安岡章太郎の作品一覧
「安岡章太郎」の「ガラスの靴・悪い仲間」「青い貝殻」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「安岡章太郎」の「ガラスの靴・悪い仲間」「青い貝殻」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
戦前と戦後を行き来しつつ、取り留めのない事柄に丁寧に目を向けて書かれた作品群に好感をもった。「虫の声」で安岡は紀州に向かう。犬を見に行くためだ。そこで若き頃の中上と思われるN君が車を運転して紀州の街並みを案内する。この話を筆頭に、犬の出てくる話がその後幾つも出てきた。これまで読んできた安岡の前半期の小説に犬のイメージはなかったが、ひょっとすると晩年期にかけて安岡の生活の周りを犬が歩いていたのかもしれない。彼は犬を撫でていたのかもしれない。
小品集とまとめられた随筆がどれもすばらしかった。「土佐案内記」では大岡昇平の人柄が垣間見え、「瓦解」では色川武大について綴られる。少ない枚数であるが、その
Posted by ブクログ
「ガラスの靴」は前読んだときから随分印象が変わった。以前は主人公の抱く恋愛感情に浮ついた心地よさみたいなものを強く感じたけれど、今度は僕と悦子の間にあるじめじめとした人間の匂いを一文一文から感じた。こんな文章あったっけと思うことが幾度もあった。
「青葉しげれる」「相も変わらず」は、順太郎という主人公の登場する連作で、母との関係が描かれた話。大学生ごろの年齢設定だからか、「三四郎」「それから」っぽさを感じた。
「相も変わらず」がこの作品集の中で一番好き。「悪い仲間」などにもあった、家族から逃れようとするも最後の最後に逃れられないことに気づくという主人公の姿にひどく共感を覚える。さりげない描写に
Posted by ブクログ
1920年生まれの作者。
ある人から「サアカスの馬」を勧められて、それを読み、よかったので、短編集に手を出してみた。
夢中になって読んだ。
独特な、劣等感、罪悪感、諦めの感覚、自己嫌悪、自己憐憫、ユーモア感覚、文体、に中毒のようになってしまったのだ。
ひとまずは身辺雑記や私小説的な題材と言えるが、大きく見れば戦争の影響もあり、太宰同様見方次第でスケールが大きくなることもありそうだ。
再読するときは、あらすじありきではなく、細部の描写や小道具やユーモアに注目せよ>未来の自分へ。
■ガラスの靴★ 009 1951年=昭和26年=31歳。芥川賞候補。……春樹「ノルウェイの森」そっくり! ていうか、
Posted by ブクログ
昭和26年から昭和29年(西暦でいえば1951年から1954年)にかけて発表された、全13編からなる初期短編集。
このうち「陰気な愉しみ」と「悪い仲間」が芥川賞受賞作。
クセがあるようでないようで、解説にも書かれていたが非常にニュートラルで読みやすい文体を書く人だな、と思う。
かなり以前の作品であるから、使われている単語や歴史的な背景には古臭いものもあるのだが、その文体だけはとても現代的。
思うに当時にこの文体を読んだ人は、確かに「モダンな文体だ」と思っただろう。
殆どの作品の根底に横たわっているのは「自己嫌悪」であり「罪悪感」であり、「自己憐憫」であるように思える。