日下公人の作品一覧
「日下公人」の「新しい「幸福」への12章 経済と人生哲学の接点から」「新しい日本人が日本と世界を変える」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
ここ最近いくつか読んだ日下公人の本の中でも、本人の気持ちがストレートに伝わってきて納得ばかりの本。この本では靖国神社は参拝すべきだし、それは他国にとやかく言われる筋合いは無く、優位戦思考で対応方法する方法はある、日本は堂々とした態度を取るべき、と述べている。そのために知っておかなくてはならないことは沢山あり、重要な例をいくつか紹介してくれている。事実を歪曲しルールや歴史を変えようとしたり、自国さえ良ければという考え方で動いたり、都合が悪いことは棚に上げてしまおうとする国々の中で、日本は優位戦思考で誇りを持って対応できることを教えてくれる。卑屈になったり隷従する必要はない。
これから自分の取るべき対応としては、マスコミの報道や論調に振り回されないようにすることだ。
Posted by ブクログ
また「新しい日本人」とは日本を「我が国」と思う一体感があり、単なる愛国主義、国粋主義とは異なる「戦前派」ではない。
すなわち、潮流としては「戦前派が災後派(震災時に見せた、日本人の相互扶助感・自衛隊への感謝)」になり、戦前との歴史の連続性に気づき、それを大切にしようとし戦後70年余りの「戦後体制」から脱却しようとする。これこそが「新しい日本人」だと喝破する。
日下氏はこうも問いかける。そもそも現行憲法9条を「平和の守護者」と考えるなら、なぜ北朝鮮による拉致被害を防げず、またその被害者を救助できないのか、と。
哲学者の田中美知太郎氏には「憲法で平和をいくら唱えてもそれで平和が確立するわけではない。ならば憲法に、台風は日本に来てはならずと記すだけで台風が防げようか」という至言があるが”9条信者”の人々はこれに答えるべきだ、と日下氏は疑問を呈する。
氏はこうも唱える。SEALDsの代表の奥田某は福岡県生まれだが、彼の父は牧師であり「反天皇主義」と「ホームレス支援」で有名な活動家であるそうだ。彼は公的な意味を持つ活動に参加し、一定の影響力を持つ存在となったら、その人間の背景についても伝えるのがメディアの仕事であり、それを「普通の学生」としか伝えないのは手落ちであるという。
また日下先生は計量的にも彼らの活動の失敗を事例をもって証明する。SEALDsが活動した平成27年10月の参議院選挙では、若者の多くは彼らに賛同しなかった。
当該選挙の共同通信の出口調査によれば、18,19歳の比例代表投票先のトップは自民党の40%で、20代43、2%、30代、40、9%に次ぐ3番目の多さで、中高年より自民党を支持している結果となった。
話は中国に飛ぶ。2010年1月中国は「中華人民共和国海島保護法」という中国が主張する無人島は中国が所有するという趣旨の法律である。
これをもとに中国は、尖閣諸島だけではなく近海6千の無人島の国有化を宣伝している。このような中国の動きについても、日本の大手メディアはほとんど報じなかった。したがって「(石原)都知事の尖閣購入の表明、その後の国有化が日中関係の引き金を引いた」という報道がいかに的外れなものであるか、遡ってみれば歴然である。
次に日本国憲法に話は飛ぶ。日下氏個人では、日本には必ずしも「憲法」は要らないのではないかと考えているとのこと。
なぜなら、大日本帝国憲法は明治時代、列強と肩を並べるため大急ぎで作ったものであるし、そもそも日本人たるもの、文字や文章にわざわざ表して制定しなくても、歴史に培われた日本人としての規範があったはずだと思うからだ。
それをまずはっきり自己のうちに見出すことが大切で、そうした根本における自意識が、戦後の日本人には著しく欠けている。日本人の伝統や慣習に会わないものならば、それは日本という国の憲法にはふさわしくない。それだけのことだ、という。
確かに、我が国の周辺国が憲法の前文にある(平和を愛する国民)ばかりであれば、その(公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう)とすることも可能かもしれない、しかし上述の中国のように、そのような実態はないのである。
(われらは、いづれの国家も、自国のことのみ専念して他国を無視してはならないのであって(中略)他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる)という文節も、いったいどこの国のことを言っているのか、少なくとも日本ではない、氏は断言する。
安倍首相は、日本を「美しい国」にしたいと語ったが、憲法の前文に我が国のあるべき姿を記するとき、日下氏なら「安らぎの国」とか「思いやりの国」といった言葉、あるいは
「潔い国」という言葉を入れるそうだ。
これは日下氏の慧眼であり、普遍的なものであり、かつて米国大統領選挙でアル・ゴアと息子ブッシュが裁判所まで持ち込まれた時、日下氏はアメリカ人に「そんなことするのは民主主義の恥、アメリカの恥であり「どちらかが潔くしたらどうか」という話は米国内ではでないのか」と外務省の元駐米大使に言ったそうだが、彼曰く「私もそう思うが、英語には「潔い」という言葉がない。残念だが助言できない」と言われたそうだ。
そこで日下先生、日本語ができる外国人や日本人の英語教師の顔を見るたびに「潔い」という英語はありますか」と聞かれたそうだが、みんな「ピッタリくる英語はない」という答えだった。
NobleでもGracefulでもない上智大学名誉教授の故渡部昇一氏が「Manlyという古い英語がそれに近い」と教えてくれたそうだ。
アメリカはまだ240年しか歴史のない国だから、敗者は敗者、退場するだけであってそのような概念がないということであるそうだ。
ただでさえ、英語による思考は二分法になりやすい。白か黒である。もともと契約のために発達した言語だから仕方がないが、対象となる社会現象や自然現象は、たいていアナログである。
アナログをデジタルで表現すると、グレーゾーンを切り捨てることになる。洋裁でいうと布地の裁ち屑がでるようなものであるが、日本語はそのような裁ち屑を掬い上げる秒なニュアンスが豊富である。
日本人の憲法を成文化するなら、きちんと日本語で考えられ、日本語で書かれるべきだ。それは外国人が理解できない場合、彼らに考えさせるべきであるとまでする。
と日下節は続くが、これ以上紹介すると著作権違反になるのでこの辺で。日下ワールド満載の一冊である。普通の日下先生のご著書より若干難しめです。「難しい日下先生も好き❤」という方には満足度100%でしょう。ちなみに私は120%久々にいい本を読みました。
日下先生、ありがとう。末永くご活躍を!!!
Posted by ブクログ
私がレビューを書き始める10年ほど前から、新刊を楽しみにしている日下氏と、私には初めての、上島氏との共著で、日下氏の最新刊(2015年12月現在)です。
日下氏が彼の著書の中で、いつか「優位戦思考とはどんなものか」について、本で紹介すると言っていたので、タイトルを見た時に、嬉しくなりました。
この本では、日下氏が、優位戦思考を、先の大東亜戦争時に当てはめるとどうなるか等ということを、上島氏による、当時の個別の戦いの紹介と合わせて、解説されています。全体の戦いの流れが分かって、良かったです。
日本はいまだに劣位戦思考から抜け出せていなくて、経済規模が大きくなったにもかかわらず、優位戦思考ができていない問題点を指摘しています。
あの戦争は、経済格差が大きすぎて無謀だったと、よく本で言われますが、同様な状況で、結果として勝利した、日清戦争や日露戦争に言及されることは私の知る限りありません。あの戦争の始まった時の日本人の心は「晴れ晴れ」としていたと聞くこともあります。
戦争をすることの是非は、現代の価値観で判断するのではなく、当時のアジアを取り巻く環境などを考慮して、戦争から何を学んだのか、戦争の目的は何で、それがどういう形で実現されたのかを見直すのに良い機会となりました。
以下は気になったポイントです。
・大東亜戦争を自らの愚かさや無謀の証としてしか語れないとしたら、日本人はいつまで経っても勝者に隷従する「劣位戦思考」しか持ちえないことになる。優位戦思考から、日本の戦争目的や戦争設計を考えてみると、どんな可能性が浮かび上がるかを、を考えるべき(p2)
・絞り込み思考(劣位戦思考)の学者は、自ら仮説を立てて検証し、それを積極的に世に問うていく(優位戦思考)よりは、検査官のようになって、マニュアルに当てはめて人を裁くことになる(p20)
・幕末の日本が遭遇した「世界」は、いかなる構造だったか、時代の価値観はどのようなものだったかを、考えるのが、日本人が戦いに踏み切らざるを得なかったかを理解するために必要(p25)
・ヨーロッパ人の飽くなき征服意欲を支えたのは、明白なる天意という、キリスト教を背景にした意識=キリスト教以外の有色人種を同じ人間とみなしていなかったという事実、につながる(p25)
・ローマ教皇は、1493年に地球上に分割線(ベルデ岬諸島西はスペイン、東はポルトガル)を引いたが、1494年のトリデシリヤス条約、1529年のサラゴサ条約で修正された。近畿地方以北がスペイン、中国・四国・九州はポルトガル領となる(p29)
・1767-96年にかけて、マイソール王国が、イギリス東インド会社と戦って敗れた結果、イギリスは南インドの支配を確立。1819年に中部インドを飲み込み、1857年にセポイの反乱がおきると、ムガル皇帝を廃して、東インド会社を解散して、ビクトリア女王がインド皇帝を名乗る、インド帝国を作った(p29)
・インドシナ半島はフランス、ベトナムへの侵略後、ラオス・カンボジアを含めた、インドシナ連邦が形成。インドネシアは、イギリスを駆逐した、オランダ東インド会社が、マタラム王国の内紛に介入して保護国化した。1816年にオランダ王室の直接統治(p30)
・大航海時代から、19世紀末に至るまで、欧州列強によって営々と続けられた植民地収奪の歴史により、アジアに起つのは、事実上日本のみとなった。これが日本が大東亜戦争を戦う蓋然性が必然性に変わった(p30)
・決定的に違うのは、日本人は、肌の色や宗教が違っても人間はみな同じだと考えているのに対して、彼らは「異教徒は人間ではない」「肌色や目の色の違いは進化の過程が違うことを示している」と考えている(p32)
・明治開国以後の日本人が苦闘してきたのは、国家としての、1)独立主権の維持発展、2)アジアの安定確保による世界平和への寄与、3)人種平等の確立、に要約できる(p35)
・日清戦争と日露戦争の両方に共通する目的は、朝鮮半島の安定だった。言い換えれば日本の脅威となるような事態が朝鮮半島に起こるのを防ぐことであった(p46)
・戦争目的と戦争設計という視点から、日清戦争と日露戦争を戦った日本を見ると、そこには政治的にも軍事的にも限定的で、かつ明確な目的があり、政治と軍事(戦争)が絶妙な連携がとれていた。戦争の3要素とされる、国民の敵愾心・政治の指導力・軍人の勇気と才能、の間に致命的な齟齬はなかった(p51)
・定遠、鎮遠、との決戦用に、三景艦(松島、橋立、厳島)を建造したが、それでも清国海軍と日本海軍を比較すれば、戦力差は5対1であった(p53)
・それでも清国海軍北洋艦隊との間で行われた黄海開戦は、日本の勝利であった。副砲である速射砲、イギリス製の新式巡洋艦との連動により、高速で艦隊運動が可能となったから(p53)
・人種平等の実現が二十世紀最大の事件である、科学技術は誰かが創り出すが、白人絶対時代は、有色人種の誰かが立ち上がって、実力で打ち破らない限り終わらない。白人のほうから譲歩することはあり得なかった(p63)
・戦争設計とは、まずは白紙で考えて、武器やカードを列挙する。次に使う順番を決める、最終的に達成するゴールを明確にすること(p69)
・日露戦争では、児玉源太郎が先を読んで整備した海底ケーブルの通信網が大きな効力を発揮した。バルチック艦隊の情報は、イギリス・アフリカ回線を通じて日本に送信された(p69)
・トルコは当時、黒海と地中海を結ぶ、ボスポラス・ダーダネス海峡を押さえていて、ロシアの黒海艦隊を通行止めにした(p75)
・パリにおける国債相場は、日本、ロシアも勝敗によって上下していた。日露戦争は資金調達戦争であった。それを当時の軍人が分かっていたが、いまの評論家には欠けている(p85)
・優位戦思考とは、自分がどのようなカードを持っているか、持ち得るか、相手との比較の上で何ができるかを考えること。自分の長所短所をわきまえた上で、相手よりいかに柔軟な思考・発想ができるか、それを実行に移すかという勝負の世界である。戦費と人員が足りないのなら、それをいかに補うかを考える(p87)
・人種問題を抜きにしては、なぜ日米が戦うことになったのかの答えは出てこない。19世紀半ばから20世紀前半にあった「黄禍論」もそうである(p109)
・人種平等規約の提案に賛成したのは、フランス・イタリア・ギリシア・中華民国・ポルトガル等の11か国、反対は、イギリス・アメリカ・ポーランド・ブラジル・ルーマニア、であった(p116)
・大東亜戦争で日本が勇戦敢闘したのを見て、アメリカの黒人が立ち上がり、ユダヤ人と連携して「公民権法」を勝ち取った(p117)
・第一次世界大戦時のロシア皇帝(ニコライ2世)と、ドイツ皇帝(ウィルヘルム2世)、イギリス国王(ジョージ5世)は従妹同士、第一次世界大戦は、一族の戦争である(p125)
・スイスは、国民に兵役の義務を課した上での、武装中立国であることを、メディアは伝えようとしない(p134)
・戦争が始まる頃、アメリカ・イギリス(世界の4分の1)、オランダ(インドネシア)、ソ連も自給自足(アルタルキー)が可能であったが、日本やドイツ、イタリアは不可能であった(p156)
・ソ連における、皇室廃止指令、共産主義に賛同しない人民の大量虐殺(700万人)等に、日本は危機感を覚えた。昭和初年から日本がおかしくなっていったのは、外的要因が国内に変化をもたらしたことも、わきまえるべき(p165)
・治安維持法の制定は大正14年だが、同時に、普通選挙法も成立、軍縮(高田、岡山、豊橋、久留米の陸軍4師団の廃止)も行っている(p167)
・世界最大の債権国となった日本が戦争をしないので、21世紀の世界は平和、この視点に立つと、大東亜戦争の正体は、国と国の戦争ではなく、国際金融資本が作った戦争となる(p184)
・当時の日本は、繊維製品を輸出して稼いだお金で原材料と機械を買っていたが、関税障壁で、アメリカ・カナダ・南米までが関税をかけ、アメリカの保護貿易が原因であった(p188)
・日程が付されていないことは、法的には何の効力もない、ハルノートはそのようなもの(p199)
・ガダルカナル島をめぐる海戦に、トラック島の泊地にいる、大和・武蔵といった戦艦は出撃せずに、巡洋艦や駆逐艦群が死闘を繰り広げていたにも関わらず、陸奥・長門も出さないで、旧式の金剛型の戦艦をだして沈められた(p244)
・三次にわたるソロモン海戦、サボ島沖海戦、南太平洋海戦、ルンガ沖海戦において、日米両海軍の損失はほぼ互角(24対24)、しかしこれが、攻勢終末点であった(p245)
・のちに戦艦大和最後の艦長となる、有賀幸作の第四駆逐隊に魚雷での空母赤城処分が命じられた(p254)
・ガダルカナル失陥後の戦勢を立て直そうとした、マリアナ沖海戦は、ミッドウェー海戦を上回る大艦隊を編成したが、米国は圧倒的に勝っていた(p257)
・19年10月のレイテ湾海戦で、連合艦隊は事実上壊滅した(p265)
・短期決戦主義と、艦隊保全主義の矛盾を解消できなかったことが、大東亜戦争における日本海軍の行動を不徹底にし、優位戦を展開できる戦力行使と戦場の設定ができなかった(p270)
・資源確保であれば、蘭領インド(インドネシア)に進出して、オランダと日本の妨害にくるイギリスだけを相手にする(アメリカとは戦わない)方策もあった(p273)情報戦という発想で、大和・武蔵の存在を活かさなかったのはもったいない事(p275)
・陸軍の最小戦闘単位は分隊、分隊長の下には、機関銃手1名、小型の迫撃砲である擲弾筒手が一名、手りゅう弾は全員が数個ずつ所持という具合に、どの分隊も金太郎的な編制であった。インパール戦では、宮崎少将は現場を任された指揮官として、規則を破って能力別編制を実行した、震災後の吉田所長も同様の行動をした(p280)
・昭和18年8月1日にビルマ、10月14日にフィリピンを独立承認して同盟条約、同23日に自由インド仮政府を承認、30日に汪兆銘政権と同盟条約を結んで、同年11月5・6日に、大東亜会議を結実した、18年4月末に外相に就任した重光氏は、東条英機・昭和天皇の後押しも受けたもの(p284)
・中国、ロシア、イギリスも日本と戦ったことで衰退に傾いた。ロシアは勝者側でも、中立条約違反、侵略による領土獲得で、道東的敗北。中国も、中華民国という蒋介石の国は、毛沢東の共産党に負けた、イギリスも全アジアの植民地を失った(p287)
・戦勝国が何と言おうとも、人種差別が公然とできなくなった新しい世界をもたらし、その引き金を引いたのは、この世界にあって日本という国である(p292)
2015年12月20日作成