あらすじ
武家の次男坊・林只次郎は、当代一の美声を誇る鶯ルリオの雛が成長し、美しい声音で歌い始めたことに喜ぶ。その雄の若鳥一羽を馴染みの旦那衆の誰に譲るかを、居酒屋「ぜんや」で美味しい食事を囲みつつ決めることになった。豆腐と筍のうま煮、筍羹、筍ご飯と筍づくしの絶品料理が並ぶなか、旦那衆は鶯への愛情をそれぞれの表現で主張するのだが……。庶民の味方の居酒屋「ぜんや」、女将・お妙が癒しの笑顔でお迎えします。心にも体にもしあわせ沁み渡る、傑作人情小説第七巻。
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Posted by ブクログ
居酒屋ぜんやシリーズ7巻。草間殿の送別を兼ねた雛譲渡会(笑)から始まり升川屋夫婦の喧嘩やおえんね話……で、まさかのタダさん再登場!と盛りだくさんでした。いやぁ、楽しい!7巻目にもなると登場人物にも愛着がわいてとにかく話を読み進めるのが楽しい。
以下軽くネタバレ
「春告げ鳥」前回ラストのほのぼの情景はこの伏線やったんやな!的な、初っ端からルリオの雛が立派に成長していてホッとしたり。久しぶりの柏木殿登場からのお栄ちゃんのコレからが決まり一安心。
旦那衆のやりとりにニヤニヤしちゃう(笑)
「授かり物」恒例の升川屋夫婦の問題をお妙さんが解決する話(笑)と思いきや、まさかのおえんさん妊娠!おめでたや〜っ!!
「半夏生」只次郎の心の動きがなんともリアル。武士を辞めて商人になりたいのに、武士の立場だからこその使い道もあるゆえ揺らいでおるのー。からのお浜再登場!!いい感じで引っ掻き回してくれるやーん!
「遠雷」悪阻でぐったりしていたおえんさん復活!(笑)おえんさんはこうでなくちゃね(笑)お浜ちゃんがラストに爆弾落としてくれてニヤニヤ。
「秋の風」只次郎が近江屋に振り回されてぐったり回(笑)ラスト、お妙さんへ気持ちを伝えようとした瞬間に入ってくる升川屋に思わず爆笑(笑)御隠居もお勝さんもいいツッコミやわー(笑)
Posted by ブクログ
「居酒屋ぜんや」シリーズ、第七弾。
暗い影を落としていた善助の死の謎が解け、再び料理の描写が美味しく感じられるようになった。
犬も食わない夫婦の諍いにもつい、仲裁に入ってしまうお妙だが、かかわり過ぎない塩梅が良い。
つい、女の味方をしてしまいがちだが、聞いてみれば男の方にも言い分がある。
そんな喧嘩も、相手が生きていればこそだが…
窮屈な武家がひたすら嫌で、商人になりたかった只次郎だが、大店の旦那衆が自分のような若造と対等に付き合ってくれるのも、町人たちが一目置いてくれるのも、ただ“武士”という身分あってこそではないのかと気付き始める。
大人になったなあ~と思う。
何だか新しい展開が期待できそうです。
『春告げ鳥』
只次郎が丹精している鶯のルリオの雛たちが美しい声で歌い始め、後継ぎの一羽を残して欲しがっている人に譲ることになるが…倍率高し。
『授かり物』
升川屋と、妻の志乃は子育てをめぐる良くあるアレ(!)で、夫婦仲が上手く行っていないようだ。
息子の千寿(せんじゅ)がご飯を食べないと悩んだ二人はぜんやを訪れるが、ご相伴にあずかってごちそうを食べられるはずなのに、食い意地の張っているおえんが姿を見せない。
『半夏生』
かつて只次郎に熱を上げ、その後別の男と駆け落ち騒動まで起こしたお騒がせ娘・お浜が再びアタック!
『遠雷』
脳の回路が何でも色恋沙汰に結びつくようになっている女たちに引き気味のお妙。
自分はもう恋などしない…?
『秋の風』
三河屋に縁談を持ちかけられ、分家して店を一軒持たせてやると言われて揺れる只次郎。
お妙を思っていても、恋は相手次第。
お妙、只次郎ふたりの気持ちに気づいている年長者たちはそれぞれアドバイスするが…
やっぱり、柳井殿が素敵。