劇場作品一覧

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  • あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 全話完全解読
    2.5
    東日本大震災直後に放送され、大きな反響を呼んだアニメ『あの花』。2013年に劇場版アニメが公開されるなど、さらなる広がりを見せる感動作を、気鋭の文芸評論家がさまざまな観点から読み解く。監督・長井龍雪氏、脚本・岡田麿里氏へのインタビューを収録。
  • 淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十二【電子書籍限定書き下ろしSS付き】【パンフレット2・舞台2脚本付き限定版】
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    【パンフレット2・脚本2付き限定版】 ★電子書籍限定書き下ろしSS付き★ シリーズ累計65万部突破!(電子書籍含む) コミックス7巻(12月15日発売)と同月刊行! ドラマCD第2弾も同時発売! いざ九州征伐へ! 絶好調の戦国サバイバル小説、最新刊! 書き下ろし外伝×2本、漫画:もとむらえり描き下ろし応援漫画7Pも収録! 【あらすじ】 1583年。朽木家が九州征伐に乗り出した年。 基綱は十五万もの大軍を従えて九州の地に上陸した。手始めに秋月を下し、その勢いのまま強敵・島津を攻略すべく南進してゆく。 しかし味方なはずの大友は己の利益ばかりを追い求め、臣従の姿勢を見せたはずの龍造寺は虎視眈々と基綱の隙を狙う。両家はもはや獅子身中の虫と化していた……。 油断ならない味方を牽制しながらの戦の行方は如何に!? 弱肉強食の世を描く戦国サバイバル小説、最新刊! 【パンフレット2情報】 2021年に上演した「舞台 淡海乃海 -声無き者の歌をこそ聴け-」の公演パンフレット! 公演情報:<期間>2021年3月10日(水)~2021年3月14日(日) <会場>俳優座劇場 【脚本2情報】 2021年に上演した「舞台 淡海乃海 -声無き者の歌をこそ聴け-」の公演オリジナル脚本! 公演情報:<期間>2021年3月10日(水)~2021年3月14日(日) <会場>俳優座劇場 あらすじ: 50代の歴史好きのサラリーマンだった「俺」は、気がつくと近江の国人領主の子供【朽木基綱】として転生していた。 史実では、弱い国人領主のまま生涯を終えた【朽木基綱】。 だが転生者である彼は、現代で得た歴史知識を使って、戦国時代を勝ち上がってゆく。 朽木は、六角義治、三好義続、そして本願寺顕如とも争うほど大きくなった。 浅井長政の死、六角家の凋落、足利将軍の暗殺。 少しずつ史実からズレてゆく世界で、基綱は領地を、妻と子を守り抜けるのか。 ――必ず、ここに、帰ってくる。 男たちの想いの雫が、水面を揺らす。戦国の世に命を繋ぐ物語。 【キャスト】 笹翼 横山涼 松本寛也 栗原大河 松本祐一 吉田知央 千疋隼斗 森田晋平 高岡裕貴 横田陽介 富永盛也 網代将悟 佑太 西園みすず 窪田美沙 辻村晃慶 金澤慎治 東達也 泉紫太朗 北村真一郎 史歩 誠仁 荒木吏沙 岡田千優季 太田麻衣 馬場海河 SOH 金川翔 藤村龍都 金井勝実 上玉利澄斗 沓掛龍一 栗原樹 中山佳大 樺沢大輔 杏さゆり 中村龍介 剣持直明 (収録内容) 淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十二 舞台 淡海乃海 -声無き者の歌をこそ聴け- 公演パンフレット 舞台 淡海乃海 -声無き者の歌をこそ聴け- 公演オリジナル脚本
  • 甘い苦悩はホテル王のてのひらの上で
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    ようやくラスベガスの舞台に立てるようになってきていたマジシャンの尚。そんな時、突然所属プロダクションが倒産し、途方に暮れてしまう。尚に救いの手を差し伸べたのは、ホテルの敏腕経営者として知られるクライブ・カークランド。尚は新しく造る劇場の専属になって欲しいと請われ、研鑽のためとの名目で様々な催しに連れていかれたり高額な服飾品を与えられる一方、しばらくの間ショーに出ることを禁じられてしまい!?
  • 亜美とわたしのとろとろとろろ
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    1巻660円 (税込)
    わたしの友達「亜美」は変な性格で、街のチンピラにかみついたことがきっかけで彼氏を作ってしまうほどおかしい。恋愛の形や進めかた。日常の家庭の複雑さなんかも人とは変わっている。そんな亜美と予備校生ならでは性の問題、人付き合い、人としての在り方など、いろんな出来事を経験していく。たまには親に泣かされたり、家庭の事情で悩んだり。夢のなかのリアルなエッチに一日悩んで、友達の路上ライブで見ちゃった野外の花園……。卒業旅行みたいに行った、熊野旅行ではまさか突然の告白!? 友達のアノ現場を見そうになったり……。とんでも「はちゃめちゃ」なのに「ふつう」な、亜美とわたしのリアルなティーンズラブ劇場♪
  • 綾乃・波乱の人生劇場
    -
    【主な登場人物】●綾乃/主人公の女。3人兄弟の長女。小学生4年生で擁護施設に預けられ、母親の愛に飢えて生きていく。●綾乃の妹/神経質で寝小便を繰り返す。綾乃を頼る。●綾乃の弟/赤ちゃんの時に、綾乃と同じ施設の中で別れ別れに暮らす。●綾乃の母親/父親に逃げられて、3人の子どもをかかえて生活に疲れ果て、子どもたちを養護施設に預ける。●指導員/施設の中で働く男。綾乃に性を教えていく。【作品紹介】小学4年生になった女の子、綾乃は母親に連れられて養護施設に投げ込まれる。物語はここから始まる。親が恋しくて、恋しくてたまらない綾乃。まるで、子どもの刑務所のような施設の中の掟。団体生活のリンチまがいのいじめ、下半身丸出し…など、大人にもみくちゃにされながら、悩み泣きながらもしたたかに乗り越えていく綾乃。子どもの綾乃が、この過酷な環境の中で果敢に戦いながら成長していく……★自伝的告白小説!

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  • 「あらいぐまラスカル」「愛の若草物語」ほか 「世界名作劇場」から語り継ぎたい名作 全6話
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 フジテレビの「世界名作劇場」シリーズのTVアニメ『あらいぐまラスカル』『愛少女ポリアンナ物語』『トラップ一家物語』『愛の若草物語』『レ・ミゼラブル少女コゼット』ほか計6作品を1冊に収録した低年齢児童向けの親子で読める読み聞かせ絵本。
  • 嵐のルーツ★誰もが知りたい嵐の原点
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 嵐のルーツ 誰もが知りたい嵐の原点 場所・作品からひもとく歴史 さあ、彼らの源流をたどる旅に出よう ★ファンなら知っておきたい嵐の原点が、この1冊に満載 ! 1999年のデビューから、はや十数年。 嵐は押しも押されぬスターになりました。 しかし、彼らの歩みは決して順風満帆ではありませんでした。 華々しくデビューを飾ったものの、それから数年はCDも売れず、事務所のお荷物 と陰口を叩かれた時期もありました。道のりは決して平坦ではありませんでしたが、 すべての出会いに意味がありました。 彼らはどのような道を辿ってきたのか。 そのルーツをひもとけば、彼らのことをもっと深く理解できるはず。 本書は彼らのルーツをかつてない切り口で紹介する1冊です。 さあ、嵐の源流をたどる旅へ出かけましょう。 ●1章 地元 ・アイバノルーツ ・オオノノルーツ ・ニノミヤノルーツ ・サクライノルーツ ・マツモトノルーツ ●2章 Jr.時代 ・松濤スタジオ ・つづきスタジオ ・NHK ・ジャニーズ事務所 ●3章 テレビ局 ・日テレ ・TBS ・フジテレビ ・Vの嵐 ・テレビ朝日 ・テレビ東京 ●4章 ラジオ局 ・ニッポン放送 ・文化放送 ・TFM ・NACK5 ・FM FUJI ・bayfm ・FM YOKOHAMA ●5章 劇場 ●6章 コンサートホール ●7章 その他 ●8章 ドラマ・映画 ●9章 音 ■著者 神楽坂ジャニーズ巡礼団 ※一部変更して再申請している作品です。  お間違いないようお気を付けください。
  • あるあす劇場 存流・明透コミックアンソロジー vol.1
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    バーチャルシンガー存流(ある)・明透(あす)が送る日常コミック! SNSで展開していた二人のほのぼのコミックがついに初の公式アンソロジーとして電子書籍になりました!これまでのコミックに新たに描き下ろし2本加えてお届けいたします。歌姫ふたりの日常を、あなたものぞいてみませんか?
  • あるあるカオス劇場 人生1コマファンタジー
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    1巻1,320円 (税込)
    Instagramフォロワー13万人超! 大人気イケメンクリエイター、パントビスコ初の電子書籍化。繰り返す日常に退屈しているアナタへ。つまらない毎日も見方を変えればファンタジー! 人は日々の生活に退屈を感じると遊びや旅行、レジャーなどで日常から抜け出し、ストレスを発散させようとします。それが終わるとまた、同じ日常に戻り、そしてまた退屈な日々の繰り返し……。そんなアナタへ、パントビスコが日常の中に潜む面白いできごとに気づき、皆さんを退屈な日常から、ファンタジックな非日常の世界へご案内。そこはあなたにとっての心のオアシス、ただなんとなく過ごす毎日の生活をちょっぴり楽しく明るくしてくれます。毎回Instagramでの投稿がツボすぎてくすってなる「1コマファンタジー」待望の電子書籍化!
  • アルセウス超克の時空へ
    完結
    -
    劇場版ポケモンDP「アルセウス超克の時空へ」を完全まんが化! すべてを生み出したと言われる伝説のポケモン、アルセウスが人類を滅ぼすため光臨!? 神とあがめられたポケモンたちも集結し時空を超えた大バトルが始まる…!!
  • ある夜の出来事
    -
    一夜の思い出を手に入れたい。それがそんなに悪いことなの?■ジュリエンヌは三十歳の誕生日を前に決心した。ずっと“いい子”だった自分から卒業しよう。そしてこれからは大いに人生を楽しもう――そう、男の人とも。彼女は自己催眠を使って自分が淫らな女性だという暗示をかけた。キーフレーズはこうだ。“淫らな女性は一か八かやってみる”三週間の特訓の末、いよいよ効果のほどを確かめる時がきた。以前から憧れていた男性が話題の劇場にやってくると聞き、彼に近づいて誘惑することに決めたのだ。はっとするほど魅力的な黒い瞳、日に焼けた肌、頑丈そうな顎。男性を見るやジュリエンヌは息をのみ、もう一度、言い聞かせた。たとえ彼の心が手に入らなくてもいい、爪先立ちして、彼の唇を奪うのよ。
  • anan(アンアン) 2024年 4月24日号 No.2394増刊 スペシャルエディション[マネーとマナーの新常識2024]
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※anan2394号とanan2394号スペシャルエディション(増刊号)は表紙・裏表紙・特別付録の有無のみが異なり、内容はすべて同一です。 ※特別付録(名探偵コナンポスター)は掲載しておりません。 ※電子版では、紙の雑誌と内容が一部異なる場合や、掲載されないページや特別付録が含まれない場合がございます。 ※本雑誌はカラーページを含みます。お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。 高橋海人(King & Prince) 時代(とき)を紡ぎ、想いを繋ぐ。 マネーとマナーの新常識2024 お金との向き合い方を考えよう! いま知っておきたいお金の話。 お金ビギナーが今すぐやるべきことは? まずは、家計を把握する。 節約&お金の守り方。今日から実践できる、家計見直し術。 初めての投資にトライ。「NISA」でお金を増やす力をつける。 株価高騰、金利上昇…暮らしは良くなるの? 経済ニュースの読み方、教えます。 もっとお得に! もっと楽しく! ポイ活レッスン2024 第7回 大人のための、劇場版『名探偵コナン』講座。 令和のコミュニケーション術を学べ! ビジネスマナーの現在地。 大久保佳代子&ファーストサマーウイカが語る。世代間ギャップとの向き合い方。 その一言にまごころを添えて。美しい文字で、手書きの温かさを届けたい。 河井ゆずるさんと手書きの関係。熱と想いを、文字に込めて。 文字を書く気持ちを彩る。手書きステーショナリー・アンテナ。 CLOSE UP パク・ヒョンシク 飾らない人の気品。 真弓孟之×岡 佑吏 夢を掴む!~catch the dream~
  • anan特別編集 にゃんこLOVE てんこ盛り
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※『特別付録 猫さまシール』は付属しておりません。 ※本ムックはカラーページを含みます。お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。 猫、ネコ、ねこ、猫まみれ… にゃんこLOVEてんこ盛り 2021年・冬の陣!? 冬の猫さま大賞発表! グランプリ&準グランプリ! あざとかわいい賞&美猫賞 / こねこ賞 癒しの寝姿賞 / ぽっちゃり賞&もふもふ賞 バディ賞 / 顔で語る猫賞 / 白黒対決賞 SNS、映画、ドラマ…気になるあのコに会ってきた 新★スターにゃんこ誕生! 気になる近況を報告! ananゆかりのスター猫便り。 動物学者・今泉忠明先生が解説! そのナゾ、猫なりの理由があるんです。feat.「俺、つしま」 わたしのとっておきの猫雑貨 大段まちこさん(P.38)/甲斐みのりさん(P.54)/オモムロニ。さん(P.70) 冬の猫さま大賞 PART2 ネコハラ賞 / どうしても入りたいんです…賞 のっけたいんです賞 / ツッコミ30連発!賞 猫さま劇場「奇跡の猫を探せ!」 かしゆかさん、葵わかなさんの猫ライフ。 もっと、にゃんこLOVEな毎日。 大好きな猫ちゃんともっと愛を深めるために。 松島花さんインタビュー すぐに一緒に住めなくても。 保護猫のために、今できること。 にゃんこ好きのための情報ワイド anan cat news 2021 人気動物写真家 岩合光昭さん特別Lesson “ネコを撮る心得”
  • UN-GO 因果論
    3.9
    “敗戦”後の近未来日本。I国から帰国したばかりの〔探偵〕は新興宗教団体・別天王会での連続不審死事件の捜査協力を依頼された。姿の見えない獣が出現するというその事件は、〔探偵〕が口を閉ざす過去、行動を共にする奇妙な少年・因果と密接な関係があった――坂口安吾『安吾捕物帖』原案のアニメ「UN-GO」の劇場公開作を脚本家自身がノヴェライズした「因果論」に加え、小説版オリジナルの前日譚100枚を特別収録。
  • 安藤忠雄 建築を生きる
    4.0
    1巻3,300円 (税込)
    「いまや何百という単位で世界中に建築作品がつくられ、直島やヴェネチアなどで作品めぐりができるスケールにまで広がって、〈安藤忠雄〉なるものは世界的な出来事として理解されている。アンドー・ウォール、アンドー・キューブといった語も昨今の建築語彙として定着しつつあるようだ。日本以上に海外ではひとりの建築家の枠をこえ、ひとつの文化現象として理解されはじめている。しかし安藤忠雄をほんとうに理解するためには、その人に刷りこまれた信条や生き方、美学や土地に対する見方を十分に知らなければならない。メディアの上で生産され消費されている建築家像とは異なったレベルで安藤忠雄の実像に迫りたい。これが本書を執筆する動機であり、そのために各地をまわり、建築家本人からも詳しい話をうかがった」生い立ちから現在までを同時代的背景とともにたどりつつ、住宅、商業施設、教会・寺院、学校・図書館、ミュージアム・劇場ほか種々の建築作品と環境・文化プロジェクトを精緻に読みとく。世界の「アンドー」の全体像に迫る建築史家渾身の書き下ろし。本格評伝にして作品論の決定版。
  • アンナのショート&ショートミステリー笑劇場
    完結
    -
    「朝美と奈穂の怪奇事件簿」、「平成版:牡丹燈籠&四谷怪談」、コンパクトな読み口の「ショートミステリー8連発」等々、様々なミステリー作品がどっさりと詰まったお得な1冊!! ミステリーながら古賀ワールドにどっぷりつかった摩訶不思議なギャグ漫画の世界をぜひぜひお楽しみください。古賀アンナ先生がお贈りする新境地・ミステリーギャグ満載の短編集!!
  • アンリ三世とその宮廷
    -
    一般に日本でのフランス・ロマン主義の研究は手薄だが、なかでもアレクサンドル・デュマについての研究は皆無に等しい。デュマと言えば『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった大衆娯楽作品の印象が強く、また数知れない代作者を使ったという理由で悪名も高い。また、その作品の全体について正確な総数すらわからないほどのいわば濫作者であったからよけいに始末が悪いのかもしれない。いったいどれだけ作品を出版したのだろうか。 カルマン・レヴィー出版社が1920年に出したアレクサンドル・デュマ作品総カタログによる作品分類は以下の如くであった。 (1)歴史小説および歴史研究128作品218冊 (2)小説、短編、個人伝 41作品、64冊 (3)回想録、閑談九作品、11冊 (4)少年少女物語五作品、6冊 (5)旅行記十八作品、35冊 (6)戯曲66作品25冊。以上合計271作品、359冊 アレクサンドル・デュマ協会のウェブサイトでは325作品がリストされている。また、個人のデュマ愛好家が作っているサイトによれば、すべての作品を取り混ぜて688作品としている。 「誰もが皆デュマの話は聞いたことがあるし、彼の作品の何冊かは読んだことはあるが、彼の才能の大きさを意識している人はごく少ない。『アンリ三世』から一夜明けた日の彼の栄光はたくさんの妬み屋のしつこい中傷をひき起した。彼らの言を信じれば、デュマは先人を剽窃し、代作者たちに自分の作品を書かせた無知無学の人間ということになるだろう」(フェルナンド・バッサン) 「『アンリ3世とその宮廷』を研究した人間はデュマの公式が一挙に分かる。彼はまことに多様な戯曲を書く。ところが本質的なものは最初の戯曲『アンリ三世』にある。つまり、民衆的な登場人物、地方色、変化、アクション、情念があるのだ。」(イポリット・パリゴー)この戯曲は、デュマ最初の本格的な五幕散文ドラマであり、スタンダールの理想の実現でもあり、ヴィクトル・ユゴーの『エルナニ』に先立つこと1年、ロマン主義演劇の最初の勝利を獲得した記念碑的作品でもある。 時は1578年7月20日のことである。フランス国王アンリ3世の母、フィレンツェから亡き国王アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスと占星術師ルッジェリは、アンリ3世の寵臣サン=メグランがギーズ公爵の夫人に恋い焦がれていることを利用して、サン=メグランとギーズ公爵の両方から気弱な国王への影響力をそごうと画策する。カトリックとユグノーの殺し合いの宗教戦争の只中で、後にアンリ4世になるナヴァール王アンリを加えて3アンリの戦いと言われる時代である。ルッジェリは眠り薬で眠らせたギーズ公爵夫人とサン=メグランを引きあわせて二人が両思いであることを悟らせる。 新教徒に対抗するカトリック同盟の盟主に自らなって、次期国王の座も狙おうとするアンリ・ド・ギーズのカトリック同盟に盟主の任命という性急な要求に、ブロワの三部会まで待てと諭すアンリ三世。事態は切迫していると反論するギーズ公。甲冑で登場したギーズ公が弾丸が飛んで来ても正面で受けてみせようと豪語するのを、サン=メグランが吹き矢筒でボンボンを命中させる。怒りに燃える両者の間で決闘が決まる。 怒りに任せたギーズ公爵は鉄の籠手で青癒ができるほど夫人の腕を締め上げ、無理強いにサン=メグラン伯爵をギーズの館におびき出す偽手紙を口述させる。 一方、宮廷ではカトリック同盟の盟主の任命決議に入り、「余の権威において余自身を盟主と宣言する」と自ら盟主になることを宣言したアンリ3世。ギーズ公爵はカトリーヌ・ド・メディシスに何事か訴えようとするが、アンリは早く署名せよとダメ押しをする。第1の企みは失敗に終った、埋合せはつけてやる、憤怒のなかで署名するギーズ公の前で会議の閉会が告げられる。 半信半疑でギーズ公爵夫人の元に忍んできたサン=メグラン伯爵は来ないようにと祈る夫人の声を手がかりに部屋までたどり着く。危機一髪で部屋から逃げ出したサン=メグランは待ち伏せした手のものに暗殺される。公爵が最後の台詞を吐く。「よし!さあ、家来の始末はつけた、今度は主人の番だ!」 劇場が興奮のるつぼであった。臨席していたオルレアン公爵は名前も知らない自分の使用人が詩人として聖別されるのをきいたのである。こうしてアレクサンドル・デュマはフランス演劇史にみずからの名前を深く刻んだのである。
  • アヴァロン・ベイビーズ
    完結
    -
    舞台は1930年代の荒れすさんだNY――。場末の劇場「アヴァロン」に集うキャサリン、ミーナ、マチルダの美女3人は復讐を代行し、いつしか“アヴァロンの妖精猫”と呼ばれるようになった! 妖精猫vs.マフィアの壮絶な戦いが、今始まる!
  • アヴァロン・ベイビーズ(分冊版) 【第1話】
    完結
    4.0
    舞台は1930年代の荒れすさんだNY――。場末の劇場「アヴァロン」に集うキャサリン、ミーナ、マチルダの美女3人は復讐を代行し、いつしか“アヴァロンの妖精猫”と呼ばれるようになった! 妖精猫vs.マフィアの壮絶な戦いが、今始まる!
  • RRRをめぐる対話 大ヒットのインド映画を読み解く(電子版特典付)
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    【電子版のみ特典として、本文画像をカラー化!】 〇歴史、文化、言語など、あらゆる視点から映画『RRR』を深堀り!  2022年10月に劇場公開されたテルグ語映画『RRR』(配給:ツイン)は、日本におけるインド映画興行史上の記録を塗り替えるほどの大ヒットとなりました。本書は字幕監修を務めた山田桂子氏と、インド映画愛好家・山田タポシ氏によって、全5回にわたって日本各地で行われ大盛況を博したトークイベントの内容を再構成したものとなります。  二人の軽妙なトークを通して、映画『RRR』を歴史、文化、言語など様々な視点から隠されたメッセージ性や、監督の意図などを読み解いていきます。精緻な解題にとどまらず、時系列を再構成した年表や、映画の舞台にクローズアップした地図なども収録し、『RRR』への理解、そして熱狂がさらに高まる1冊となっています。 ※映画画像の収録はございません。予めご了承ください。 〇著者プロフィール ・山田桂子(著)  茨城大学人文社会科学部教授。専門はテルグ語地域の近現代史。『RRR』以外にも『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』『マガディーラ 勇者転生』『サーホー』など、日本で公開される数多くのテルグ語映画の字幕監修を担当。 ・山田タポシ(著)  Web制作などを⽣業としながら、映画上映や上映後トークイベントの企画、MCなどに携わる。ラジオパーソナリティとしても「ぱるるんシネマ倶楽部」(FMぱるるん)でインド映画などの情報を発信している。 ・安宅直子(編集) ライター、書籍編集者。インド映画に関する書籍や映画パンフレットなど数多く寄稿し、書籍編集も手掛ける。主な寄稿として『インド映画完全ガイド マサラムービーから新感覚インド映画へ』(世界文化社刊)、『新たなるインド映画の世界』(弊社刊)など。
  • 飯野文彦劇場 亜熱帯より愛を込めて
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    東南アジアの場末のホテルで出会った無口で陰気な女は、私の初めての相手になった。だが、その体験は“初めて”という枠を越えて、あまりに強烈で神秘的だった。――お、女の人って、こんななの!? 旅先での恥と恐怖はカキ捨て、異国での身も心も凍るどころか、人生や世界観までも崩壊するような驚愕と恐怖の一夜は、記憶の奥底に永遠に封じられたはずだったが――。
  • 飯野文彦劇場 痛み
    -
    1巻330円 (税込)
    目を覚ますと、佳奈子が目を大きく見開いて立っていた。わかっているのに、酒を飲むといつもやってしまう…。「覚えていないんだ、どうか許してくれ」と頭を下げる私の脳裏に浮かんだのは、幼い頃、兄妹のように育った従妹の幹枝との、思い出。最初は好奇心からキスをしただけだった。やがていけない遊びはエスカレートし…。
  • 飯野文彦劇場 陰歯
    -
    都落ちして郷里に戻ってきた怪奇物作家の井之は、ある日、地元のさびれた神社に面白いものがあるという噂を耳にする。それはなんと、陰部に歯のはえた女の木乃伊だった…。そこに添えられた古い手記には、木乃伊となった女の悲しくも驚きの運命が綴られていた。やがて、その木乃伊に魅了された井之は…。
  • 飯野文彦劇場 インターホンに見える
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    周囲の喧噪に耐えきれず、発作的な怒りに身を任せて暴れ回る男。ついに暴れている最中に意識を喪い、病院に担ぎ込まれるに至って、医者に勧められ辺鄙な郊外の一軒家へ転地する。水商売に出かける女を見送った後は、何をするでもなくただ庭をながめる日々。その生活が一変したのは、古屋の中でそれだけが真新しいインターホンの存在に気づいたときだった。その小さなモニターの中に、男はいったい何を見出すのか!?
  • 飯野文彦劇場 鰻女
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    先輩作家に紹介されたアメリカ帰りの美女は、酒も下ネタもいける口。ふたりきりで酌み交わす安焼酎が気分をハイにし、豪快なH体験談が甘く下心を誘う。すっかり機嫌良く次の肴を頼もうとしたとき、突然「やめてください」! いったい何が悪かった? 鰻の肝で精力つけて、という下心が見透かされたのか?「駄目なんです、わたし、鰻が。三年前――」。鰻嫌いの陰に隠された、驚くべきトラウマ体験。果たして現実か妄想か? 異常な告白は、留まるところを知らずに大暴走する。いったい何なんだ、この女!? 身も心も引きずり回されたその果てに、作家が辿り着いた場所とは? 悪酔い必至の酒の夜語り、妄想から妄想へ今夜はハシゴ!
  • 飯野文彦劇場 鰻屋
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    1巻220円 (税込)
    十年余り前。じめじめと蒸し暑く、金も当てもないまま夜な夜なK町を冷やかし歩いていた私の心にも、カビならぬいつも以上にしみったれたものが巣くいはじめた梅雨間近のころである――。その鰻屋を見つけたのは、裏通りのディープな一角だった。〈鰻を食べると。一・元気になります。二・若返ります。三・セックスが強くなります。四・死人がよみがえります。〉カレンダーの裏紙にマジックで書いたような稚拙な張り紙には、確かにそうあった。曇りガラスはいつも閉ざされて出入りする客もなく、鰻の匂いすら漂ってこないその店の奥で、いったい何が調理されているのか? 好奇心の虜となった私はある日、ついに意を決して暖簾を潜った…。
  • 飯野文彦劇場 裏長屋の住人
    -
    小説家である私の実家の裏には、人が住まなくなって久しいぼろ長屋があった。ある日その大家である私の両親のもとに、ぜひ長屋を貸してほしいと申し出る男が現れたという。風雨にさらされ、とても人が住める状態ではないと念押ししたにも関わらず、強引に引越してきた老人とその妻…。そんなある日、私のもとに不気味な手紙が送られてきて、その老夫婦の元を訪ねることになるのだが、彼らが語り始めたのは驚くべきことで…。
  • 飯野文彦劇場 栄子狂乱
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    内気で影の薄い、小柄で童顔の女はしかし、凄艶な色気で男の嗜虐心を刺激しながら、いつのまにか主導権を握って思うがままに自らを責めさせる、天性のマゾヒストだった。SM雑誌の編集者すら我を忘れるほどの、巧みで激しく妖艶な痴態。だが、とある田舎の廃屋で撮影をしたときから、何かが変わった。ふたりをさらなる深淵へと引きずり込んでいくのはいったい――?
  • 飯野文彦劇場 Mさんの父
    -
    近所に住むKさんが訪ねてきたのは、ゴールデンウィーク間近となった四月の下旬、穏やかな平日の昼下がりのことだった――。「昨日の夜、河原にMさんのオヤジさんがいたんだよ」。まさか。だって…。「しゃがれた声で『息子を呼んできて欲しいんだが』って言うんだよ」。でも、Mさんのオヤジさんは半年ほど前に…。飲み仲間の奇態な言動に正気を疑いつつも、断り切れずに深夜、Kさんに連れられて問題の河原に向かった私だったが――。
  • 飯野文彦劇場 AE
    -
    これから私が話すのは、全編蟻の話なんですよ。ちょいとばかり長くなるかも知れませんが。飲んだくれの父に施設から引き取られ、郊外の山中に建てられた団地に引っ越してきた少年。新築でありながら荒れ果てた、廃墟のような建物は人間の屑の吹き溜まり。内部の探索を始めた少年の前に、やがて悪夢のようにおぞましい光景が! 人形のように美しく、しかし奇妙な少女が語る祠の祟りとは? かつてこの地に、いったい何が封じ込められていたというのか!?
  • 飯野文彦劇場 同じ穴の
    -
    東京から甲府へ帰る電車の中で遭遇した奇妙な男。酒と金と女をエサに、彼に懇願され途中下車した私は、人里離れた山奥の彼の家にたどり着く。そこで私を快く迎え入れてくれた男と、その娘。しかし美しい娘の頬には髭が、そしてお尻には尻尾が!? 狸に化かされていると知りつつも、気づかぬふりをして一夜を過ごした私に、狸親子はあるお願いをするのだが…。狸に化かされる話といえば、どこか滑稽でほのぼのしている…と思われたなら大間違い。鬼才・飯野文彦が、そんな風に物語を終わらせるわけがない! 奇想天外、毒にまみれた展開に思わず中毒となるか!?
  • 飯野文彦劇場 おのこの缶詰
    -
    私はある本を読んだことをきっかけに部屋を片付け始めた。不要なものを全部捨ててしまおうと思ったときに、段ボール箱から転げ落ちたのは、直径10cm、高さ15cmほどの缶詰。側面には「おのこの缶詰」と書いてあり、「使用法・ホルマリンに漬けてあるので、何か透明な器にうつして、鑑賞すべし」とも併記されている。思い起こすこと10年ぐらい前、仕事仲間との飲み会で、二次会へと向かう途中に出会った屋台で、半ば無理矢理に買わせられたものだったのだ。瓶を買ってきて、缶を開けて中味を移し替えてみるとそれは…。
  • 飯野文彦劇場 己の死を知りながらも
    -
    池袋の安アパートに、その老婆は死してなお住んで、いや棲んでいた。外に出ることも出来ず、ただ壁と一体となって佇む日々。だが、ひとりの女が新たな入居者として引っ越してきたとき、外界のすべてに無関心だった老婆の心に小さな灯がともった。「さみしかったでしょ。ずっと独りで」。古いアパートの一室で、孤独なふたつの魂が触れ合い、一体となる。そして――開かれる新たな目眩く世界! 女神か聖女か淫乱天使か!?
  • 飯野文彦劇場 御札のあるスナック
    -
    友人に無理矢理連れて行かれた、寂れたスナック。女たちとの弾まぬ会話に耐えきれず、半ば自棄になって怪談話をせがんだところ、雰囲気は一変。「なんで、そんな話するわけ」。いたたまれない空気の中で、ふと見上げた柱の上には、一枚のお札が貼られていた。「だいじょうぶよ。御札が貼ってあるから」それから一年、自身を襲った生々しい悪夢に衝き動かされて、ホステスのひとりにメールしたところ、戻ってきたのは奇怪な返信…。
  • 飯野文彦劇場 おもろい夫婦
    5.0
    1巻110円 (税込)
    私は、これといって取り柄のない老作家である。極めて遅筆で、未だに単行本は出ていない。こんな男でも、作家という肩書からか、歳を取っているというだけのことからか、近所に住む連中からは、何かと相談事を受ける。今日も、酒好きの酒屋の亭主がくだらない相談にやってきた。からかってやるつもりで、適当なことを答える私だったのだが――。まるで落語のような登場人物たちの軽妙な会話に、飯野文彦氏独特のシモネタと、笑いを織り交ぜたユーモア小説。
  • 飯野文彦劇場 帰ってきた叔父
    5.0
    あれは盂蘭盆会の出来事だった。当時八歳だった私は、ひとり留守番をしていた。そこへ叔父がひょっこりやってきた。麦茶を用意している間に叔父の姿は消えていた。しばらくして帰ってきた姉たちに叔父が来たことを告げると、「叔父ちゃんは死んだでしょ?」と怪訝そうな顔をされてしまった。しかし、その直後、叔父からの電話で墓に呼び出された私は…。
  • 飯野文彦劇場 河童と会った話
    -
    「井之くんには、相撲代表チームの主将をやってもらいたいと思います」。中学の体育祭で、いやいや相撲に出場させられることになった私。残りの四人は、体力なし根性なしの肥満児か虚弱児。頭を抱える私の脳裏を過ぎったのは、かつて空き地の沼のほとりで出遇った“あいつ”のことだった 。「お、おまえ、おれが河童だって、どうしてわかったんだ?」「どうしてって、見ればすぐにわかる。どう見ても河童だろ」――幼い日の奇妙だが心温まる想い出が甦る。
  • 飯野文彦劇場 悲しき父
    -
    1巻330円 (税込)
    「ここは潰して駐車場にすることになったから、一カ月以内に出ていってくれ。すべては身から出た錆だろうが。てめえが飲んで暴れて、どれだけ苦情が来てることか」「お父さん、気にしないで。どうか、こらえてください」「おまえまで、誰の味方―」。いけない、いけない、この子を巻き込んではいけないのだ。酒が腐らす小宇宙を、陰鬱な苦悩の呻きが澱ませる。行き場のない孤独な作家の魂は、愛するがゆえに責め苛まずにはいられない子供をひたすら彷徨する。
  • 飯野文彦劇場 奇妙な初体験
    -
    初体験の話をしよう。私の場合、それはダブルの初体験だったのである。女性との性体験と同時に、もうひとつ別の初体験をしてしまった――。街ですれ違った美女との、熱く濃厚な一夜。しかし彼女はそれきり姿を消した。「聞こえたら、答えてください。会いたい。会いたい……」必死の祈りが天に通じたか。ついに彼女の応える声が! 「私も会いたいわ。でも、すぐには無理。これから私が言うことを実行できる?」。かくして、涙ぐましい修行の日々が始まった!
  • 飯野文彦劇場 肝田めし
    -
    落語好きの著者がどうしても聴きたい落語会のために出向いた大阪。いつものごとく、居酒屋で軽く一杯ひっかけよう…としたのがいけなかったのか!? 落語の書き下ろしも手掛ける著者ならではのひねりの利いた一席、とくとご堪能ください!! しかし、ここまでいってもやっぱり井之妖彦は、酒をやめられないんですね~。
  • 飯野文彦劇場 きょうこ
    -
    両親の死以来10年、兄妹は爛れた背徳的な「性」活を送ってきた。兄のどんな歪んだ要求にも、白痴の妹は笑顔で応える。外界との接触を断ち、ありとあらゆる欲望を追求する日々。しかしある日、彼らの許をひとりの紳士が訪れた。「妹さんの噂を耳にしまして。どうか、妹さんを見せてほしいんですが。怪しい者ではありません。わたしはただ妹さんと……。お金なら払いますから」。求めに応じて妹を貸し出したときから、ふたりの間の危ういバランスは崩れ始め…。
  • 飯野文彦劇場 子を連れて
    -
    1巻220円 (税込)
    傾きかけたボロ家の二階で、腐ったように暮らす私小説作家のなれの果て。その傍らにいつも寄り添うのは、あどけなく健気な幼い子。「俺には六つになる息子がいるが、毎晩●●●●を吸わせてる」ああ、嘘だ嘘なんだ。なぜ優しくしてやれないのか。たった一人の肉親であり、たった一人の話し相手であり、たった一人の父であるのに。世界が彼を責め苛む。それから逃れるために、酒に溺れ妄想に溺れ…。粘り着くような孤独の中で、子供だけが、子供だけが彼の…。
  • 飯野文彦劇場 再会
    -
    その夜、私は落語を聞くために三鷹へと足を運んでいた。会が終わり、駅へと向かった私は、帰りの電車で楽しむために、缶ビールや缶酎ハイを買い込む。三鷹駅でビールを一本開け、立川行きの電車に乗り込んで缶酎ハイに手をつける。すると、段々数が減っていく乗客の中に、恩人の先輩作家Nさんの姿を見つけた。しかし、実はNさんは半年前に病気で他界しているので、ここにいるわけがない。そうは思いつつも、あまりに似ているたたずまいに、酒の酔いも手伝って、思わず私は彼に話しかけてしまうのだが…。
  • 飯野文彦劇場 サシと女
    -
    「エロの極限を描いた、めちゃくちゃしてるやつが見てえって言ってるだろうが」――酔った勢いで買ってきたアダルトDVD。そのあまりのエグさに、男の魂は凍りついた。魂にぽっかり空いてしまった黒い穴。闇に食い尽くされた太陽。その中から、コロナのように吹き上がるのは、記憶の奥底に封印されていた三十三年前の奇怪な出来事だった――。病的な虫嫌いの少年が、あの日河原の石の下に見出したものは、白くてつるつるした――。
  • 飯野文彦劇場 作家幻想
    5.0
    1巻110円 (税込)
    壊れている。脳味噌が「酢豆腐」並に、腐っている。軽蔑され冷笑され罵倒され、蹂躙され踏みにじられ陵辱されている――ような気がする。耐えられず、今日もまた酒を飲む。飲み続ける――。二十世紀末、私はまったくもって売れない作家として、かれこれ十年近くに渡って生活を続けていた。自身の無能と自意識過剰に苛まれ、他人の眼に脅え、それらを忘れるべく酒に溺れながら。個性的なその世界観からマニアックな評価が高い飯野文彦が出版社、編集者といった枠組みを超えて綴った、異形ワールド!

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  • 飯野文彦劇場 残存性欲の女
    -
    「やさしいんですね。これから行っても良いですか?」「明日の晩も、来てもいい?」。毎晩、彼女はやってくる。汗にまみれ快楽に溺れ、わたしはもはや彼女なしではいられない。いかに浅ましかろうと、昼も夜も常に彼女のことを求め、胸は高鳴り肉体は火照る。しがない作家に初めて訪れた我が世の春。恋の、いや情欲の炎に激しく生命を燃やして、男はこの世ならぬ悦楽に浸りきる。夜ごとの美女の訪問は無上の愛か、異界の罠か。
  • 飯野文彦劇場 獅子と戦う
    5.0
    1巻110円 (税込)
    居酒屋での馬鹿話に、ライオンと戦って勝つ自信を高らかにぶち上げた男。すべては酒の上の冗談のはずだった。昨夜隣り合わせたTVディレクターが、約束通り訪ねてくるまでは。「あなたねえ。本気で人間とライオンを戦わせるつもりですか?」「はい」「テレビでそんなのを放映できるわけがないでしょうが」「できます。自分が責任を持って仕切ります」…。今、秘策を胸に、絶対安全な究極の異種格闘技戦のゴングが鳴る。
  • 飯野文彦劇場 性根
    -
    1巻220円 (税込)
    私が佐山外雄と出会ったのは、今から二年ほど前のことだ。その頃、すでに彼の性根は、残念ながら腐っていた――。先輩作家とのトークライブにファンとして現われた男は、にこにこと土産の焼酎を差し出した。三度四度と回を重ねるにつれて、男は馴れ馴れしく、いや図々しく、こちらの領域へと踏み込んでくるようになる。疎ましい男を何とか突き放そうとして、ますますその神経を磨り減らす気弱な私。だが、ようやく突き放しに成功したと思ったとき、男は新たな貌を露わにした。のっぴきならない状況に追い詰められた私が、機先を制するべく打った奇策中の奇策とは? 狂乱の宴が、今始まる!
  • 飯野文彦劇場 白い人
    5.0
    「ああ、お願いだから、ちょっとの間、静かにしていて。絶対に出たりしちゃだめよ。すぐ終わるから、ねっ、ねっ」――寒い冬の夜更け、駅前にふと人通りが途絶えたとき、濃密な闇に塗り込められた街を、奇妙な白い人々が横切っていく。「誰なんです、あの連中は?」「あ、あれは……」――駅周りの店主たちが一様に畏れる禁忌(タブー)に触れたとき、男は白い人との邂逅を求めて、夜更けの街をひとり彷徨う。
  • 飯野文彦劇場 深夜の授業
    -
    幼い頃から暴君だった父。ある日、酔った父が私の部屋に入ろうとしたのを止めようと、咄嗟に体当たりをした。父はあやまって階段から転落…。幸い、大事には至らなかったが、一方的に暴力をふるわれる関係は終わりを告げた。今までの鬱憤を晴らすかのように、私は母に、そして父にも暴力をふるうようになった。そして…。果たして主人公がたどり着くのは?
  • 飯野文彦劇場 地獄のランチタイム
    -
    1巻330円 (税込)
    私立探偵…とは名ばかりの何でも屋のおれは、一か月前にアルのママから「あたしのかわいい坊やを連れもどしてちょうだい」という依頼を受けた。東京砂漠を愛車でぶっ飛ばしながら、アルを探すおれだったが…。荒んだ近未来の東京で繰り広げられる、バイオレンス劇! 飯野文彦節全開の、エロ、暴力ありの和製スプラッタパンク!
  • 飯野文彦劇場 樹海幻想
    -
    病によって身体が麻痺し、不能となった作家はそれでもなお、女への妄執を露わにする。週に二度彼の許を訪れて、不自由な口から零れ出る言葉を書き留める小夜子。だが、その日作家が語り出したのは、小夜子自身の物語だった! 樹海の中に繰り広げられる死と性の饗宴。作家の鬱屈した視線に晒されるなか、現実と虚構は一体となって小夜子を翻弄する。この奇妙な物語に、作家はいかなる結末を用意しているのか?
  • 飯野文彦劇場 女郎蜘蛛
    5.0
    「それは…」「女郎蜘蛛ですわ」「それじゃあ、そこにいるのを知っていてわざと」「こんなにしっかりと脚を立てられていて、気づかないわけがありませんわ」「取ってあげましょう」「取ってもらえるのなら」。深夜の列車に乗り合わせた、艶めかしい喪服の美女。その白い首筋には一匹の大きな女郎蜘蛛が! 柔肌を思うがままに蹂躙する七本の脚。淫らに漏れる吐息、高まる官能。誘われるまま、その胸元に手を差し入れた男に女が語った忌まわしい身の上とは?
  • 飯野文彦劇場 神代桜
    -
    近所のラーメン屋で昼食を済ませ、自宅に帰ったらリビングに見知らぬ老人が居た。「昨日、訪ねてきてくれたでしょう。そのとき、この人だと思ったんですよ」と言う老人は、私の願い事を2つかなえてくれる代わりに、自分の願いも1つ聞いてほしいと言う。この老人、実は私が昨日ふと訪れた神社の樹齢千年を超えるという神木――神代桜だったのだ。彼が持ちかけてきた取引とは? そして、老人と話すうちに明らかになった驚愕の事実!!
  • 飯野文彦劇場 体内小人
    5.0
    奇怪な手紙に導かれ、TVレポーターは山奥の社へと向かった。そこで彼を待ち受けていたものとは? 失踪後、再び姿を現わしたレポーターの会見で全てが明らかになる!? 「ま、待ってください。本当なんです。今、世界は、人類は危機に陥っている。だんだるしあが蘇ろうとしているのです」「で、結局その、だんだるしあって、何なの?」「わかりません。しかし、その手先の〈やつら〉のことならわかります」「じゃあその〈やつら〉は、どこにいるんですか?」
  • 飯野文彦劇場 煙草屋の二階に住んでいる
    5.0
    1巻110円 (税込)
    男は、痩せこけた老婆が店番をする、古びた煙草屋の二階に住んでいた。いつも排泄は床の抜けた押入れの中から、一階の古びた浴槽へめがけて…。臭気のこもる煙草屋の中、男と老婆の狂気と愛憎の世界が繰り広げられる。
  • 飯野文彦劇場 代替わり
    -
    ここだけの話だけどよ、閻馬師匠が生きているって話だ――。3年前に急死したはずの伝説の落語家・烏亭閻馬が生きている!? 閻馬の弟子だった小馬が語る、驚くべき噺の結末は? 西に田中啓文あれば、東に飯野文彦あり! 落語をこよなく愛し、破滅的生き方を体現する最後の芸人作家・飯野文彦が語る、深く厳しく恐ろしい芸の世界。年末年始に相応しい色物――いや、笑わせ泣かせぞっとさせる、異端の至芸が電脳寄席の高座に上る。
  • 飯野文彦劇場 談春を聴きにいった名古屋で謎の美女と遭う
    -
    贔屓にしている落語家の独演会を聴きに、山梨から名古屋まで長距離バスで出かけた私。ところが、バスを降りた途端、見知らぬ美女に声をかけられた。彼女は私の事を知っている様子だが、こちらには何の覚えもない…。そんな事はお構いなしの彼女に、強引に手を引かれ私が連れて行かれた先には!?
  • 飯野文彦劇場 団地に出た男
    -
    サークルの先輩が、連日のように泊まりに来る。私のアパートに来ない日も、他の友人宅を泊まり歩いて、自分の部屋にはほとんど帰っていないらしい。とうとうある日、たまりかねて問い詰めた私の前で、先輩は泣き崩れた「だめだ。もう限界だ」「どうしたんですか?」「出るんだ」――。いったい部屋に何が出る?
  • 飯野文彦劇場 地下の少女像
    -
    妻と訪れた「風林火山博」で、退屈した私は、今は寂れたこの会場がデパートだった頃のことを思い出す。やがて、とりとめのない追憶の中から浮上してくるひとつの記憶。「誰だ、この子は……」。地下フロアーの片隅に、ひっそりと閉じられた不思議な扉。鬱屈した受験生の日常は、常に鍵をかけられた扉の向こうへの好奇心を爆発寸前にまで高める。そして、ついに我慢の限界を超えた少年の前で、扉はあまりにもあっさりと開かれた。そこに待っていたのは…。
  • 飯野文彦劇場 茶の魔
    -
    もうすぐ八月の声をきこうというある日、私のもとに、作家仲間のFから長文の手紙が送られてきた。性格的に問題があり、いつしか仲間内からも距離をおかれ、郷里に帰ったと風の噂に聞いたFからの手紙。そこにはアルコール依存症だったFが手に入れた「魔法のお茶」によって、酒を断つにいたった話、そしてそのお茶を飲むようになってFの目の前に現れた「あいつ」の話が…。
  • 飯野文彦劇場 茶碗
    -
    ある日、大学時代の友人山崎と居酒屋で飲んでいると、彼が木箱に入った茶碗を取り出した。趣味で骨董でも始めたのかと思いきや、近所の瀬戸物屋の百円均一で買ったものだという。山崎は、その茶碗にビールを入れて飲んでみて、もしわたしが、驚かなければ今日の飲み代を奢ってやるという。その言葉に背中を押され、古びた茶碗でビールを一気飲みすると、私の体に…。落語にある「はてなの茶碗」ならぬ、「欲情の茶碗」を手に入れ、淫乱地獄に堕ちたわたしは…。
  • 飯野文彦劇場 友だちはブチ
    5.0
    1巻110円 (税込)
    生まれつきの難病のため入院していた9歳の少年・正和。学校にも行けない彼は友達もできず、いつも病室の窓から、通りを歩く少年たちを羨ましそうに眺めていた。そんなある日、窓の外にブチ柄の子犬がいるのを見つける。正和は子犬にブチという名前をつけ可愛がった。ブチは正和にできた初めての友達だったのだ。しかし、正和の病状は刻々と悪化し…。少年と犬との心温まる感動作。
  • 飯野文彦劇場 どんクリ
    -
    深夜の子供部屋に響いた壮絶な悲鳴。「傷口は接合しましたから。出血していますが、二、三日もすれば元気になるでしょう。しかし…事情が事情だけに、警察に連絡しなければなりません」「おっしゃってください。花恵は何をされたんですか!?」。ようやく授かった娘を襲った凶事が、母の精神を責め苛む。誰が何のためにこんな酷いことを? 護らなければ、この愛しい我が娘だけは。襲い来る悪意に敢然と立ち向かう母。その先に、血みどろな修羅の地平が広がる!
  • 飯野文彦劇場 ないものの子
    -
    主人公の「私」が小説家である事を知り「実は私も小説を書いたことがあるの…」と自作をメールで送ってきた憧れの女性。その内容は、彼女の清楚な外観からは想像もつかない淫らで、破廉恥な官能小説。いやはや、作中話として全文が掲載されているこの小説がまた本格的で、思わず生唾を飲みこみたくなるような内容。地位も名声もある夫人が、銀座の公衆トイレで繰り返す痴態…。これだけでも読み応えがあるのだが、さらに本作は驚くべき結末へと進んでいく。官能小説と言うべきか、ホラー小説というべきは、はたまた…。
  • 飯野文彦劇場 夏の女
    -
    愛する美しい妻に優しくされればされるほど、わたしは冷たい態度を取ってしまう。寂しさと後悔の念が、わたしを苛む。だが、拭えないのだ。妻に対する違和感を、そして恐怖を。結婚して15年、2人の子供をもうけてなお、美しく若々しい妻。誇りであり、自慢の種だったそんな妻に対して、一冊の本が疑念をもたらした。――いつまでも若く美しい妻は、かつて雪山で出会った雪女だった――有名な民話が、自身の生活に重なる。わたしの妻も…。
  • 飯野文彦劇場 奈落の遊園地
    5.0
    実の甥に性的虐待をした挙句、怪我を負わせ逃げてきた男。酒に溺れてホームレス状態となった彼がたどり着いた先は…。【作者の言葉】ひたすら下品で汚らわしくて、目茶苦茶な話です。決してどこからも出版してくれないでしょう。こっそりと読んで、嫌な気分になってください。
  • 飯野文彦劇場 女体の中に
    -
    「昔、SM雑誌でライターをしていたときに経験した不思議な出来事を、一編の小説にまとめてみました。くわしいことは差し障りがあるので、ここには書けません。それは本編の中で……。ご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします」(著者:飯野文彦)取材先の肛門科で聞いた、世にも不思議なお話し!
  • 飯野文彦劇場 人形まつ
    -
    その日わたしは寝不足で、ふらふらの状態のまま取材先に赴いていた。小さな玩具博物館、展示ケースの中にその人形はあった。着物は焦げ、顔や手足は剥がれひび割れた、制作者も由来も定かならぬ粗末で古ぼけた日本人形。だが、そのつぶらな瞳になぜか惹きつけられ、じっと見入っていた私に、初老の男が声をかける。「その人形に目をつけるとはなかなかですな」男が語る、人形への思いとは――?
  • 飯野文彦劇場 白磁の壷
    -
    ある日、近づいてきたアブナそうな女が押しつけたのはアヤシげな小冊子。その中には、彼女が実際に遭遇したというUMAの記録が綴られていた。「最大最高のUMA」とは、県立博物館にある壷? 翌日、博物館に行こうと押し掛けてくる女に恐れをなした作家は、先手を打ち自ら博物館を訪れるが…。作家稼業は、またも電波を呼び寄せる。何もかも田中啓文が悪いのか!? 知りたくなくてももう遅い。知らずにすめば幸せだった。あなたの身の周りにもUMAは存在する!
  • 飯野文彦劇場 花
    -
    密かに想いを寄せていた同僚とのささやかだが幸福な一夜。だが翌日、出社した私を待っていたのは衝撃の事実だった。抜け殻となって帰宅すると扉の前に、一鉢の花が。「ありがとう。どんな形にしろ、君が私のところに来てくれたんだからね。もう決して君を離しはしない。これからは二人でいつまでも、いっしょに暮らしていこう」。閉ざされた室内に濃密な匂いと温気が満ち、蕾から涙の雫が滴り、やがて徐々に開き始める…。
  • 飯野文彦劇場 浜の老人
    -
    ある日、妻が仕事中の私の書斎の扉を開けて、「あの人がやってきた!」と慌てた様子で言う。あの人とは、5年前、新婚旅行先の宮崎の海岸に死んだように横たわっていた老人のこと。しかも彼は、痩せた体にそぐわぬ巨根を見せびらかすかのように全裸だったのだ。まるで二人の心の内を見透かしたようなことを言う老人に興味を持った新婚の妻に、私は思わず殺意さえ覚えるが、次の瞬間、老人の姿は忽然と消えた…。エロと狂気のスペクタクル…そして驚天動地の結末が!?
  • 飯野文彦劇場 張り型とさすらう
    -
    小説が書けない。3年近く肉体の交渉を持っていなかった妻は、パート先の上司と浮気をしていた。そして、唯一の理解者である母が、死んだ。私の精神は、許容量を超えてしまった。ただ逃げ出したかった、すべてを捨てて逃げ出したかった――。自我の崩壊寸前まで追い込まれた男は、浴びるような酒と共に、あてもない逃避行へ。いつしか辿り着いた温泉宿のストリップ小屋で、私の目の前に股を開いた年増女の自慰ショーには、驚くべき秘密があった!
  • 飯野文彦劇場 バルセロナの工房
    5.0
    1巻110円 (税込)
    妻にうながされて県立美術館に足を運んだのは、暖冬とはいえ北風の冷たい一月の末のことだった――。普段はバルセロナの工房で、制作に没頭しているという老版画家のことなど、興味もなければ知りもしなかった。だが、妻に無理矢理引きずられるようにして連れて行かれた講演会で、私は彼のたたずまいに強く惹かれる。彼のいったい何に、私はこんなにも惹きつけられるのか?
  • 飯野文彦劇場 人魂
    -
    作家である私は、ある日、仕事場にある「あるモノ」が妙な光を発していることに気づいた。その光を見つめているうちに、自分の口からも同じような光が飛び出していた。それは…人魂だった。人魂に意識が乗り移った私は、ふわふわと宙を飛び、扉をすりぬけ…そして妻の寝室で目にしたのは…。妻の情事を知った私がとった行動は!?
  • 飯野文彦劇場 一人多い生徒
    -
    紆余曲折を経て、40歳で小学校の教員となった私。生徒数は8人と少ないが、可愛い子供ばかり。しかし、私はある日、生徒が一人増えている事に気づいた。しかも、その少年は私の記憶の中の懐かしくも切ない思いを呼び起こし…。子供の頃の純真で深い友情。それでいて大人になったら相手の存在すら忘れてしまっている残酷さ。それらが呼び起こすキュンと胸が締めつけられるような想いを、奇才・飯野文彦が見事に操り、私たちを不思議な世界へ誘う…。感動と切なさ、そして恐怖をともなう秀作です。
  • 飯野文彦劇場 紐
    5.0
    「ねえ、わたしが養ってあげようか」「ヒモになれってことか」――。シメタ、と思っていた――。作家崩れの屑男は、40がらみのロートル・ストリッパーの安マンションに転がり込んだ。自慢の手管でモノにして、見事ヒモに収まる。毎日、ただひたすら安焼酎をかっ喰らい、ぼんやりと怠惰に過ごす日々。だがそれは、1人の美少女が部屋を訪ねてきた時に、終わりを告げた。男が手にするのは甘い生活か、それとも――?
  • 飯野文彦劇場 フィアンセは
    5.0
    年下の美青年から、ついにプロポーズを切り出された女。だが、彼は突然恥じらいながらうつむき、女口調でつぶやいた。――「はじめまして、わたしが桜見郁美です」――。幸福の絶頂から、突如意味不明な奈落の底に突き落とされた女は、彼=彼女の口から語られる奇怪な物語を受け容れられるのか?
  • 飯野文彦劇場 フェードアウト
    -
    作品はおろかその存在自体も徹底して消し去られ、それどころか偶然知ってしまった者さえもまた、当局によって抹殺されるという幻の映画監督、加太野東亜。果たしてその作品には、いかなる秘密が隠されているのか? 一度足を踏み入れた以上、もはや後戻りのできない闇の中に幻のフィルムが映し出されるとき、いったい何が起こるのか!?
  • 飯野文彦劇場 笛
    -
    少しまとまった金が手に入った。昔の文士を気取り、温泉に籠って短篇でも…と、わたしは旅に出た。道を逸れ迷い込んだ山中で、ふと耳にした笛の音が桃源郷へと誘う。木々の生い茂る山奥、霧に覆われてひっそりと佇む温泉宿。妖艶な若女将と、清楚な妹――美貌の姉妹による献身的なもてなし。徐々に点る官能の火は、やがてこの世のものとも思えぬ、奇怪な悦楽の音色を奏で始める! 異才が高らかに吹き立てる、エロティックでグロテスクな異形の音楽。
  • 飯野文彦劇場 覆面試写会への招待状
    5.0
    覆面試写会にようこそ。まず、警告しておこう。この作品は怖いだけではない。危険である。あらゆる不快な出来事、恐ろしい体験を、あなたはこれから経験することとなる。もしそれがいやなら、いますぐ席を立たれることだ。それからもうひとつ。この作品についての内容、また衝撃のラストについて、けっして他言しないでいただきたい。もっとも他言したところで、他人はけっして信じようとしないだろうが……。
  • 飯野文彦劇場 へんげ
    -
    Y県とN県の県境に、突如なぞの巨大生物が出現した!? 厳戒態勢がひかれ、立ち入り禁止となったそのエリアに侵入した男が拾った巨大な紙片には、驚くべき事実が綴られていた!! 果たして巨大生物の正体とその運命は? 奇才・飯野文彦が描く怪獣モノの、ちょっと普通ではない驚愕の結末。
  • 飯野文彦劇場 ポール・デルヴォーの絵
    -
    静かな夜だった。彼は一人、石畳に覆われた歩道を歩いていた。いつから歩いていたのか、自分がどこにいるのか、どうしてここにいるのか、わからなかった――。都会の片隅で、孤独に生きる内気な若き画家。愛する女性に傷つけられ、絵で身を立てる夢も未だ叶わず、それでも彼は描き続ける。独自な世界を描き、見る者に不思議な感銘を与える作品を目指して。そして、奇蹟は起こった。あまりにも昏く邪悪な奇蹟が!
  • 飯野文彦劇場 まつりの準備
    -
    作家を志しながらも、現実の厳しさに挫折しかけている青年。夢を諦め、東京を離れて郷里へ帰るしかないのか? そんな彼の前に現れた一人の女性。誰からも愛され、くったくのない笑顔を見せる彼女に、いつしか青年は…。姿を見るだけで胸がキュンと締めつけられるような淡く切ない思い、清らかで真っ直ぐな恋心――恋するっていいなぁ。
  • 飯野文彦劇場 百足の女
    -
    このことを、これまで長い間、誰にも一言たりとも漏らしたことはない。話したくても話せなかったし、またたとえ誰かに話したとしても、とても信じてもらえず、私の頭がおかしくなったと思われただけだろう。しかしもう限界なのだ。いやとっくに限界を超えてしまっている――。高齢の伯父から届いた手紙には、想像を絶する快楽の地獄絵図が書かれていた。魁偉な容貌の伯母に秘められた、おぞましい秘密とは? ミミズが千匹? とてもとても…。
  • 飯野文彦劇場 面
    5.0
    秋祭りの縁日で面を買った。それは20年近く前に死んだ祖父にどこか似ていた…。奇妙な面と巡り会ったその日から、作家の許に言霊が降臨する。狂気、妄想が次々と結晶化し、奇蹟のように生み出される歪んだ傑作群。しかし真の狂気、真の恐怖は徐々に作家の日常を蝕み…。面の裏に刻まれた言葉。その素材に秘められたおぞましき秘密。そしてベールの彼方から甦る少年時代の記憶。現実か妄想か? 人面の迷宮を呪われた言葉が彷徨い、鮮血と共に噴出する!
  • 飯野文彦劇場 盲目の天才作家
    -
    「編集長、この原稿はすごい。マジですごいんですよ。どれくらいすごいかというと…」。若い編集者が、興奮して持ち込んだ原稿は確かにスゴかった…。だがそれは、かつて一部で才能を高く評価されながら、三作を遺しただけで事故による非業の死を遂げ、完全に忘れ去られた悲運の天才作家の作品そのものだった。「しかし、盗作のしようがないんです」。その原稿を生み出したのは、病によって5歳程度の知能しか持たない、盲目の青年の口述だという…。
  • 飯野文彦劇場 揉みほぐされる脳
    -
    雨の蒸し暑いある日、売れない作家・井之妖彦は、自分の脳が誰かによって揉みほぐされていることに気づく。だから、すぐに感情的になり、ねちねちと細かいことにこだわり、優れた才能を見いだされず不遇のまま過ごしているのだ。すべてそれで納得がゆく。誰だ、誰が私の脳を!? 男の精神が壊れていく過程を、つぶさに、執拗に描ききった奇作。
  • 飯野文彦劇場 山で魔物と会う
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    怪奇作家を出迎えた旧友は、グロテスクな変貌を遂げていた! 彼の身も心も変えた「尋常ならざる経験」とは? 南アルプスの山奥に棲む、恐るべき魔物との遭遇。貪り食われるよりもおぞましい運命が、彼を待っていた!
  • 飯野文彦劇場 山でやったとき
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    ヤリたい盛りの高校生カップルが、人けのない山の高台で乳繰りあっていたとき、そいつは現われた。「なぜ今日は脱がない、脱げ、脱げ! いつもみたいにすっぽんぽんになって見せろ!!」。毛むくじゃらの獣のような男は興奮の雄叫びをあげ、少女をさらって山中に姿を消した。やつは何ものだったのか?
  • 飯野文彦劇場 友人の妹と…
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    大学時代からの友人の義弟・佐川が失踪して一ヵ月。ある日、佐川の消息がわかったらしいという報告をうけた藤沢は、とても正気ではいられなかった。なぜなら、佐川は藤沢がその手で…。“鬼畜”という言葉がこれほどぴったりな作品があるだろうか? やがて非道ぶりを尽くした藤沢の耳に届いた怨嗟の声…。戦慄の結末までノンストップでお届けする奇作!! しかし、因果応報にしても酷すぎます…。
  • 飯野文彦劇場 妖女
    5.0
    「彼女、おれがいただく」「待てよ」「なんだよ、だんまりを決め込んでいたくせに」「彼女、潮くさくなかったか」――気がつくと、潮の香りが漂っている。そんな気がした…。ディスプレイの中から微笑みかける美少女。確かに漂う潮の香りと、甘い吐息。偶然行き当たった奇妙なwebページは、男の心を激しく波立たせた。馬鹿らしい、気のせいだ…。しかし、仕事帰りに寄った居酒屋で、こちらをじっと見つめ微笑みかけてくるのは、確かにあの少女だった!
  • 飯野文彦劇場 汚れちまった悲しみ
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    40も半ばを過ぎた売れない小説家の私は、妻に去られ、今は田舎の年老いた両親の面倒を見ることで、いくばくかのお小遣いをもらって生活をしている。そんな私の頭の中を閉めている妙なフレーズがあった。「ゆやん、ゆよん、ゆや、ゆよん。ゆやん、ゆよん、ゆや、ゆよん」。何の音かわからない。わからないながら、ふとした瞬間、それを呟いている私がいた…。それが、もしかしたら、幼い頃、何かのドラマで耳にした中原中也の詩「汚れちまった悲しみに」の一節ではないかと思い当たった私は、それを確かめに図書館へと向かったが…。
  • 飯野文彦劇場 夜の訪問者
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    「井之先生は、いらっしゃいますか。『怪奇無尽講』の続きを教えてください」――。独り執筆の進まぬ深夜、不気味な女が家の前に立つ。差し出された金に目が眩み、はるばる千葉からやってきたという言葉で情にもほだされ、家に上げた作家だったが、女の言動は次第に奇妙の度を増していく。そして電話が…。あの傑作『怪奇無尽講』に、こんな裏があったのか――もしれない!?
  • 飯野文彦劇場 留守電
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    留守電に吹き込まれていたメッセージは、見知らぬ若い女性からの間違い電話だった。そこに込められている切なる想いは、しかし相手には永遠に届かないのだ。それを知っているのは自分だけ。哀れさと焦燥に胸を焦がしながらも、どうすることもできない私は、日夜悶々としていたのだったが、ある日ついに二度目のメッセージが。そこに吹き込まれた相手の番号を前に、極限まで膨らんだ様々な想いが迸るとき、いったい何が起きるのか!?
  • 飯野文彦劇場 霊界ラジオ
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    初めて訪れる場末の居酒屋で私の耳に、ジジジ、ジジジジジジジ、とどこからともなく、いや自分の中から雑音が響く。そして、あの男が話しかけてきた。「それはちがうでしょう」――だが、私は気づく。相手は私の心の中の言葉にまで応えている…。気味悪くなった私に、男は小さな“ラジオ”を取り出した。飛んでくる飛んでくる、次々電波が飛んでくる。性格の歪みが磁場となり、毒の電波を引き寄せる。たまった電波で磁場はますます歪み、私の頭を狂わせる!
  • 飯野文彦劇場 霊の笑い
    -
    小さな祠がある曲がり角に、今日も狂気を呼び起こす忌まわしい笑いが谺する。ボクと早智枝は幼い頃から、その笑い声に、そしてそれが生む狂気と死に魅せられてきた。「幽霊の笑い声よ。幽霊が相手を見て、こいつならって思ったときに笑うみたい」。やがて、狂気が爆発する現場を目の当たりにしたとき、ふたりの中でも何かが弾けた。他人の狂態を覗き見ながら、自分たちもまた繰り広げる痴態。歪んだ刺激の行き着く先には? 曲がり角には気をつけろ!
  • 飯野文彦劇場 老女の怪
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    今日もわたしは、ひとりひなびた田舎へと車を走らせる。新鮮な空気を吸ってリフレッシュするため――ではない。長閑な風景の中、欲情に血を滾らせる私が求めるのは、老女の萎びた皺だらけの肉体。そう、わたしは“老女マニア”なのだ。最初は拒む老婆もやはりひとりの女。本気で押せばなよなよと崩れ落ち、ご先祖様の見ている前であられもない声を張り上げる。孤独な老女に功徳を施すべく、今日も今日とて当てもなく田舎を流すわたしの前に現われたのは?
  • 飯野文彦劇場 ろくろ首
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    「お化けが恐いなんて、子供みたいだと思うでしょう。でもね、見ちゃったんですよ」「ろくろ首を、ですか?」「ええ、見てしまったんです。ああ、そのために……」――安居酒屋で偶然隣り合わせた男は、私が眺めていた妖怪画に血相を変えた。怪奇作家として、絶好のネタの気配を嗅ぎ取った私に、男が語った奇妙な体験談とは――?
  • 飯野文彦劇場 六本木にて
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    六本木の裏通りにひっそりとそびえ立つ洋館。奇怪な因縁の伝わるその幽霊屋敷に、暑気払い気分で出かけた作家一行。酒で恐怖を紛らせていた私は、二階の窓に不気味な少女の姿を見た。それが恐怖の始まりだった。瞼を閉じれば、その闇の中に浮かび上がる白い少女の姿。電話の向こうで、嗚咽を押し殺して囁く声…。酒が見せる幻覚か、それとも!? 恐怖に怯える私は、憧れの美人作家と手に手を取って、怪異と対峙すべく敢然と再び廃墟に立った!

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