あらすじ
警視庁史上、最強にして最凶のキャリア官僚・薬師寺涼子警視がパリに舞い降りた。空港ではさっそく、老人がリスのような生物に脳を吸われ死亡するという怪事件が……。怪物の背後にうごめく世界的企業を相手に、涼子は嬉々として単独捜査に乗り出す! 涼子に忠誠を誓う美少女メイドも登場。傍若無人の怪奇事件簿、第三弾。
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Posted by ブクログ
パリに出張でやってきた薬師寺涼子。空港の迎えにきたJACES社員・北岡。シャルル・ド・ゴール空港で遭遇した人間の脳を吸い取る怪物。被害者を雇っていたアルゴのヨーロッパ総支配人・藤城奈澄との会見。藤城邸に棲む謎の老婆・花園スミレ。オタクのイベントで何者かに誘拐された岸本。捜査の名のもとに藤城邸に乗り込む涼子。オタクイベントで出会ったバロン・ド・オタクの正体。
2009年8月27日購入
Posted by ブクログ
国際的な巨大ハイテク企業の一角で、錬金術をものにした元工学博士が作り出す、伝説上の怪物たち。
怖い。
私は学生の頃、モンティ・パイソンの映画で「人喰いウサギ」を見てからというもの、どんなに愛くるしい小動物と言えど、油断をしたことがない。
やっぱりいるんだ、「人喰いリス」。
初期に比べて涼子の、泉田警部補に対する愛情表現が割とストレートになってきているのだけど、相変わらず彼はそのことに全く気付かない。
けれども、法を無視してまで突っ走る涼子の行動に、「やれやれ」と思いながらもちゃんと付き合うのだ。
尻拭いも含めて。
相変わらず作者の、日本の政財界人や高級官僚に対する嫌悪感がはなはだしくて、偏見が過ぎるよなあと思いながらも、痛快である。
”だいたい日本が世界を支配して、どんないいことがあるっていうの?世界じゅうに何億枚も地域振興券がばらまかれるのかしら”
懐かしい「地域振興券」。
そして、「確かに」としか言いようのない、現在まで続くバラマキ体質。
成長がないというか、ほんと勉強不足だな、最近の政治家。
Posted by ブクログ
パリ・ソルボンヌ大学での講演の為に泉田警部補を引き連れてパリにやってきた薬師寺涼子。空港で怪物による殺人事件に巻き込まれる。日本のエレクトロニクス会社アルゴが事件に関わりがあると睨んだ涼子は別件でパリに来ていた室町由紀子、岸本と越権捜査に猛進する。 なんの権限も無いパリでもお涼はやりたい放題。泉田クンも振り回されながらも、しっかり共犯。「弟子」「臣下」など色んな渾名を付けられて…。
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薬師寺涼子シリーズも三作目。第二作からその楽しみ方が判ったこともあり、今回も純粋に楽しめた。
第三作目で舞台を海外はフランスに移しての傍若無人ぶりを発揮するというのは田中作品の王道だが、このシリーズの特徴は他のシリーズに比べると描写や手法とに残虐性の色が濃いと云う事。
『創竜伝』とかは特に相手を必要以上に傷つけないという配慮で動いているのに対し、お涼や泉田は結構過激に立ち回り、相手を時には必要以上に痛めつける。他のシリーズはそこに至るまで相手の極悪非道ぶりをこれでもかこれでもかと見せ付けられた上の活劇シーンに移るのだが、このシリーズはその区別無く主人公が痛めつけるのも特徴的である。また主人公のお涼が途轍もなく金持ちでしかも警視正という地位で権力も持っているのも他のシリーズにはない特徴で、どうにも行き着く所がお互いの権力の張り合いでしかなくなるのが評価としてはマイナスか。
ストーリー、プロットは比較的単純。特に北岡はストーリーの中での扱い方からしてもあの正体は当然でしょう。
ハリウッドのアクション映画を意識したような展開、幕切れはちょっと無理しているような気もする。
『銀英伝』が余りにもスケールが大きく、叙情性に溢れているので非常に浅薄な印象を受けるのは仕方ないか。これはこれでよしとしよう。
Posted by ブクログ
ジャンルは何ざんしょ?警察小説?うーん、オーホホホ高笑い女刑事小説?いや、女王様警視とそのしもべ小説!?
今回の怪物は、長い舌で人間の脳を吸い出すマヴォーニクと、すべてを食べつくす透明のエスタメヌスだ。いろんな怪物を考えるものだねえ。今回は忠実なるしもべの泉田準一郎警部補が大活躍で、お嬢薬師寺涼子を助ける。惚れ惚れしちゃうね。やれやれ、また読んでしまったが、はい、面白かったです、後には何も残りません。