【感想・ネタバレ】銀河英雄伝説列伝1のレビュー

あらすじ

遠未来の宇宙。始祖ゴールデンバウムによる王朝樹立以降、専制君主と門閥貴族が支配する銀河帝国と、その独裁に抵抗する人々が作り上げた民主主義国家・自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)、帝国領でありながら陰で権力を操ろうと画策するフェザーン自治領(ラント)──三つの勢力によって構成された銀河の盤面で繰り広げられる英雄たちの闘争と栄光を描いた宇宙叙事詩は、刊行から現在に至るまで日本SFの金字塔として永らく読者を魅了し続けている。『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家たちが捧げる6編を収録する公式トリビュート集。/【収録作】序文=田中芳樹/「竜神滝(ドラツハ・ヴアツサーフエル)の皇帝陛下」小川一水/「士官学校生の恋」石持浅海/「ティエリー・ボナール最後の戦い」小前亮/「レナーテは語る」太田忠司/「星たちの舞台」高島雄哉/「晴れあがる銀河」藤井太洋/著者のことば

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Posted by ブクログ

ネタバレ

恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。吾々が次の世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の時代から手わたされた平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。まあ、それもいいけどね。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終えるまでに時間はかかったものの、三作くらい読むと後は毎夜日課になって直ぐ読み終えた。
各者の銀英愛が眩しい。
太田忠司の暖かで素直なミステリも素晴らしい。
小川一水はビジュアル面で印象的に切り取って終わる。
小前亮の実に正攻法な艦隊同士の大戦は銀英伝の面白みを再確認させる。
藤井太洋の短編は「これどうなってるのかな…」などと見ていたら実に衝撃的な展開で成程!と。ある意味ニヤリともした。
激推しは高島雄哉の「星たちの舞台」で、ヤンというキャラクターを見たまんまのパロディやコピーにせず、彼ならばこの状況ではこうもあり得るだろう、という絶妙で繊細なキャラクターに仕上げ、若き日のヤンの繊細さに惚れ込んだ。
突発的に出てきたヒロインも実に聡明で奥ゆかしく、なんというかこの二人は恋物語では無いのだがたまらないね!(本音)大好きです!
1とついているのでそろそろ列伝2出して下さい。

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2025年05月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

銀英伝のトリビュート短編集。ラインハルトがルアーフィッシングをするなら、ヤンは2人劇で女装で役者をする。キャゼルヌ婦人の名探偵っぷりは堂に入ってるし、フェザーンと地球教はなるほどなるほど…

田中芳樹のすごいところは、あれだけ売れてあれだけ続編を書きやすそうな「銀英伝」を正伝10巻、外伝5巻できちっとけじめをつけたところだと思う。これは真逆の方向性だが、死ぬ間際までグインサーガを描き続けた栗本薫と同じくらいスゲーことだと、俺は思っている。

だからこそ、銀英伝の2次創作は枚挙にいとまがない。世の中にあふれたくっているのだが…、深い愛とそれを表現できる技術をもった一流の小説家たちが創る二次創作作品は、レベルが違う。

何事につけても、深い愛情と卓越した技術によって生まれ出たものは、それだけで傑出しているということやね。

次回作はあるのだろうか?ポプラン、シェーンコップ、メルカッツ、ムライ…同盟側の愛すべき連中の物語と、愛せないトリューニヒトの銀河の1ページをぜひとも読んでみたいぞ!

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2021年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カテゴリは合ってます(歴史だもんね)
作者に太田忠司先生がいるだけで「買います」だが他の作者さんも銀英伝好きが溢れてるお
作者公認の二次創作を嫌う人は多い、イメージが異なるからだと思うが40年も付き合っている作品ともなると別な一面を見る機会を逃す筈がありません
そもそも歴史はそんな一面だけで理解したつもりになってはいけないのです
太田先生の「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが這い上がる基礎を築いた事件です(ネタバレ)突然オーベルシュタインから遺産が当るとなれば人類なら等しく恐怖を覚えるだろう、そんな状況になったレナーテが情報処理課にいた頃「上司で名探偵」でもあったオーベルシュタインとの思い出話
事件の犯人こそ分かったが名探偵のチェスのような緻密な手腕に感心し、ラストのしゃれた話は気持ち良い
「星たちの舞台」ヤンの女優デビューですww
士官学校戦史研究科廃止阻止署名活動をした行動力を買われ、音楽学校学生寮敗死を阻止すべく立ち上がるヤン・ウェンリー(笑)演劇に使われる謎技術は感心したが、ヤンの性格を高島雄哉先生は見誤っていないか(爆)
目的を達成したか全然読み取れない読者ですまぬ
「晴れあがる銀河」は本編500年以上前で、銀河航路開発に監視&優性保護で我が身が危なく、避難する展開へ(鬼滅の刃の隠し村)を航路上で生み出した蔭にはフェザーン初代自治領主ラープ商会があるという禁断の歴史
「士官学校の恋」ある士官候補生の恋の裏にはとてつもないゴールデンバウム朝銀河帝国の陰謀があった
石持浅海先生、噂にたがわぬ力量の推理小説です
ミスマープルを彷彿させる作中の人物、恋バナを延々読まされたと思いきや!ヤンの先輩キャゼルヌが付き合いだしたオルタンス(本編ではただの良き妻)が紐解く
スパイってこういう陰謀をするものではないのですが、アガサクリスティ作品としてなら満点です

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2020年12月09日

ネタバレ 購入済み

士官学校生の恋は
ヤンが士官学校時代。同級生の恋バナをキャゼルヌ少佐にしたことから不穏な話に…キャゼルヌ夫人がまだキャゼルヌ少佐と交際中、名探偵さながらに謎を解く話。

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2022年06月26日

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ネタバレ

銀英伝公式同人誌な短編集6編。どの作家さんも普通に外伝を読んでいる気持ちになって懐かしく嬉しい。同盟派なのでヤンの士官学校時代の仲間とのやり取りには終始にやにやしてしまう。著作既読は小川さん石持さん太田さんの3人だったけど皆それぞれの持ち味も上手く混ざっていて流石だと感心した。特に石持さん「士官学校生の恋」におけるキャゼルヌ夫人の名探偵っぷりが正に石持さんでまたこんな過去があるから皆頭上がらないのねー、と本編に繋がりそうな違和感の無さが凄い。藤井さんの「晴れ上がる銀河」ゴールデンバウム王朝初期時代といった一見枠外に思わせて実は礎だったのがとても良かった。締めも効いてる。第二弾あるかな。

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2021年05月09日

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ネタバレ

銀河の歴史がまた一ページ。

公式アンソロジーというものが好きなので、有無を言わずに入手。オーベルシュタインの安楽椅子探偵などと聞いたら読むしかなかった。しかしそれ以上に女装して演劇するヤンにびっくり。しかもミス・マープルもびっくりな安楽椅子探偵がもう一人いらしたという。1となっていますが、ぜひ続けてほしい企画。

「竜神滝の皇帝陛下」ギャグですか。ヒルダとエミールに対して一生懸命になったとき、途端に面白い超天然陛下になるラインハルト様の魅力がたっぷり。思わず吹き出してしまうくらい。

「士官学校生の恋」名探偵オルタンス・ミルベール。未来のキャゼルヌ夫人が華麗に推理を披露する物語。相変わらずヤンに"利用されてる"キャゼルヌ先輩が拝めます。キャゼルヌ先輩推しの方にとてもオススメ。

「ティエリー・ボナール最後の戦い」この人もなんだか伊達と酔狂で生きているような。こういう二次創作アンソロジーには珍しい感じの艦隊戦。

「レナーテは語る」名探偵オーベルシュタイン。ハードボイルドです。多分。レナーテさんがこういうタイプの探偵に組み合わせられるワトソン役として定番のキャラクター。揺らがないオーベルシュタインのキャラクターには安心感があります。みんな大好きオーベルシュタインの犬も登場。

「星たちの舞台」ヤン・ウェンリー、士官学校生時代の人助け。アッテンボローやキャゼルヌ先輩も活躍。ラップとジェシカももちろん登場。しかしこの話はヒュパティアを好きになれるかどうかが肝。フレデリカに思い入れがあるとちょっとショックかも。

「晴れあがる銀河」ラストであっ!となる銀河帝国過去の話。ルドルフ大帝に対するスタンスと、相手を認める大切さ。

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2020年12月27日

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