あらすじ
●日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第4巻
アン22歳、プリンス・エドワード島の港町で学校長となり、風柳荘(ウィンディ・ウィローズWindy Willows)に下宿する。
アンに敵対する町の有力者プリングル一族、冷淡な副校長キャサリン、隣家の孤独な少女「小さなエリザベス」に心痛めるも、アンの明るさと誠実さ、グリーン・ゲイブルズのうるわしさと住む人々の慈愛が、幸せな明日へ導く。
アンから、婚約者ギルバートへの恋文で綴る、幸せな3年間の小説。
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Posted by ブクログ
アンが22歳で学校長になってからの3年間を描いたお話。遠く離れて暮らす婚約者ギルバートに、アンが手紙で日々の出来事を伝えてる。町の有力者プリングル一族や副校長のキャサリン、小さなエリザベスなど、最初に登場する人物たちとのやりとりは面白かったけど、後半に出てくる人たちとのエピソードにはあまり興味が持てなかった。おしゃべりなアンらしく、手紙も長い。勉強で忙しいギルバートは最後までちゃんと読んでいたのかな?「アンらしいな」と微笑ましく読んでいたかも?
シリーズでは第4巻にあたるけれど、作者がこれを書いたのは、だいぶ後になってからとのこと。
Posted by ブクログ
アンシリーズの中で、最初の「赤毛のアン」を
のぞいて特に好きな巻である。
理由はいくつかあるのだが、まず書簡形式のものが
基本的に好きということがある。
アンの手紙は長すぎるきらいがあるものの、
非常に魅力的だ。
SNSもメールも電話すら日常的では無い時代の話だから、
その中であのような手紙を受け取る
(しかもラブレターでもあるのだ)
その喜びはいかようであろうかと想像するだけで
胸がときめくのである。
それから、モンゴメリの見事な人物描写で描かれる
新たな面白い人物がたくさん登場するのだが、
なんらかの理由で本来の自分を抑え込んで
鬱屈した生活を送っている人物が多いことが特徴的だ。
もし私だったらとっくに鬱になってしまうのではないかと
思うような状況を必死に耐え忍んでいるうちに、
性格がねじ曲がったり、意地悪をすることでしか
喜びを得られなくなったり、物事を素直に受け取れず、
自分自身に価値を見出せなくなってしまった人々だ。
そうした人たちが、生きることに喜びを見出すことが
得意なアンと出会い触れ合うことで変化していく。
本来の自分を取り戻していく過程をアンが巧みに献身的に
手助けしていくところがとても好きだ。
もちろん簡単なことではなく苦労も多いが、
そうしたアンの本質的な魅力は当人を生き生きとさせる
だけではなく、その周辺にいる人たちにも影響を及ぼし、
最終的には多くの人々の信頼を勝ち取っていくのである。
そんなアンに強い憧れを抱き、何度も繰り返し読んだ本である。
今回かなり久しぶりに読み返したが、大人になった今
読んでもやはりその魅力が変わることは無いと感じた。
この物語は村岡花子さんの翻訳で長年慣れ親しんできたが、
今回初めて松本侑子さんが翻訳されたものを読んだ。
日本語の表現の違いなどとても興味深く、
読み比べてみるのも面白かった。