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台湾・香港の記録的ロングセラー 1949年、国共内戦に敗れた国民党政府軍と戦乱を逃れた民間人とが大挙して台湾へ押し寄せた。その数ざっと200万。一方、50年にわたる日本の統治期を経て、「外省人」という新たな勢力の大波にのみ込まれた台湾人(本省人)。互いに痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた外省人と台湾人の「原点」を見つめ直す。 抗日戦終了後、休む間もなく国共内戦に投入され、最後は国民党軍の撤退とともに台湾へ逃れてきた軍人とその家族たち。南洋にあった日本軍の捕虜収容所で監視員を務め、戦後、戦犯として裁かれた台湾人。たまたま隣の島へ荷物を届けて、海域を封鎖された漁師――。 あらがえない時代の流れのなか、限られた運命の選択肢に自らを賭し、必死で生き延びてきた人びとの姿を丹念に描いた記録文学の金字塔。 [目次] Uブックス版への序文 光の可能性 プロローグ 私たちを守ってきた街路樹 第1章 手を離したきり二度と……──父と母の漂泊人生 1 母、故郷との別れ/2 ちょっと雨宿りするだけ/3 流れ着いた埠頭で/4 母、五十年ぶりの帰郷/5 ダムに沈んだ故郷/6 汽車を追いかける女性/7 三十歳の父が広州に残した足跡/8 汽車を追いかける少年/9 いたって普通の一年/10 鍬を担いで、毛沢東の演説を聞きに/11 母がくれた作りかけの靴/12 十八歳の父が南京で受けた心の傷/13 老いた父が愛した芝居「四郎探母」 第2章 弟よ、ここで袂を分かとう──少年たちの決断 14 夏には帰ってくるから/15 端午の節句/16 別れ際、母についた噓/17 小さな駅での決断、兄と別れて南へ/18 疎開学生、志願兵になる/19 台湾なら肉が食える/20 この険峻な山を越えれば/21 ベトナム捕虜収容所での三年半/22 悪魔山に押し込められた難民たち/23 山険しく海深し 第3章 私たちはこの縮図の上で大きくなった──名前に刻み込まれた歴史 24 「台生」という名前/25 〝吉林〞までひと歩き/26 アメリカ兵がくれたチョコレート/27 小さな町で演じられた惨劇/28 六歳でも兵隊になれる 第4章 軍服を脱げば善良な国民──包囲戦という日常 29 レニングラード包囲戦/30 ソビエト軍による解放の陰で/31 長春無血解放/32 死んでも君を待つ/33 捕虜は恥か/34 お碗に落ちた戦友の肉片/35 弾よけになった民間人/36 北京から逃げる、上海から逃げる 第5章 われわれは草鞋で行軍した──一九四五年、台湾人が出迎えた祖国軍 37 八月十一日、上海の朝/38 九月二日、ミズーリ号上空は晴れて/39 八月十五日、上海の夜景がよみがえる/40 九月二十日、中秋の名月と揚陸艦LST-847/41 「日本人じゃありません」/42 LST-847が運んだもの/43 九月十六日、国民党軍第七〇軍、寧波へ/44 十月十七日、第七〇軍が来た/45 五十年ぶりの中国軍/46 台湾海峡の水葬/47 草鞋/48 歴史的瞬間だ、乗り遅れるな/49 線香を一本手向けて 第6章 フォルモサの少年たち──捕虜収容所にいた台湾人日本兵 50 歴史の奔流にのみ込まれた水滴がふた粒/51 高雄から戦地に向かって船が出る/52 死体から染み出た水をすすり/53 一九四二年、台湾の少年たちが歌う君が代/54 台湾人志願兵/55 捕虜収容所の台湾人監視員たち/56 トウモロコシ農場で出会った元米軍兵捕虜/57 自らの手は汚さずに/58 ビルが描いたサンダカンのスケッチ/59 監視兵が戦犯になり/60 「これは天が殺すんだ。私が殺すんじゃない」/61 日々是好日 第7章 田村という日本兵──ニューギニアに残された日記、生き残った国民党軍兵士 62 底辺の竹きれ/63 台湾人監視員が赤ちゃんにあげた卵/64 抗日の英雄たちのその後/65 上海からラバウルへ/66 墓標なき死者たち/67 地獄船に乗って/68 田村という若き日本兵/69 ニューギニアで食うこと、死ぬこと/70 十九歳の決断 第8章 じくじくと痛む傷──一九四九年の後遺症 71 二十カイリに四十年/72 モクマオウの木の下で/73 二人の男の子 エピローグ 尋ね人 あとがき 私の洞窟、私のろうそく/民国百年増訂版 序 わき出ずるもの/原注/訳注/謝辞 訳者あとがき
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華文ミステリーの到達点を示す傑作! 名刑事クワンと弟子のローが挑んだ六つの難事件。 香港警察の「名探偵」と呼ばれた伝説の刑事クワン。2013年、末期がんで余命僅かな彼のもとに、難事件の捜査で行き詰ったかつての部下、ローがやってくる。 クワンが最後の力を振り絞り提案した前代未聞の捜査方法とは――。 戦後香港の現代史と一人の警察官人生を重ねながら、権力者と民衆の相克を描く華文ミステリーの傑作。 綾辻行人氏も絶賛! 最初の「黒と白のあいだの真実」を読んでまず、何と高密度・高レベルの本格ミステリであることか、と驚嘆した。 続く5つの中編も同様で、「本格」の典型からさまざまに逸脱していきながらも、すべてが実に本格ミステリ的な、優れた創意と技巧によってこそ成り立っているのだ。――という点も含めて、『13・67』は大変に感動的な1冊である。 ※この電子書籍は2017年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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白い犬の後を追いかけてきたタロコ族の少年と、自分を売ろうとする父親から逃げてきた少女。山の深い洞穴で二人は出会い、心を交わす。 少年が少女の村に、少女が少年の村へ入れ替わり出ていくのを、巨人は見つめていた。 山は巨人の体であった。人々に忘れ去られた最後の巨人ダナマイ。彼の言葉を解すのは、傷を負った動物たち。 時を経て再会する二人を軸に、様々な過去を背負う人々を抱えて物語は動き出す。 舞台は原住民と漢人、祖霊と神が宿る台湾東部の海豊村。 山を切り崩すセメント工場の計画が持ち上がり、村の未来を前にして、誇りを守ろうとする人々と、利益を享受しようとする人々が対立する。 巨人がなおも見つめ続ける中、かつてない規模の台風が村を襲い、巨人と人間の運命が再び交差する――。 物語を動かすのはつねに、大いなるものに耳を傾ける、小さき者たち。 ★2023年台湾書店大賞小説賞受賞 ★「博客来」ブックス・オブ・ザ・イヤー入選
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父子二代の記憶へ漕ぎ出す 鮮烈な長篇デビュー作 台湾を代表する作家であり、世界的に注目を集める作家・呉明益の長篇デビュー作の待望の邦訳。のちに『自転車泥棒』や『歩道橋の魔術師』にもつながる原初の物語である。 台北で暮らすフリーライターの「ぼく」は、数十年に一度と言われる竹の開花を見るために陽明山に登るが、その日から睡眠のリズムに異常が起きていることに気づく。睡眠の異常に悩む「ぼく」の意識は、やがて太平洋戦争末期に神奈川県の高座海軍工廠に少年工として十三歳で渡り、日本軍の戦闘機製造に従事した父・三郎の人生を追憶していく。戦後の三郎は、海軍工廠で働いた影響から難聴を患いながらも、台北に建設された中華商場で修理工として寡黙に生活を送っていた。中華商場での思い出やそこでの父の姿を振り返りながら「ぼく」は睡眠の異常の原因を探るために日本へ行くことを決意し、沈黙の下に埋もれた三郎の過去を掘り起こしていく。三郎が暮らした海軍工廠の宿舎には、勤労動員された平岡君(三島由紀夫)もいて、三郎たちにギリシア神話や自作の物語を話して聞かせるなど兄のように慕われていたが、やがて彼らは玉音放送を聴くことになるのだった――。