あらすじ
満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員は、
極上のメニューと占星術で迷える人の心に寄りそう。
結婚と仕事の間で揺れる聡美、父の死後、明るい良い子を演じてきた小雪、横暴な父のため家族がバラバラになった純子。
彼女たちが自分の本当の願いに気が付いたとき――。
美しいイラストに着想を得た心温まる書き下ろし小説。
人気沸騰のシリーズ第2弾。
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満月珈琲店の星詠み シリーズの2作目
今回も心温まる猫のマスターが迷える人々を飛び切りのメニューでおもてなししていく
心温まるお話でありながら、今回は私の心も抉ってくる。
マスターは言う
ーー自分を楽しく知る方法、それは自分の『本当の願い』を知ることです。
『本当の願い』なら、星は叶えてくれるという。でも上辺だけの願いなら叶わないとも。
星は道を照らしてくれるけど、行く先を決めるのはあくまで自分だとも
普段は見えない自分の深いところにある心の声と静かに向き合う自分探しの旅
その果てに見つけた本当の願いとは…
諦めることは認めることでもある。
確かに諦めてしまうことで、それは自分にはできないことだと認めることになるのだろう
クリスマスの時期に相応しいものがたり。
私の『本当の願いごと』は…
今抱えている対人関係の悩みにも
この答えが必要なのかもしれない
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ネタバレごめんで書かせてもらいます。
今回は恩返し系
簡単に略すとある人物を星占いをベースに運を向上させるアドバイスを行うことで幸せになってもらおうという感じです。
個人的にはけっこう感動しました。
ちょっと先が読めてしまいますがこういう感じ、好きです。
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今回も素敵だった〜!
月星座は太陽星座よりも力を全面に出せないから太陽星座の人を羨んだり嫉妬したりする
とか
なんか知ってたら自分がそういう感情を持った時にそのせいなんだって納得できそうな感じがして良かった。
信じるとか信じないとかは置いといて知識があるだけで余分に落ち込まなくてよくなるからこういうお話は好き。
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満月珈琲店の二作目。おもしろかったー!!私自身も「本当の願いごと」からズレて願っていることもあるんじゃないかと、省みるきっかけになりそうです。
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シリーズ2巻目⟡.·
今回もはじめに美味しそうなドリンクやスイーツのイラストが!!中でも月光のレモネード、射手座のりんご飴、線香花火のアイスティーが気になる( ˶'ᵕ'˶)⸝♡
今回はクリスマスシーズンらしくいつもは満月や新月のみ開いてるお店もイブだけは特別開店してるそう。
──自分を楽しく知る方法、それは自分の『本当の願い』を知ることです。
今回もまた悩める人々が出てきて、満月珈琲店に訪れ(招かれてる?)自分の本当の願いに気付き変わっていく。
「お金」は「経験と引き換えができるチケット」
ふむふむ( ˙꒳˙ )確かにそうなのかも。
小雪さんとお父さんの話は思わずうるうるしてしまったし、新しいお父さんもとっても良い人だったんだなぁ( ᵕ ᵕ̩̩ )
新月は『願いを叶える力』を持つとのこと。
我が子も新月に産まれたのだけど確かに叶っているのかも?
今回は今回で違うお話かと思いきや前作の芹川先生の話もチラっと出てきており、今は子供番組の脚本を手掛け話題になってるそう。あれから順調に書くことが出来ているんだなと感じ嬉しくなる( ´˘` )
純子さんの弟って次郎ー!?ってなり結婚ってことは明里さんと!ってなんだか嬉しくなった(*^^*)繋がっている!
最後は家族の関係が良くなって気付いたら泣いていた(;_:)
私も自分の本当の願いについて考えてみたいなと思った♩¨̮
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「本当の願いごと」と聞くと、「宝くじに当たりたい」「幸せになりたい」など具体的ではなく、少し的外れな答えを言ってしまうかもしれない。それは私も同じ。ただ、この作品はもっとシンプルかつ的確に「本当の願いごと」を見つけることをストーリーを通して教えてくれたと思う。
自分は登場人物ではないのに、どうも入れ込んでしまって感銘を受けてしまった。前作と通ずる部分があるので、前作を読んだ私にとってはより愛着が湧いて読めた。
自分自身の「本当の願いごと」を、自分の心に嘘をつかずに探してみたいと思った作品でした。
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満月と新月の夜に現れる『満月珈琲店』
ただ今はクリスマスシーズン。いつもと少し異なる場所で素敵なエピソードをご堪能あれ。
望月麻衣さん著『満月珈琲店』シリーズ2作目は、ある家族を中心にそれぞれの視点で抱える悩み事が描かれ、そこから「本当の願いごと」に気付くまでを綴った優しい物語でした。
前作を未読の方でも楽しめる連作短編集ですが、あの人だ!という繋がりもチラホラあり、『満月珈琲店』の世界観に浸りたい方はシリーズ順に読むことをオススメします(^o^)
今作も、ほっこりした気持ちにさせてくれるエピソードが多く、相変わらず美味しそうなスイーツやドリンクの数々は、もはや飯テロです(^_^;)
次回作も心に癒しを求める頃合いに読もうかなと思います!みなさんも善き出会いを楽しんで下さい。
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2巻です。イラストもお話もほんとうにすてき。
1より好きかも、と思ったらあとがきで完全に望月先生に見透かされていました。それです。
そうなったか〜!!と登場人物の繋がりに嬉しくなりました。
続刊も読みます!
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満月珈琲店の三毛猫のマスターと星違いの店員は極上のメニューと占星術で迷える人の心に寄り添う。前作の続編。前作としっかり話が繋がっていて読んだ後全てが腑に落ちた感じがした。
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本当の願いってなんなのだろう。
理論的に紐解いていったらわかるのかな。やってみたい。
そして自分の月星座を調べてみようと思った。
前回より少しわかりやすいお話になってて、あゆちゃんの優しい感じはそこから!と納得した。
お父さんのモラハラを不器用と評して片付けるのは
少し納得できなかったけれど、
丸く治るなら良いのだろう。
小雪の話は泣いてしまった
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満月珈琲店の星詠み2冊目。愛娘の愛由ちゃんがまさか主人公の親や犬との繋がりを回復させるために生まれ変わりだったという話にはほっこりしながらも、愛らし過ぎる愛由ちゃんが天真爛漫でいいキャラでした。また一巻との繋がる話もあり今回もとても面白く星詠みも為になりました。
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根底の境遇は全く違うけど、家族の大切さを改めて感謝したくなりました。
作者ご自身も後書きで言ってましたが、前作も面白いけど、どこか説明が多く、私にとっては短めの本でありながらもテンポ感掴みづらかった印象でしたが、今作は星詠みとして取り上げるテーマも絞られており、その分、登場人物の絡みがしっかり描かれていて非常に読みやすいかったです。
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今回はどのお話もちょっとウルっとくるお話。
ここ最近、職場が殺伐とした雰囲気だったので余計に心に沁みたのかもしれません。
こころ暖まる話です。
ほんとうの願い。
それに気づけている人は実際どれくらいいるのでしょうか。
わたしめ気づけていないように思う。
ちょっと考えさせられる話でもありました。
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西洋占星術に興味がますます湧いて、ネットでネイタルチャート調べてみたけど、難しくてよくわからなかった。
満月珈琲店のフードやドリンクはすごく魅力的で、本当にこんな珈琲店があればいいのになぁ。
本当の願い事ってほんとはわかってないのかもな。
私の本当の願い事ってなんだろう?
満たされてるようで、何か足りないような。
欲しいものはいっぱいあるけど、何が一番本当に欲しいのだろう?
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今回は前作より泣かせてくれました。愛由ちゃん、犬のりんちゃんの話は特に泣けてきます。今回も占星術に導かれる人々を羨ましく読みました。とても癒される連作短編でした。
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今回も面白かった&美味しそう。今回は筑波と東京と鎌倉が舞台。なんとなく京都とか関西圏の話だと思っていた(作者のイメージかな)。家族とのすれ違い、再生の話。前作の次郎さんと明里さんが出てきたり芹川先生の作品がヒットしてたのも嬉しかった。「人間に愛されて望めば人間に生まれ変わることもできる。あなたを助けたくて」て素敵な話。
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『あなたは、ご自分の「本当の願いごと」を知ってますか?』
初詣でお賽銭を入れて何か『願いごと』をする、そんな瞬間から始まる新たな一年。私たちはそこに大した疑問を挟むことはないでしょう。もちろん、そんな『願いごと』は人それぞれ多岐に渡ります。『宝くじが当たりますように』、もちろんこれも一つの願いごとではあります。そんな『願いごと』をする人を誰も責めることなどできはしません。
しかし、それは『本当の願いごと』なのでしょうか?『宝くじ』に当たったらお金がもらえます。そうすれば『なんでもできる』これは間違いないことなのかもしれません。しかし、大切なのは、そこで『何をしたい』かなのではないでしょうか?
さてここに、三人の女性たちがそれぞれに思い悩む姿を描く物語があります。誰にでも思い当たるような悩みに共感しやすいこの作品。そんな主人公たちの前に『満月珈琲店』の『三毛猫のマスター』が顔を覗かせるこの作品。そしてそれは、『本当の願いごと』が指すものを自らの人生に問いかける主人公たちの物語です。
『…参ったなあ』、『がやがやと騒がしいオフィスの片隅で』『スマホを片手に息を吐き出した』のは主人公の市原聡美。『市原さん、どうかしました?何かまた厄介な案件ですか?』と『今年度手伝いに入ってくれた若い派遣社員』の鈴宮小雪が『心配そうに訊ねて』くれます。そんな小雪に『ありがとう。でも、仕事じゃなくてプライベートのことで』と答える聡美に『もうすぐクリスマスですし、お誘いをたくさん受けて困っているとか?』と訊く鈴宮。『そんなわけないじゃない。とはいえ、クリスマスの誘い自体は合ってるけどね、相手は彼氏なの』と話す聡美は『今年のクリスマスイブ。どうしても聡美と一緒に過ごしたいから、なんとか、都合をつけてほしい』と言われていることを説明します。『イベントを担当している私にとってクリスマスイブは、彼氏と過ごす日ではなく、仕事をがんばる日』と思う聡美は、『もうすぐ交際七年目になる』自分たちのことを思い、『これは、プロポーズされるに決まっている』と感じています。『私はまだまだ結婚したくないのよ。今の生活が快適すぎて』と思う聡美は、筑波の『大学で講師をしてる』彼のことを思います。『彼は大学を辞めるわけがない。となると、結婚するならば、私がつくばから都内に通うことになる』と展開を想像する聡美。『つくば市にも支店がある』ことから転属も可能だろう、『けれど、私は懸命にがんばって、今のこの生活を手に入れた』、『「都会でバリバリ働く女性」というのに、憧れ続けた』、それを『手放したくなんかない』と思う聡美は、『結婚か仕事か、岐路に立たされているのかもしれない』と思います。
そんな時、スマホが振動し、『確認すると「市原純子」という名が表示されて』います。それは『義姉 ー 兄の奥さんから』でした。『義姉と、本当の姉妹のように仲が良い』という聡美は『何かあったのだろうか?』と『スマホを手に席を立って、通路に出』ます。『どうしたの?お義姉ちゃん』と訊く聡美に、純子は『イーアス(つくば市にある大型ショッピングモール)に行った』際に『宝飾品コーナーで、諒ちゃんが指輪を熱心に見ていたのよ。思わず声を掛けたら、サトちゃんへのクリスマスプレゼントだなんて言うから』と言われたことを説明します。『本当は伝えるべきじゃないんだろうけど、サトちゃんは常に「まだまだ、結婚したくない」って言ってるから、これは事前に伝えておこうと思って』と続ける純子に言葉が詰まる聡美。『諒ちゃんとは、私の彼の名前』、『義姉は結婚に対する彼と私の温度差を懸念して伝えてくれた』と全てお見通しの義姉に脱帽する聡美は、お礼を言います。すると、『あとね、サトちゃん』と切り出した義姉は、娘の愛由が『いつでも東京の街を案内してあげるから泊まりにおいで』とサトちゃんに言われたことをずっと楽しみにしていて…と『言いにくそうに伝え』ます。それに『あらら』と肩をすくめた聡美は『今度の土日はどうかな?丁度休めるから』と話します。『ありがとう。それじゃあ、東京まで連れて行くわ』と喜ぶ純子。『そうして、約束の土曜日。約束している秋葉原駅の改札口で待っていると、義姉と姪の愛由が現れ』ました。そして、愛由に東京を案内する聡美は、『日も暮れてきた』中に訪れた恵比寿駅の広場で『「満月珈琲店」という看板』を掲げた『トレーラーカフェ』の存在に気づきます。『白いシャツにネクタイをしていて、エプロンを付けている』『大きな三毛猫』に招かれる聡美は…という〈第一章 蟹座のチーズフォンデュと射手座のりんご飴〉。美味しそうな料理の数々と不思議な雰囲気感の中に一気に『満月珈琲店』の物語世界に引きこまれる好編でした。
“満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員は、極上のメニューと占星術で迷える人の心に寄りそう。結婚と仕事の間で揺れる聡美、父の死後、明るい良い子を演じてきた小雪、横暴な父のため家族がバラバラになった純子。彼女たちが自分の本当の願いに気が付いたとき ー。 美しいイラストに着想を得た心温まる書き下ろし小説。人気沸騰のシリーズ第2弾”と内容紹介にうたわれるこの作品。シリーズ累計55万部を突破した望月麻衣さんの紛れもない代表作である”満月珈琲店”シリーズ。この作品はそんなシリーズの第2作目となります。そんなこのシリーズの特徴は、繊細で優しいタッチが特徴の桜田千尋さんのイラストと『占星術』、そして『満月珈琲店』で提供される料理の数々だと思います。まずはこの三つを見てみましょう。一つ目の桜田千尋さんのイラストは、これは文章で説明するより実物を見ていただく他ないと思いますが、〈あとがき〉で、望月さんはこんなことを書かれていらっしゃいます。
“続編の構想などほとんどないなか、二作目のお話をいただきました。もちろん、喜んでお受けしながらも、何も浮かんでないのにどうしよう、と焦ってました。…悶々としている時にイラストレーターの桜田千尋先生が、SNSに満月珈琲店の新作イラストを公開したんです。それが、「線香花火のアイスティー」という作品でした。…その素晴らしいイラストを見て、頭の中に映像が浮かんだのです”。
本文と完全に一体化したような素晴らしいイラストの数々はこのシリーズの何よりもの魅力です。しかし、それはてっきり後付けだと思っていましたが、望月さんが書かれているようにこの第2作は、桜田千尋さんのイラストが起点を作ったということになります。このシリーズになくてはならない桜田千尋さんのイラスト。作者の望月さんの心を動かすその力に改めて絵が持つ力というものを感じました。物語とイラストが完全に一体化したこのシリーズの魅力の根源を垣間見る思いです。
次に『占星術』です。そもそもこの作品の書名が「満月珈琲店の星詠み」である以上、この作品は『占星術』とは切ってもきれない関係性にあります。しかし、私のように『占星術』?何?という人間にはハードルが少し高いのも事実です。この点は望月さんも意識されていらっしゃるようで『ホロスコープ』の読み方を本編から離れた形で解説する作りを入れられていらっしゃいます。
・『西暦二〇〇〇年頃までの約二千年間は、「魚座の時代」でした。そして今は「水瓶座の時代」になったわけですが…』
・『土星と木星は、社会に影響を与える力がとても強い星です』。
・『太陽星座はその人の表の顔でしょう?…だから、月星座と言うのはコンプレックスにもなりやすいわ…』
主に〈Introduction〉と〈Interlude〉で繰り広げられていく『占星術』のお話はこの作品の雰囲気感を間違いなく左右していきます。まあ、それでも、私には若干、難しい…と感じる部分はあるのですが、『占星術』が好きな方には作品にのめり込む一助になることは間違いなしだと思います。
そして、三つ目は摩訶不思議と言っても良い料理の数々です。この作品には冒頭に『月光のレモネード』、『射手座のりんご飴』…『ブラックホールのチョコ仕立て』まで八つの料理のイラストがカラーで掲載されています。もうこれだけで心が持って行かれるくらいに魅力的です。望月さんがこのイラストにインスピレーションを受けられた感覚がわかるような気もしますが、これらは作品の中で登場人物たちが実際に目にし、食することになる『満月珈琲店』で提供される料理の数々なのです。では、その中から一つご紹介しましょう。
● 『射手座のりんご飴』とはどんなもの?
・星屑の砂糖をたっぷりかけたもの。射手座の矢で射抜いたりんごを『りんご飴』にしました。
・その名の通り、『りんご飴』のてっぺんに矢が刺さっていた
・飴でコーティングされたりんごは艶やかに光っている。上部にはまるで金粉のような粉砂糖がまぶされていた
・矢は実はナイフで、そのまま切って食べることができるようだ。てっぺんは、くり抜かれていて芯はなく、そこに温かい蜂蜜が入っている
『りんご飴』を知らない方はいらっしゃらないと思いますが、『射手座のりんご飴』はかっ飛んでいます。こんなものが目の前に供されたら目が点になりそうですが、桜田さんのイラストがこの望月さんの記されるイメージそのまんまにそれを読者に見せてくださいます。しかし、これが食べ物である以上、食レポがないと読者の不満が募ります。
・切ってみると、りんごの実が二層になっているのが分かる。皮に近い方は冷たくシャキッとしていて、内側の実は、コンポートになっている。そのどちらも、外側のパリッとした飴と粉砂糖との相性がとても合っていた。
・中央に入っている温かい蜂蜜がとろりと溢れて、りんごの実とからみあうと、まさに口の中がとろけるほどであり、私は思わず拳を握り締めた。
いかがでしょうか。見事な食レポだと思います。まるでリアルに実在するかのように語られる『射手座のりんご飴』。思わずそれください!と言いたくもなってしまいますね。そうです。この作品は”食”についてもとても魅力的な作品なのです。一見、『占星術』の印象が強いために、そういうの興味ないです!とこの作品を避けられる方がいたとしたらとてももったいないです。それ以外にもこんな魅力に溢れた作品であることは是非お伝えしておきたいと思いました。
さて、そんなこの第2作ですが、私が最大の魅力だと感じたのは三つの短編それぞれの物語の内容そのものです。この作品は少し複雑な構成をとっています。目次を見ておきましょう。簡単に説明を入れます。
〈Introduction〉
※ 『満月珈琲店』の『勉強会』の様子が描かれる。『三毛猫のマスターの許に』集まった仲間たち。
※ ホロスコープを元に『占星術』学べます。
・〈プロローグ〉
※ 『つくば市の科学万博記念公園』で開かれた『年忘れ収穫祭』にやってきた市原純子と娘の愛由(あゆ)が『満月珈琲店』に…。
・〈第一章 蟹座のチーズフォンデュと射手座のりんご飴〉
※ 『広告代理店に勤め、イベントを担当している』市原聡美が主人公。『結婚か仕事か、岐路に立たされているのかもしれない』という今を思う聡美は姪の愛由を東京散策に連れていきます…。
・〈第二章 新月のモンブランと奇跡の夜〉
※ 『広告代理店』で『リーダー・市原聡美』の下で『派遣社員』として働く鈴宮小雪が主人公。父の死後、『「良い子」であろうと努力し続け』てきた今が描かれます。
〈Interlude〉
※ 『満月珈琲店のスタッフたちの宴会場』が描かれます。
・〈第三章 前世の縁と線香花火のアイスティー〉
※ 『昭和気質の古い価値観を持つ男』と自らの父親のことを思う市原純子が主人公。愛由が飼いたいという犬を見て、かつて飼育していた飼い犬のリンのことを思いだします。
・〈エピローグ〉
※ 『満月珈琲のスタッフたちの宴会』が続いている様が描かれます。
作品はこのような構成をとっています。上記した通り、『占星術』についての説明を『満月珈琲店のスタッフたち』の集まりの中で描く一方で、〈第一章〉、〈第二章〉、そして〈第三章〉の本編三つと〈プロローグ〉がこの作品の本筋部分となって連作短編を構成しています。それぞれの短編で主人公となる人物は市原聡美を中心に同僚として働く鈴宮小雪と、義姉の市原純子というように小気味よく繋がっていきます。そして、そんな三人はそれぞれに悩みを抱く中に今を生きていることが分かります。『結婚か仕事か』という岐路に立つ聡美、父の死後、『「良い子」であろうと努力し続け』てきた鈴宮、そして父親にわだかまりを持つ純子という三人の女性たち。そんな彼女たちの前に『満月珈琲店』が現れます。
『「満月珈琲店」には、決まった場所はございません。時に馴染みの商店街の中、終着点の駅、静かな河原と場所を変えて、気まぐれに現われます。そして、当店は、お客様にご注文をうかがうことはございません。私どもが、あなた様のためにとっておきのスイーツやフード、ドリンクを提供いたします』。
そんな前口上と共に『三毛猫のマスター』が迎えてくれる『満月珈琲店』。主人公たちは、そこでそれぞれの人物にあった料理を提供し、そこに主人公たちはそれぞれに胸の奥に秘めてきた『本当の願いごと』に気づき、”起点・きっかけ”を得ていきます。しかし、それは、あくまで”起点・きっかけ”でしかありません。
『星は道を照らしてくれますが、行く先を決めるのはあくまで自分なんです』。
そう、大切なのはどこまでいっても私たち自分自身です。”起点・きっかけ”の先に自らの道を切り拓いていくのはどこまでいっても自分自身なのです。この第2作で描かれていく主人公たちの悩みは決して突飛なものではありません。このレビューを読んでくださっている方の中にも似たような立場、境遇にあって立ち止まったまま動けなくなっている方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたに、この作品はその先に進むためのヒントを与えてくれます。主人公たちの気持ちに寄り添う一方で読者にも寄り添ってくれる『満月珈琲店』の物語。そこには、読者に優しく語りかける物語の姿がありました。
『いらっしゃいませ。お待ちしておりました』
そんな風に『三毛猫のマスター』が優しく迎えてくれる『満月珈琲店』が登場するこの作品。そこには、”極上のメニューと占星術で、迷える人の心に寄りそう”物語が描かれていました。『占星術』に興味を持つきっかけをくれるこの作品。それ以上に美味しそうなメニューの数々に食欲が喚起されもするこの作品。
シリーズ累計55万部の安定感を見せてくれる物語の中に、あたたかい涙が流れる時間をくれた素晴らしい作品でした。
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仕事か結婚か、どちらかを選ばなくてはと思い悩む広告代理勤務の聡美。母親の再婚を受け入れられず、自分を責めていた派遣社員の小雪。実の父親と疎遠になってしまった専業主婦の純子。それぞれ過去に思うところがあり、その思い出は本人が気付かぬうちに歪になってしまっている。そんな彼女たちが『満月珈琲店』を訪れることで、自分の本当の願いに気づくことができる。自分のことを分かっているようでいて、実は漠然としていたり、突き詰めると本質は少し違っていたり、意外と本当の願いを見失いがちだと気付かされる。自分の心の本音と向き合い、整理することで本当に望むことが見えてくる。その結果『叶う力』によって願いが現実となるのだ。
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「満月珈琲店の星詠み」の2冊目。最初の巻を年初に読んで『ボチボチと読んでいくとする』と書いたが、ようやく続きを手に取る。
前作は京都が舞台だったが、今回はつくば市に住む人たちのお話。どこになっても満月珈琲店は開いているのだな。
本作の登場人物は、結婚と仕事の間で揺れるOL、いつも明るい良い子を演じてきた派遣社員、気難しく古い価値観を持つ父に反発し続けてきた主婦といった面々。彼女たちが自分の“本当の願いごと”に気が付いたとき…といったお話。今回も緩~くほっこり。
本の中では宝くじを例に挙げられているが、本当に自分が願っていることを改めて問われたとして、的を射た答を出せるかは確かにちょっと考える。
作者さんは、自分が願っていたことは本当の願いごとから少しズレていたことに気がついて、とりあえず、自分の願いを整理しようと思ったとのことだが、『開運の第一歩は、「自分の本当の願いごと」を見付けることです』とは言い得て妙。
最後に出て来た「流星エンジェル」のプロデューサーさんは、前作に登場したディレクターだった方かな。こうやって、シリーズ、薄くつながっていくわけね。
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「満月珈琲店の星詠み」第2弾
今回は「満月珈琲店」の三毛猫マスターだけでなく 様々なそのお仲間(星の遣い)たちが登場する
2020年 世界中で生活を一変する出来事があったのだけれども
そこは星の動きを話すにとどまって 彼らの世界はゆったりと営まれていく
登場人物たちが直面する問題に 星詠みは問う
~自分の「本当の願い」はなに?~
・相手の気持ちを人一倍敏感に察することができる 幼い娘愛由(あゆ)とその母
犬猫の譲渡会で出会った犬を飼いたいという娘 しかし母には苦い思い出が
そして 愛由と叔母の聡美は東京デートを楽しむことになる
ちょっとずつつながった人たちが織り成す 生きているからこその葛藤や迷い
自分では気づかないうちに 心が迷子になっているタイミングで
そっと満月珈琲店が「あなただけのメニュー」をだしてくれる。
占星術に絡めた内容なので 女の子は大好きなジャンルだろう。
そして 魅惑な星詠みたちも幻想的で
読んでいるだけでカフェの片隅に腰掛けている気分になる
今回の桜田千尋さんのメニューイラストもうっとり
新年度の慌ただしい時期にぴったりな落ち着ける本ですよ
Posted by ブクログ
文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他
全体の雰囲気は好きなのですが、私の好きな要素がてんこ盛りすぎてお腹がいっぱいになってしまい・・・途中で挫折。(「読み終わった」で登録)
Posted by ブクログ
シリーズを読むのは3作品めだが、相変わらず西洋占星術の部分は頭に入ってこない。
今回は自分の中にある自分でも気がついていない、本当の願いごとを知るというのがテーマになっている。
第三章の『前世の縁と線香花火のアイスティー』はとても泣けた。
横暴パワハラな父親のせいでバラバラになってしまった家族だが、純子の幼い娘、愛由が一瞬にして解けた糸を結んでいく、まるで昔飼っていた愛犬リンのように。
自分の中の本当の願いごとって何だろう。
やっぱり家族の健康と幸せなのかなと思うけど、違うのかな。
全部のシリーズを読み切るまでに、西洋占星術を少しでも理解できたらいいなと思う。