あらすじ
なんと潤沢な物語だろうか。
強烈なパンチラインであり、まさに「ブレイク」作品なのだ。 ――逢坂冬馬さん
予想する「面白い」の1000倍面白い! ――大垣書店京都本店 荒川夏名さん
マイクを握れ、わが子と戦え!
山間の町で穏やかに暮らす深見明子。
女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。
そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。
「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」
明子はマイクを握り立ち上がる――!
第16回小説現代長編新人賞受賞作。
ーーーーーー
選考委員も激賞!
こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻!
――朝井まかて
「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。
――宮内悠介
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
親にしてほしかったことって意外と親からしたらそんなこと?ってなるやつなんだろうな。それに気づいてちゃんと向き合ってくれたお母さん。レペゼン母だよ。
Posted by ブクログ
60歳過ぎで梅農家を切り盛りする「母」明子が主人公。
息子が幼い頃に夫を亡くしてから、女手一つで育児に仕事に奮闘してきたが、その一人息子はどうにも問題児。現在は何度目かの家出をした息子が残した結婚相手(明子からみたら義理の娘)さらと2人暮らし。
そんなさらに頼まれ同行したラップバトル。
……という話。
元々、口が達者な明子はさらのラップの練習に付き合ううちに少しずつコツを掴んでいくが、その実力を発揮する機会が図らずも訪れる。さらを守るため相手と喧嘩する手段として。
最終的に息子ともラップバトルをする流れになるが、その過程で過去を振り返り、息子や自分自身と向き合うことになる。
そこがこの話の肝でもある。
けど、私がこの話で一番好きなポイントは、60歳過ぎの明子が、ヒップホップという若者文化の中に飛び込み、その流儀に従って相手を知ろうとするところ。
自分の理解できないことを否定せず歩み寄ること。
これぞまさに「レペゼン母」
Posted by ブクログ
リリックが軽く見えて重いー!
バトル、サイファーの時にトラックは聞こえねど脳内DJが良い感じに流してくれてめちゃ楽しく読めた。
たとえ家族でも人に思いをぶつけるのってものすごく気を使う。
だから黙ってしまう雄大の気持ちも分からなくは無いけど。思ったことをなんでも言ってしまう沙羅との対比が第三者目線で微笑ましかった。
Posted by ブクログ
面白くてスラスラ読んだ。
元々私自身がダンスをやっていたり、音楽が好きで、ストリートカルチャーに触れていたこともあるかもしれない。
息子の嫁がきっかけでラップを始めた母親。そして、最終的には、過去に色々あって、不仲になってしまった息子とMCバトルで本音をぶつけ合う興味深いストーリーだった。
この本を読んでて思うのは、「無意識のうちに自分の価値観を人に押し付けている」ということ。
セオリーだったり、何事も原則みたいなものがある。それは人それぞれの価値観も同じだ。
自分の価値観に合わないと、違和感を感じたりして、態度や発言に表れてしまうことがある。
しかし、この本で母親の視点と息子の視点から考えられたリリックを見ていると、親が息子を思って言っていたことが、息子の重荷になっていて、自信を失うきっかけにもなっていた。
だから、何か自分の価値観と違うことが起きても、まずは相手の視点に立って、相手の考えを探ることが必要だと思った。ある意味「即レスしない」で、一呼吸置いて考えることが必要だ。
あとは、自分の好きなことや相手の好きなこと、その中で共通なことを明確にすることが、良いコミュニケーションを取るのに大切なことだということも学べた。
自分の興味のあることが題材になっている小説をもっと読んでみたいと思いました。