんなんだろうと考えながら、多分そんなものはないのだろうとわ

    0
    2025年10月20日
  • 穴

    Posted by ブクログ

    表題は芥川賞受賞作品

    夫の転勤で、
    夫の実家の隣に引っ越す
    家賃はなし
    非正規の理不尽な仕事も
    辞めることができた
    隣の姑は何かと世話をやく
    そして教えてない携帯に
    電話してきて頼み事をする
    しかもそれはお金が足りない支払い
    舅の父は
    毎日同じように水を撒く
    雨でも水を撒く

    毎日暇になり
    変な生き物と出会い
    そこから謎だらけ

    昼間の田舎の
    その場所だけが
    なんだか浮いてる感じになる
    異世界なのか

    誰もがなんだか
    ふわふわしていて
    実感のない存在?

    とにかく戸惑ったまま
    本を閉じることになる

    他の二篇も同じように
    落ち着かない

    友人の家はいたちが出る
    そして妻の実家もかつて
    いたち

    0
    2025年10月07日
  • ものごころ

    Posted by ブクログ

    何なんだろう。この、明け透けで切なくて優しい感じは。特に「心臓」とその後日譚である「ものごころごろ」。

    0
    2025年06月14日

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