あらすじ
謎のベールに包まれた中国人民解放軍。79年の中越戦争を最後に実戦経験を持たず、周辺諸国とは常に領土・領海紛争を抱えている。空母建造や宇宙開発など、未知の分野に乗り出した中国の狙いは何か? 最大の軍事大国アメリカとの衝突は不可避なのか? ディープな人民解放軍研究!
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Posted by ブクログ
[大所帯の本当のところ]中国の台頭とともに、対外関係的にも多くの注目を集めている人民解放軍。機密性が高い存在であるその軍の内幕を、幅広い視点から記述した一冊です。著者は、中国関係のニュースの解説などで見かけた方も多いのではと思われる富坂聰。
情報が少ない中でどうしても憶測や想像で話が進められてしまいがちになると思うのですが、客観的なデータや歴史的事実を豊富に用い、その沿革や近年の意図を的確に記述している姿勢に好感が持てました。新書という形式ではありますが、中国を考える上で欠かすことのできない人民解放軍に関して有益すぎるほどの情報を与えてくれますので、興味のある方にはぜひオススメしたい作品です。
個人的に関心が引きつけられたのは、上り調子一辺倒に見える人民解放軍についても、その内部に深刻な問題を多面的に抱えているという点。腐敗や汚職といった、広く語られるテーマに限らず、近年の軍事革命がもたらした軍自体の変革への挑戦などについても言及がなされており、特に考えさせられることが多かった読書体験でした。
〜解放軍はいま、大国にふさわしい軍を目指し、外に向けては膨張を続ける一方、日々深刻化する内患に悩まされている。〜
これを新書で出せてしまうのはいろいろな意味でスゴいと思う☆5つ