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Posted by ブクログ
■世界的に権威のある医学雑誌であるランセットは、2017年にアルツハイマー型認知症のリスク要因として、教育不足、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ病、社会的孤立、運動不足、糖尿病の9つを発表した。更に、2020年には過度の飲酒、頭部外傷大気汚染の3つを加えた。そしてこの12のリスク要因を改善すれば、発症を40%ほど予防できるという。
■最も身近にいる人を疑う
象徴的なのが「物盗られ妄想」というもので、最も献身的に介護をしている人を疑う。そこには医学的な理由がある。高齢者の記憶の「ある特徴」により身近な人を訝しく思ってしまう。
特に高齢者の場合「感情を伴う記憶が残りやすい」という特徴がある。一方で感情を伴わない記憶は残りにくい。高齢になると記憶しやすい事柄、しにくい事柄が明確になってくる。子供が親の食事の介助をしている場面では「良いことをしているとき」は感情がなく記憶に残りやすい。一方で、ネガティブな出来事が起こったときほど怒りなどの感情が出て記憶に残りやすい。さらに高齢になると昔からの記憶(長期記憶)は残っているが、最近の出来事についての記憶(短期記憶)が抜け落ちやすいという問題もある。
この2つの記憶のメカニズムがあるため、認知症があって記憶力が減退すると、「物盗られ妄想」が起きやすくなる。感情と記憶の結びつきから普段からサポートしてくれている人に対してネガティブな記憶が定着し、さらに短期的な記憶のために財布をどこに置いたかをすっかり忘れてしまい、その結果、「財布を持っていたのになくなった」「身近なこの人は嫌な人だ」という2つの記憶により身近な人が疑われやすいということ。
■高齢者はなぜ早く起きてしまうのか。歳を取ると眠りが浅くなったり、必要な睡眠時間が短くなってくる。それにはいくつか理由が考えられるが、食が細くなることと、筋力低下も背景にある。
若い頃と比べて食事の量が少なくなり、結果として、筋肉量が落ちてくる。そうなると活動量が減って更に食が細くなる。それによって筋力が落ちて体を動かすのが億劫になり、活動量が減るという負のスパイラルに陥りがち。そうなると適度な疲労感が得られなくなり、眠りの必要性が下がってしまう。
筋肉量が落ちてくると「高齢による衰弱」つまり「フレイル」のリスクが高まってくる。これは介護になった原因のうち、男女ともに3位にランクインしているもの。フレイルには筋力が低下して身体能力が衰えた「身体的フレイル」と認知機能が低下したりうつ病になる「精神的フレイル」、外出して人と会うのが億劫になって孤立する「社会的フレイル」の3つがあるが、身体的フレイルは骨折や転倒のリスクが高くなった状態と言える。
■高齢者が一時停止をしなかったことによる死亡事故は若い人の2倍にのぼる。
■「自分は他人より優れている」と思っている人のほうが長生きするという研究がある。この場合、優れていると「思っている」ことが重要で実際に優れているかどうかはあまり重要ではない。なぜかというと、まず有能である(と考える)ことで、社会性が保たれる。社会から孤立せず積極的に外に出ていける。行動力に溢れ、自分自身の能力をポジティブにとらえ、ネガティブにふさぎ込むことが少ないので、心理的にも肉体的にもよい影響を受けて長生きする。