宇野碧の作品一覧
「宇野碧」の「アンダーザスキン」「キッチン・セラピー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
ろくでなしの中年息子と対話するためにラップバトルをする事になるお母さんのお話
早くに夫を亡くし、女手一つで梅農園を切り盛りしてきた明子
息子の雄大は35歳、二度の離婚歴があり、三人目の妻と借金残して失踪中
雄大の12歳下の妻である嫁 沙羅は農園を手伝いながら、趣味のHIPHOPとフリースタイルバトルに傾倒
沙羅が出場するフリースタイルバトルに付き添いで行った明子が目にしたものは、……
「レペゼン(represent)」は 元々は、「象徴、代表」の意
ヒップホップ用語では「代表する」の意味で使われ、主に出身地や自らの属性などに紐付けられる
HIPHOP、及びフリースタイルバトルの文化的な成り立ち
社会的な弱者や虐げられている人達の成り上がりの手段
元々のガラの悪さや特定のコミュニティーの中で発展してきた閉鎖性がある
相手をディスるというのがスタンダードで
特に女性に対しては揶揄が酷い
沙羅を傷つけられたと感じた明子の憤り
怪我での入院中の音楽的嗜好の変化からのHIPHOPへの慣れ
そして、普段は口には出さないものの、内心でのディス
鬼道楽が完全に噛ませ犬だな
後にも登場しないし、明子をデビューさせるためだけの舞台装置になっている
明子も、女性に対して性的なディスをするような場に来たいと思う女性はいないと言っているけど
実際に今のこの界隈ってどうなってるんですかね?
一時期はフリースタイルダンジョンは流行ってた印象がある
女性ファンは増えたのか?
鬼道楽に対しては敵討ちの意思があったけど、他の人とは戦う理由がないという明子
でも、とことんどうしようもない息子が相手なら……
息子と戦うため、他の人とのバトルの作戦
どんな人間であれ、みんな母親から生まれてきてるわけで
もしかして、最強のカードじゃね?
ラップバトルは、相手の言葉をしっかり聞いて、即座に反論を返さなければいけないトークバトル
明子の言葉に聞く耳を持たなかった雄大も、ステージ上ではその意味までしっかりと理解しなければいけない
そして、その言葉に対してどんな返しをするのか?
雄大とのラップバトルを控えて自信をなくした明子に、沙羅が言う
「対戦するって、相手のことを想像して、相手の立場になりきることなんだと思う。本当の勝負って相手を理解することじゃないかな」
雄大は「万年反抗期」とでもいうべき、問題ばかり起こすダメ息子だし
厳しく叱っても反省しないし、次々と問題を起こすし、明子視点で読んでいる読者としては同情してしまう
でも、実際は「親の心 子知らず」であり、「子の心、親知らず」でもあったと
明子も逆に雄大の内面を受け止めざるを得なかった、と
親子関係も色々というのが描かれている
明子と雄大、沙羅と親、そして明子の友人で農園で一緒に働く円とその息子で引きこもりの正太郎
どの親子関係も相互理解ができていないような気がする
かと言って、どうやってそのディスコミュニケーションを解決するかという方法は中々難しい
何だかんだ言って、最終的に落ち着くところに落ち着いてよかった
こんなヒューマンドラマは大好きです
あと、フリースタイルラップバトルの解像度がちょっと上がった
評価ポイント
アンサー:自分の主張だけでなく、「返し」にキレがあるか
フロウ:韻を踏む、リズムに乗っているか
バイブス:客を味方につけ、会場を支配する雰囲気
パンチライン:言葉選びのセンス
こんな事を即座に考えて即興で演じるとか、やってる内容がすごい
ただ私はHIPHOPに詳しくないので、この小説に対するHIPHOPファン目線の意見を聞いてみたい
韻を踏んでるところもあるけど、
ラップのクオリティはどうなんでしょうね?
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マイクを握れ、わが子と戦え!
山間の町で穏やかに暮らす深見明子。
女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。
そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。
「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」
明子はマイクを握り立ち上がる――!
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Posted by ブクログ
彫り師の針生榴(はりゅうりゅう)はタトゥーが原因で高校を中退、最終的には母と同じタトゥーイストの道を選ぶ成長物語だと読み始めたがもっと深い話だった。タトゥーって村山由佳作品によく出てくる、それくらいのイメージしかなかった。けど魂の精神的治療にもなりうる、元々は民族的、成人の証などの意味のあるものだった。彫師、入墨が悪いのではなく世間一般のイメージが良くない、故に人より困難にあう確率も高い。それでも入れるなら正しい知識を彫師が伝えるべきだというのは正論だなあ。母に聞いた名前の由来のくだりがいまいちわからず。初読み作家さん、文章が読みやすくいい作品だったので追いかける予定。
Posted by ブクログ
様々な悩みを抱えたキャラクターたちが、山中にひっそりと佇む「町田診療所」と名付けられたセラピーに導かれ、主の町田さんと料理を共にする中で悩みから解放されていくストーリー。どのキャラクターの悩みも共感できるものばかりで、この悩みは誰しもが持っているのだという安心感と、きっと解消できるという希望をもらえる。
第1章に登場する青年は、見知らぬ何もない土地で呆然と立ちすくみ、どこへも行けないような感覚に陥っている。そんな苦しさを抱えながらも、親に迷惑をかけたくない、期待に応えられず失望させたくないというような気持ちで、必死に自分を誤魔化して生きてきた姿がとても痛ましい。他人や家族に後処理や手続きで迷惑をかけたくないから自殺に踏み切れない、というところまで思い詰めている姿には胸が締め付けられる。同時に、「私も同じような気持ちになったことがあるし、きっと誰もが抱きうる感情なのだろう」とも感じた。そんな重い空気に浸っている矢先、町田さんが警察に捕まりそうになった際、適当な言い訳をしてその場を振り切るシーンが登場する。このユーモラスな落差が、闇の中にいた主人公と私を無理やり光の中へと連れ去ってくれたかのような、大きな爽快感と安心感を与えてくれた。真面目と人生は相性が悪いという言葉には生き方のコツが込められており、ずっと心に留めておきたい。
また、SNSによる匿名の誹謗中傷が人を傷つける道具として語られるが、悩みから開放されたキャラクターが一堂に会した場で、改めて匿名とは人と人の関わりを自由にするものであると気付いたキャラクターの考えが印象的だった。これは現代のSNS時代において、私たちが常に心に留めておかなければならない大切なメッセージだと思う。