マーガレット・アトウッドの作品一覧
「マーガレット・アトウッド」の「ペネロピアド 女たちのオデュッセイア」「昏き目の暗殺者」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
設定そのものの特異さをひとまず置いといても、ひたひたと迫り来るような、気がふれそうになるぎりぎりの重苦しさのある文体で、やっぱり名のある文学はすごい、と思わせてくれる小説。SNSの文章をいくら読んでも得られないものが小説には確かにあることを思い出させてくれる。
緊急時の一時的な救済措置という名目で女性の財産を男性のものにする、という法案は現在の日本でも容易く通りそう…と思ってしまう。身の危険を顧みず反対する日本人男性…いるかな…。私だってある日突然こんな事態になったら反対の声なんて上げられないよ。
そして電子マネーなんていとも容易く使用不可能になりますね…。
解せなかったのは、
『彼女は教育のある女性だったようです。当時の北米の大学の卒業生を教育があると言えればの話ですが。(笑い、一部から不満の声)しかし、そんな女性はそれこそ森のなかの木ほどたくさんいるわけで、何の手掛かりにもなりません。』
の部分。コレって皮肉か何か?「女が」大学出たところで思考力なんか知れてるってこと??「当時の」大学はレベルが低かったってこと??
Posted by ブクログ
女性を「産む機械」として扱うディストピア社会。
戦争があったかして世界が荒廃しそのような社会となったようだが語り手は直接説明はしない。時々、思い出したように断片的に提示される情報から読者が推測するしかない。
オブフレッド、という語り手の名のおぞましさ。本名を名乗ることは許されず、「フレッドの所有物」と名付けられる。さしずめ日本なら「一郎の」というところか。出産できる性は貴重なはずなのに逆に社会のリソースとして管理される。徹底的に人間性を排除されて。
中盤まではだらだらした締まりのない語りにイラつきながら読んでいた。出産のための「儀式」あたりからドラマとして盛り上がりを見せたように思う。このシーンはグロい。人工授精でいいだろと思うが宗教国家のためあのような形式になるようだ。
終盤で語り手が語るとおり、この物語はある意味で不道徳だ。彼女は夫と子がいる身でありながら他の男に恋愛感情を抱き、抱かれに通う。この展開は、悪夢のような管理社会であっても感情までは制御できないという人間性の肯定だと受け取った。人は時に道を踏み外しても、誰かを愛したり求めずにはいられない。たとえ破滅が待っていても。哀れで愚かだが、だからこそ血の通った人間味を感じる。
本編のあとの注釈によってこの物語がなぜオブフレッドの語りだったのかが明らかにされる。ギレアデが崩壊し、自然環境が改善されていることも。しかしこの注釈は希望ではない。性的なジョーク、地下女性鉄道を地下脆弱鉄道と揶揄する──女性軽視の精神は未来においても継続している。暗澹たる結末。
Posted by ブクログ
おもしろかった!翻訳家の鴻巣友季子さんのオススメの海外文学の一つとして知った。もう少し堅苦しい純文学かと思いきや案外読みやすく、かつ、40年以上前に書かれたフェミニズム作品とは思えない、テーマの違和感のなさ。…40年も経ってるのに違和感がないなんて…どうかしてるね、この世界は。今読む価値のある作品だ。
架空の世界を描くSFディストピア小説である。1980年代〜90年代に崩壊したアメリカ合衆国のあとにできたギレアド共和国。妊娠率や奇形率が高まり、出生率が異様に下がった世界線。
子供がなかなか生まれないため、ギレアド共和国では80年代を境に女は財産や名前を没収され、元の家族は奪われ、政府管理下に入った。出産能力のある者は侍女として司令官の家に派遣され妊娠に努める。出産能力がないもしくは反抗的な女は不完全女性として迫害される。そして、同性愛者やかつて中絶処置をしていた医師は処刑される。女は子宮としか見られていない世界だ。
主人公はまさにその「侍女」として、ある司令官の家に派遣される。正妻はいるものの高齢なため子どもは産めない。神聖なる儀式として、正妻の監視のもと、排卵期に侍女は司令官と交わる。侍女の日常に自由はない。街で見かける侍女仲間は妊婦に対して嫉妬し、妊娠に成功した侍女は膨らむ腹を見せびらかしてマウントを取る。
時折女は考える。かつての私の夫は、私の娘は、生きてるだろうか?あのころの自分の他愛もない日常、仕事、収入、すべては自由だったと。そして仕事や銀行口座を没収されたとき、夫はすぐに妻(自分)を夫の所有物として扱うようになったことを回想する。
面白いのは、これが、200年後のギレアド共和国崩壊後の学会で発表されている歴史の資料の発表だということがラストにわかること。そのメタ構造に、突然夢から覚めたようにハッとする。200年後は、どんな世界になっているのだろう。
この作品が出版された38年後の2023年に、なんと続編が出ている。読まねば。
ちなみに、Wikipediaをみると、こんな↓記述があるけどホント??去年??ちょっと怖いですね。
「…(中略)…また保守化を強めるアメリカ各州では本書を危険視する意見が強まり、2025年4月の時点で、全米32州の約5000校で閲覧禁止処分を受けていると報じられている。」