里中哲彦の作品一覧
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Posted by ブクログ
本棚がブラックミュージックの流れになったので、隣にこれを。
「はじめての」とタイトルにあるとおり、とにかく読みやすくわかりやすい。対談形式の文も読み進めやすく、ジャンルで章が分かれ、主要アーティスト名と作品、必聴アルバムがしっかり紹介されているのもいい。名前を見るだけで顔が目に浮かぶアーティスト群にわくわく、スマホ片手に音源検索しながら読むと、情報量が何倍にもなる本です。
もうひとつ読みやすさの理由は、単なる情報の羅列ではなくエピソードがうまく盛り込まれていること。
アーティストの生い立ちや土地柄、時代背景。マヘリア・ジャクソンが語ったという、「絶望を歌うのがブルーズで、希望を歌うのがゴスペル」という言葉。エルヴィス・プレスリーとB.B.キングの邂逅や、キング牧師暗殺後のジェームズ・ブラウンの行動など「ぐっとくる」エピソードだらけ。
特に心に残ったのが、前半、黒人が奴隷としてアフリカから連れてこられた存在であることに触れた部分。彼らの土着信仰とキリスト教の融合から生まれた「アフリカに起源をもつ先祖崇拝信仰の民間宗教の代表」として「ヴードゥー」を挙げる。
ヴードゥーは歌と舞踏による宗教、そして有名なのが、呪術によって死んだ者を蘇らせる「ゾンビ」の存在である、と説く。
歌と踊りとゾンビ、
といえば、そう、
マイケル・ジャクソン『スリラー』。
そこ、つながるんだ!
世界のエンタメ史に誇る傑作、今でもみんな真似して踊りたくなるあのMVが、そんな深いところに根を張っていたなんて。
「黒人のマイケルがやってこそのパフォーマンス」「自分のルーツに強い関心を寄せていたマイケルがそれを意識していたのは明らか」という論に、目から鱗。
だとすれば彼は、どれだけ己のルーツに誇りを持っていたのか。「白人になりたがっている」なんて噂がとれだけ口さがない、罪深いものだったか。全く実のないナンセンスじゃないですか。
数々のエピソードに感心し、音をたどってはエネルギーに圧倒される。これがアメリカ。
「欧米」と一括りにされがちだけど、欧と米ってだいぶ違うよね、特に音楽は、というのがわかる一冊です。