【感想・ネタバレ】注文の多い料理小説集のレビュー

あらすじ

小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ
とびきり美味しいアンソロジー。

うまいものは、本気で作ってあるものだよ――
最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス……
おやつに金平糖はいかがですか?
物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。

「エルゴと不倫鮨」柚木麻子
「夏も近づく」伊吹有喜
「好好軒の犬」井上荒野
「色にいでにけり」坂井希久子
「味のわからない男」中村航
「福神漬」深緑野分
「どっしりふわふわ」柴田よしき

【本書登場の逸品たち】
塩むすびと冷たい緑茶
ハルピンのイチゴ水
全粒粉のカンパーニュに具を挟んだサンドイッチ
きときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁
生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー
食堂のカレーライスと福神漬
星屑のような白い金平糖

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 タイトルで買ってしまった。
 北信の湯田中の古本屋併設のフレンチのお店「やまブイブイ」。読書好きの女将さんの、おそらく読んだ本だろう。
 折しも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』という短編集を読んだところだったので、目について、思わず手に取ってしまった。きれいな古本。200円はお買い得♪

 さて、誰から、どの作品から読むか?
 折しも、短編集を編むなら、作品の掲載順はどうあるべきかを読み友たちと語る機会があったので、果たして順番は大切か、それとも……、という思いを確かめる意味でも、この短編集は、今、読むべきだとも思ったのだった。

 結果、最初に読んだのは柚木麻子から。「エルゴと不倫鮨」
 なんといっても『BUTTER』の著者、今、油の、いや、脂はこっちの字か? の乗った作者だ。そのヒット作の影響を色濃く残したような、カジマナを彷彿させる豪快な女性が食の蘊蓄を語り、男どもを翻弄していく。痛快な短篇。 

 次は、井上荒野。「好好軒の犬」
 あまり好きな作家ではないが、ネームバリューはこの中ではある。
 作品は、冷めた夫婦間の、なんともいえない機微が描かれていて面白味があった。が、これって、タイトルの「注文の多い……」ではない。「食」の話は出てくるが。

 伊吹有喜の「夏も近づく」は、好きなテイストだ。
 田舎暮らしの食と生活が丁寧に描かれている。が、これも「注文の多い~」というわけではない。
 柴田よしきの「どっしりふわふわ」も悪くはなかったが、パンづくりは、どことなくしあわせと直結しがちな雰囲気が、安易といえば安易だったかな。

 いずれにせよ、この短篇集タイトル勝ち。
「料理小説集」や「食のアンソロジー」とか、他のタイトルを付けてあったのでは、手に取らなかったろう。 宮沢賢治におんぶにだっこ? 賢治にエルゴ抱っこ紐、って感じの短編集だった(笑)

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2026年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

料理をテーマにしたアンソロジー。
柚木麻子さん『エルゴと不倫鮨』…安定した著者の「反権力(=男性)」「女たちの結束」鉄板ネタ。安定した漫才を見ているよう。
伊吹有喜さん『夏も近づく』…一番飯が美味そうだった。柚木さんの後に「義姉から性的虐待を受ける少年」が登場するので、並びとして良い。
井上荒野さん『好好軒の犬』…文学的。悪い犬じゃないんだよ、かわいそうな犬なんだよ が無意識的な嫌味、斜めな見方。おもしろかった。
坂井希久子さん『色にいでにけり』…金平糖の着色や和菓子の着色。江戸時代の話。粋。
中村航さん『味のわからない男』…こういう芸能人、いそう。リアル。
深緑野分さん『福神漬』…表現がうまい。そして後の作品『どっしりふわふわ』にもなんとなくつながっていくのだが、主人公の「私」が男なのか女なのか判然としないまま終わる。それもうまいな、と。
柴田よしきさん『どっしりふわふわ』…前半部分、悩める50手前の女主人公に、感情移入。パンの描写もうまい。だがオチはいまいち、だと思う。同性愛者である必然性が、まったく無い。単純に同性愛者を「オチのネタ」として使うのは、驚きを起こすには技術としてアリ、だが、テクニカルすぎて興ざめ。

☆気になった表現
私が小説なんて書くようになったら、妻である部分は少なからず損なわれるはずだ。

時に飢えるほどの貧乏暮らしだったという少年時代を持つ光一郎は、今は自分が稼いだお金でたべたいものを食べられる、という現実と時々うまく折り合えなくなる。

『好好軒の犬』井上荒野


見事だった本棚はがらんどうとなり、お腹を空かせて恨めしそうに私を見た。

『福神漬』深緑野分

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2025年04月18日

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