富坂聰の作品一覧
「富坂聰」の「おそるべき「中国一強」時代(小学館新書)」「風水師が食い尽くす中国共産党」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
日中関係の専門家によるドラゴンズ本。手に取るまでは、アカデミックな分析が中心かと想像していたが、読み進めるうちに、それは熱烈なドラゴンズファンによる愛情たっぷりの一冊だと感じた。
本書は、「民主主義」「人材育成」「敵役のつらさ」「多様性」という四つの視点からドラゴンズの歴史を紐解く。著者の過去の経験が織り交ぜられながら語られるドラゴンズの歩みは、単なる野球チームの興亡史に留まらない、普遍的なテーマへの深い洞察を与えてくれる。
専門家という肩書を意識させないほど、平易な言葉で綴られているにも関わらず、その内容は示唆に富んでいる。ドラゴンズという共通の話題を通して、民主主義のあり方、人材育成の重要性、競争社会における他者の立場への想像力、そして多様な価値観の尊重といった、現代社会が抱える課題に自然と意識が向かう。
何よりも、ページをめくるごとに伝わってくる著者のドラゴンズへの深い愛情が魅力的だ。専門的な知識を背景に持ちながらも、一人のファンとしての熱い想いが、読者を惹きつけ、共感を呼ぶ。
肩肘張らずに読めるにも関わらず、読み終えた後には、ドラゴンズというローカルな野球チームを通して、社会や人間関係について深く考えさせられる。野球ファンはもちろんのこと、そうでない人にも、新たな視点を与えてくれるだろう。
これは、専門家というフィルターを通した、愛情と洞察に満ちた、新しい形のドラゴンズ本と言えるだろう。非常に読みやすく、そして何よりも面白かった。
Posted by ブクログ
正義のためにという綺麗事ではなく、国は自国のメリットのために動く。国際関係を読み解くための大切な視点を示される。確かに正義を実行するメリットがないと、コストを払ってやらないよなと納得。北朝鮮に長年核武装を放棄させないのも、現状維持がアメリカにも中国にも都合がよいってことなんですよね。あと書店にやたら中国崩壊を煽る書籍がたくさんあり違和感があったが、これも感情的な面が多分に出ており現実はどうか冷静な目線が必要。
尖閣諸島、靖国といった、対中関係の火種になっている問題の成り立ちがよくわかる。
尖閣諸島に対するアメリカの中途半端な態度の意図が、「領有権については中立」とする立場から来ているのはなるほどと感じた。だからオバマの「日本の施政下にて日米安保の適用対象」というのを得てに切りとった報道は鵜呑みにできない。
靖国についても、問題視はもともと日中国交正常化をした際の中国国内への説明と矛盾が生じるという中国国内の事情と、日本国内の反戦勢力が、中国に持ち込んだ結果だと理解した。きっかけは中曽根時代にあったものの最終的に今の状況を生み出したのは小泉時代に靖国内に遊就館ができ、「先の対戦は独立の戦争」と戦後の戦勝国史観の否定的な見解を堂々と公表したことにあるのだと理解した。
Posted by ブクログ
■(イギリスのAIIB参加に際し)「価値観」ばかりを異様に重視し,「利害」という要素の影響を軽視する日本の伝統的な誤りが作用。
■日本と韓国は強い民意の監視下で内政を意識した外交を行わざるを得ない。
■日本の外交は民意の強い干渉のもとで硬直化してしまっている。
■日本を除く国々の駆け引きは「価値観」だけではなく「利害」という変数が大きく働く。日本はそうした見極めが苦手。
■日本に利益をもたらすためには,変化に鋭敏にならなければならない。必要なのはチャンスと見れば”剛”と“柔”の両面から機敏に対応できる機動力であり,そのためには民意と距離を置く方法を模索すべき。
Posted by ブクログ
[大所帯の本当のところ]中国の台頭とともに、対外関係的にも多くの注目を集めている人民解放軍。機密性が高い存在であるその軍の内幕を、幅広い視点から記述した一冊です。著者は、中国関係のニュースの解説などで見かけた方も多いのではと思われる富坂聰。
情報が少ない中でどうしても憶測や想像で話が進められてしまいがちになると思うのですが、客観的なデータや歴史的事実を豊富に用い、その沿革や近年の意図を的確に記述している姿勢に好感が持てました。新書という形式ではありますが、中国を考える上で欠かすことのできない人民解放軍に関して有益すぎるほどの情報を与えてくれますので、興味のある方にはぜひオススメしたい作品です。
個人的に関心が引きつけられたのは、上り調子一辺倒に見える人民解放軍についても、その内部に深刻な問題を多面的に抱えているという点。腐敗や汚職といった、広く語られるテーマに限らず、近年の軍事革命がもたらした軍自体の変革への挑戦などについても言及がなされており、特に考えさせられることが多かった読書体験でした。
〜解放軍はいま、大国にふさわしい軍を目指し、外に向けては膨張を続ける一方、日々深刻化する内患に悩まされている。〜
これを新書で出せてしまうのはいろいろな意味でスゴいと思う☆5つ