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今夜、ひとりでキッチンに立ちたくなる一冊。
第一話 カレーの混沌
旅先での出来事をきっかけに、人生の「迷子」になってしまった大学院生。
ひと皿:スパイスと「ある物」を使って作るカレー
第二話 完璧なパフェ
家事と仕事と子育てに追われ、自分の好きなものを忘れてしまった母親。
ひと皿:「彼女にとって」一点の曇りもなく完璧なマンゴーパフェ
第三話 肉を焼く
キャリアを地道に積み上げるも、周りとのライフステージの変化に思い悩む医師。
ひと皿:生きる力を取り戻すための肉
最終話 レスト・イン・ビーンズ
町田診療所の主、モネの過去が明らかに。いま、豆を愛したある人のことを偲ぶ。
ひと皿:持ち寄った、それぞれの大切な料理
「どうして私たちは、大切なことから真っ先に忘れるようにできているのだろう」
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Posted by ブクログ
様々な悩みを抱えたキャラクターたちが、山中にひっそりと佇む「町田診療所」と名付けられたセラピーに導かれ、主の町田さんと料理を共にする中で悩みから解放されていくストーリー。どのキャラクターの悩みも共感できるものばかりで、この悩みは誰しもが持っているのだという安心感と、きっと解消できるという希望をもらえる。
第1章に登場する青年は、見知らぬ何もない土地で呆然と立ちすくみ、どこへも行けないような感覚に陥っている。そんな苦しさを抱えながらも、親に迷惑をかけたくない、期待に応えられず失望させたくないというような気持ちで、必死に自分を誤魔化して生きてきた姿がとても痛ましい。他人や家族に後処理や手続きで迷惑をかけたくないから自殺に踏み切れない、というところまで思い詰めている姿には胸が締め付けられる。同時に、「私も同じような気持ちになったことがあるし、きっと誰もが抱きうる感情なのだろう」とも感じた。そんな重い空気に浸っている矢先、町田さんが警察に捕まりそうになった際、適当な言い訳をしてその場を振り切るシーンが登場する。このユーモラスな落差が、闇の中にいた主人公と私を無理やり光の中へと連れ去ってくれたかのような、大きな爽快感と安心感を与えてくれた。真面目と人生は相性が悪いという言葉には生き方のコツが込められており、ずっと心に留めておきたい。
また、SNSによる匿名の誹謗中傷が人を傷つける道具として語られるが、悩みから開放されたキャラクターが一堂に会した場で、改めて匿名とは人と人の関わりを自由にするものであると気付いたキャラクターの考えが印象的だった。これは現代のSNS時代において、私たちが常に心に留めておかなければならない大切なメッセージだと思う。
Posted by ブクログ
私は料理が題材の本が好きなので、題名で読みたいと思った本でした。
読み始めてみると、思ってた物語とはちょっと違う物語だったけど、読みやすい物語でした。
読んでいて印象に残ったのは、料理には「正解」がないということです。
同じレシピでも作る人によって味が変わるように、生き方にも一つの正解はないのかもしれません。失敗してもやり直せるし、少しずつ自分らしい味を見つけていけばいい。そんなメッセージを受け取った気がしました。
この作品は、大きな事件が起こる物語ではありません。
でも、その分、一人ひとりの気持ちの変化が丁寧に描かれていて「明日も頑張ってみよう」と優しく背中を押してくれる一冊でした。
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