あらすじ
ついに語られる、『焔』壊滅の真相――。十二年前、伝説のスパイ『紅炉』のフェロニカと『炬光』のギード、二人の未来は世界の運命によって引き裂かれた。そして、明らかになった真実を前に『灯』は選択を迫られる。
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落ちこぼれ少女達が死亡率九割超の『不可能任務』に挑むスパイファンタジー!
「戦争はコスパが悪い」として、スパイ達による情報戦が繰り広げられる世界のとある国で発足したチーム『灯』。
そこに集められたのは各地の養成学校の落ちこぼれ少女達で、ボス兼教官の青年・クラウスは凄腕のスパイだが口下手&超絶教え下手なポンコツだった!
本作は、そんな彼女達が超難度の任務に挑み絶体絶命のピンチに陥りつつも、なんやかんやそれを乗り越えていくお話となっております。
(最終的にクラウスさんがごり押しでなんとかしちゃったり?)
スパイものならではのトリックも随所に散りばめられており、アクション要素もあり。
尖った能力とどこかしらに難がある個性的な面々の会話によるコミカル要素も。
このような題材のものとして、読みやすく非常にライトに楽しめる1作です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
戦争を起こさないために、大量破壊兵器(核兵器?)を使っての大虐殺が、暁闇計画の全貌。ギードが焔を裏切ったのにも納得。
元は駒として使うつもりだった焔のメンバーを、本当愛してしまったが故のフェロニカの葛藤が何とも言い難い。
そしてクラウスと灯との訣別。ライラット王国の革命で、ピンチを救ってくれたのに、そこからまさかの急展開。
今後の展開が予想できない。
Posted by ブクログ
短編集のクラウス目線の焔の裏側。最強のチームが壊滅に至った理由と計画の全容。
ファイナルシーズンに向けて、各人の思いが入り組んでいく。とても面白い内容でした。
これまでの謎や、物語の根幹に関わる話が次々と明かされていく重要な巻。もう一回最初から見返したい。
そして同時に色々な思惑が動き出し、かなり混沌を極めた中でのファイナルシーズン突入です。
Posted by ブクログ
とんでもないことになってしまった。
ずっと気になっていた「暁闇計画」の全貌が、まずとんでもない。
大量虐殺兵器を完成させ、それを帝国にぶち込むことによって戦争を2度とさせない平和な世界を作る…?
いや、言ってることは分かるけれど到底理解はできない。
でも、世の中の戦争って全部そうなんだよね。自国だけが良ければ他国の人がどれだけ死のうと涼しい顔。それがまかり通ってるのが、今の世の中なんだもの。
私はフェロニカには賛成できない。ギードと同じ道を選ぶと思う。けれど、フェロニカの気持ちが完全に分からない訳でもない。正直に言うと、家族だけが助かれば良いと私も思ってしまっている。
冷酷無慈悲に見えたフェロニカの真の想いは、辛くなるほど愛に満ちていた。
なんて切ない話なんだろう…。
クラウスと『灯』メンバーの別れのシーンが結構キツかった。まさか袂を分かつことになるとは。もういっそのこと、全員でクラウスに着いてってくれよ…と思ってしまった。(そんな選択をしたところで、クラウスが許さなかっただろうが。)
次巻からの展開も目が離せない訳だが、ちゃんと集中して読まないと誰が誰だか分からなくなってくるし、記憶が新たな内に次巻が出ることを望む。
Posted by ブクログ
前々巻はクラウスを主役とし彼がどのように世界最強のスパイになっていくかを描いた過去の物語だった。前巻はクラウスを脇役とした『灯』達が革命を成し遂げる物語だった
今回は世界大戦終結後を『焰』がどのように過ごしていたか、そしてフェロニカとギードはどのようにして決裂したかを描いた物語となったね
それはライラット王国で起きた革命の最後を飾るに相応しい裏話であり、同時に世界レベルでの革命が始まる前夜だったとも言えそうだ
『焰』はフェロニカが加わる前から存在していたスパイチームだけど、本作としては彼女がボスの時代しか描かれていなかったものだから少し誤解していたかな。『焰』を家族としたのはフェロニカの方針だったのか
そこだけを見れば、特定の国や家族に属さぬよう生きてきた彼女が『焰』に家族の代替を求めたと見える
けれど、彼女が『焰』を家族扱いし始めたのは彼女の心が死に始めてからの話で
その点がこの巻においてフェロニカという人間をどう解釈するかを難しくし、そして『焰』そのものの破綻へと繋がっていったわけだ
各章のタイトルが『《燎火》裏』となっているように、短編集5巻の裏側を補完するような構図となっている。あの時、クラウスは家族の情を享受する側だった。この巻ではフェロニカ達が家族の情を届ける為に何をしていたか、そして家族で在り続ける為に何を犠牲にしたかが描かれている
フェロニカは地獄へと変ずるライメン市街を見てヒーローから殺戮者へと生まれ直した。それはディン共和国を守るスパイとしては正しい在り方かもしれないが、『焰』を家族としての棲み家に変えた彼女の言動とは乖離がある
フェロニカを理解する上で外せない要素として、元々彼女は慈悲の情を強く持つ人物であるとか、余命宣告をされている等は関係しているのだろうなと思う
殺戮者に成り果てたとしても根っこの部分に慈悲が有るから彼女が最終的に目指すのは平和となる。自分の寿命が残り少ないと自覚しているから大罪を背負う事を厭わないし、残された者の為に何かを遺したいと強く願ってしまう。それらの要素が交わる事で自身の命だけでなく名声すら軽く投げ捨てられてしまう
これらの要素はフェロニカを大切に想う『焰』の者達と相反する感情となってしまうね。特に彼女に忠誠以上の感情を向けていただろうギードにとっては尚の事
そう考えると、フェロニカとギードが守ろうとしているのは同一であるのも明白。ただし、二人はヒーローについての捉え方が異なるから対立も決定的になってしまうと
フェロニカは人々を救う手段としてヒーローを目指した。ギードはフェロニカに感化されてヒーローを目的とした。だから弱者として《暁闇計画》に抗おうとしている白蜘蛛達にギードが共感してしまうのは当然の成り行きだし、『焰』を虐殺の管理者にしかねない計画に賛同する余地なんて無かったのだろうな
けれど、フェロニカ自身はヒーローを目指す道なんて疾うの昔に諦めていて、縋り続けるは大切な者達を自分勝手に守る道だけ
『焰』の中核を担う二人は大切な『焰』を守る同じ目的を掲げて、決定的な破綻を迎えたわけだ
この巻で提示された問題は世界レベルの虐殺と、家族を守る小規模愛が同次元で語られている為に答えを出し難いものとなっているね
回想後にモニカが叫んだように、自分達に計画への同意も行く末も選べないならば悩む必要はない。けれど世界に名だたるスパイとして時には国の命運さえ動かせる程になってしまった『焰』や『灯』だからマクロとミクロの話を同時に行わなければならない
そうして行われた選択は非常に恣意的なものだったね
クラウスは『灯』に同じ答え、「成就」を促した。対して己自身は「阻止」。それは少女達を守る為の方策であるようにも、自身を止めさせるようにも、またはこうして別の方策を互いに取る事で全く別の未来を探ろうとしているかのように映る
だとしても両者の道は分かたれた。今後はお遊びのように教室を開く事も叶わないのだろうね
遂に生まれ落ちた『虹蛍』、そして舞台へと復帰する悪のカリスマ達。これから始まるファイナルシーズンはただ任務をこなせば祖国の平和に繋がるというものでもないだけに難しい展開に成りそうですよ