佐藤真紀子の作品一覧
「佐藤真紀子」の「蒼とイルカと彫刻家」「アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ 食事で変わる心と体」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
いよいよ最終巻。巧と豪は、バッテリーとしても一人の人間同士としても、すれ違う気持ちをこじらせながらも、お互いに向き合って本音をぶつけ合うことを諦めない。
一方で、頭が良すぎるがゆえに本音を素直に出せなくなった瑞垣と、彼を純粋に信じながらも巧との勝負にしか集中できない門脇。こちらは交わす言葉が噛み合っているようで、最後まで気持ちがぶつかり合わずにいた。
新田東は、横手に勝てるだろうか?
最終巻にして、その結末は描かれずに終わる。
私は野球というスポーツにまるで興味がなく、用語もさっぱり分からない。それでも最後まで、続編のラストイニングも読みたくてしかたがなかったのは、このシリーズは勝敗にこだわるスポーツものではないからだ。野球を軸に人が出会い、成功も失敗も泥沼もすべて引き受けて成長していく、人間ドラマとしての面白さがある。野球そのものへの理解はさほど必要ない。才能と努力、大人と子どものもがき、それらを岡山の方言やのどかな情景が静かに支えている。
「お前がキャッチャーじゃなくても良いんだ」
巧が放ったこの一言は、豪を「キャッチャーでいなければならない」という執着から解放し、ひとりの友人としての歩み寄りを促す。
豪は巧と違っていくらでも言葉を尽くせる人間なのに、巧との関係性だけはうまく言葉にできず、巧を否定することしかできない。しかし、巧はそんな豪をありのままに受け入れる。バッテリーでありたいが、バッテリーでなければならないわけではない。そんな表現しかできない巧に、豪もまた、巧の不器用な思いやりをそのまま受け入れられるようになったのだ。
彼らのたった1年間の紆余曲折に、ピリオドがつく最終巻。勝敗が描かれないのは、そういう物語ではないことを伝えたかったのかもしれない。ただ、あまりにも不完全燃焼に感じたなら、ぜひ続編のラストイニングも読んでほしい。勝敗を6巻よりも細かく試合を描き、その後のことも少しは描いている。瑞垣が嫌いだが、どこかで報われてほしいという気持ちになれば、ぜひ。
Posted by ブクログ
登場人物たちの人間関係が限界まで煮詰まっていく第5巻。巧と豪はつかず離れずの距離感を掴みつつもあるが、いまだお互いの本音を測りきれずにいる。
1巻では周囲を拒絶しているように見えた巧だが、5巻ともなると意外な一面を見せる。野球へのこだわりはそのままに、他人に対して彼なりの思いやりを発揮するのだ。豪と野球の話をしづらい時には、あえて自ら世間話や恋愛の話題を振る。
しかし、日頃のストイックさとかけ離れすぎているせいで、豪は「なぜ今その話を?」と困惑するばかり。母親の入院中に弟と買い物をして料理を作るという巧に、豪は驚きを隠せない。巧なりに周囲と馴染もうとしているのだが、その試みは唐突で不器用なせいか、なかなか功を奏さない。青波だけは巧の優しさを知っており、それが豪に拒絶された時は、豪に強烈に怒ってみせる。巧にも色んな面があることを、分かっているのだ。
一方、そうとは知らずに振り回されているとしか思えない豪は、言葉を発することさえ諦め、内側へと塞ぎ込んでいく。豪が巧の本気の投球を掴みそこね、手が震えるほどのショックを受けた瞬間、巧は次の球を豪が掴める威力に落とした。
おそらく、豪に球を当てて傷つけまいとした巧の、彼なりの配慮だったのだろう。しかしそれが、かえって豪のプライドを決定的に引き裂いてしまった。巧の才能と優しさのギャップを受け入れられず、それでも彼の本気を受け止めようともがく豪の意地。この痛々しい摩擦さえも、ふたりの関係を動かす強烈な原動力となっている。
悩みの尽きないこのふたりを引き続き掻き乱すのが、瑞垣と門脇のふたりだ。
正直、私は中盤から瑞垣のパートが増えていく展開が不愉快だった。巧と豪のひりつく世界を見たいのに、瑞垣の相手を落とし込もうとした泥沼に、自らが溺れていくドロドロとしたコンプレックスが、物語を奪っていくように感じたからだ。
門脇という絶対的な天才に追いつけない絶望を、理屈で理解していながら、感情が追いつかない。積年の思いをぶつけてもなお瑞垣の心は晴れない姿は、人を呪わば穴二つという結末さえも感じさせる。
しかし、そんな瑞垣こそが本作の魅力を引き出す狂言回しなのだろう。
野球が彼らを泥沼に引きずり込んだのなら、そこから抜け出す手がかりもまた、野球の中にしかない。自分の本音をごまかし続ける瑞垣は、ごまかせないと悟った豪や巧に勝てるのだろうか。
Posted by ブクログ
私はアニメからこのシリーズに入ったが、やはり小説のほうが作品のらしさが強く感じて、とても読み応えがあった。子供らしさと少年らしさと、老若男女に共通した人間らしさが、登場人物の言動とコミュニケーションから読み取ることができる。主人公は孤高の天才ピッチャー原田巧と、巧と出会った長倉豪のふたり。まだ12歳の、中学入学を目前にした小学6年生のふたりだ。
巧の野球にすべてをかけた姿勢は、自然かつ超然としていて、それに誰もが追いつくことはできないのかもしれない。しかし、巧自身はそれに深く悩むのではなく、それに追いつけないと、お前を理解できないとこぼす他者との関わり方に悩んでいるように見える。
巧の生い立ちとしては、父親の都合で転校が続き、ひとところに落ち着いた生活が出来なかった。巧の父親も自身の仕事や体調をどうにかするので精一杯で、弟も生まれつき身体が弱く今も体調を崩すことがしばしばで、母親はそれらを支えるのでいまも精一杯で、誰もが落ち着くことができず、彼が孤立するのもやむを得なかったのだ。
そんな彼らを家に住まわせたのは、巧の母方の祖父である。地元では名の知れた野球の指導者だが、巧の家族を受け入れながらも、どこか彼らとは一線を引いているような、なかば持て余しているような距離感を保っている。複雑な環境で育った巧は、揺るぎない実力と自信を持ちながらも、それをどう言葉や態度で表現して良いのかまでは、分からない。そんな不器用な巧を、つかず離れず接する祖父は、巧に期待しすぎず、しかし、家族としての愛情や信頼を注ごうとする。巧の才能をまるではかれないと思いながらも、しかし、その行く末がどうあれ、受け止めようとはしているのだ。
一方で、地元の大病院に生まれた豪は、野球でも勉強でも人間関係でも、自分の才能とそれを伸ばす努力のバランスを保ちながらも、将来は病院を継ぐという進路をどこか持て余している。そこに巧という天才ピッチャーを見出し、彼の球を受け止めるキャッチャーになりたいという夢を見つける。揺るぎない環境に生まれた豪は、その環境のために、現実的な進路を取らざるを得ないのだろうか? それもまた自身の現実と知り、ややもすれば退屈と感じながらも、巧というあまりにも現実離れした相棒ができたことで、ふたりで野球をするという夢を見ることができた。しかし、巧は物理的にはすぐそばにいるのに、精神的にはまるで遥か遠くにいるように感じるのだ。巧は野球の厳しさそのもので、まるで他者を受け付けないような人間で、とんでもない人を相棒にしようとしているのだと、豪はことあるごとに目の当たりにしてしまう。
巧には、豪のような人当たりの良さや要領の良さがまるでない。しかし、巧は他人のことをよく見ている。ただし、態度をまるで変えることができないのだ。なぜか?巧にはそんな手本となる人間が周りにいなかったか、いても学ぶ機会がなかったからだろう。余裕のない両親と生きるかどうかも分からない弟、野球にすべてを費やした祖父と過ごせば、豪のような人当たりを培う機会などなかったのだろう。そんな巧は、野球だけを大事にしようとするのも、やむを得ない。
1巻は、巧の生い立ちと非凡ゆえに周囲に馴染めない様子と、豪の巧とは対象的で、地元に根付いた生い立ちによる落ち着きながらも物足りない様子と、その2人の出会いを描いている。岡山県ののどかな様子や方言、山おろしの風の描写などは、大人でも子供でも読みやすく、ほどよい長さの表現が淡々と綴られていて、情景が思い浮かぶ。これはアニメもうまく表現できていたと思う。1巻で惹かれたなら、ぜひ6巻まで、続編であるラストイニングまで読んでほしい。ただし、評判通りにもどかしさが何かとつきないシリーズであることには注意してほしい。
Posted by ブクログ
(小6男子)この話はFCレックのキャプテンだった周斗が、強豪チームのYDSCから移籍してきた大地にキャプテンマークを渡さなければならない場面から始まる。
なぜ周斗はキャプテンマークを渡さなければいけなくなったのか。銭湯仲間と交流しながら周斗の気持ちが少しずつ変わっていくところを味わってほしい。モヤモヤした気持ちがスッキリするかも?!
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(小6男子 ペンネーム:なりちゃん)国語の教科書で紹介されていたので読んでみたくなった。人と比べるのではなく、前向きに自分自身のベストをつくすことの大切さ、人との交流が自分自身を成長させてくれると感じた。子供から大人まで、「うまくいかないなぁ。」と感じる時、ぜひ読んで見てください。「自分のてっぺんを目指せ!」「ポジティブな言葉で考えたり、言ったりする癖をつけると、必ず物事がポジティブに回り出すんだよ。」これらの言葉もふくめ、きっと何か心にぐっと響くと思う。