あらすじ
「ザビリア、会いたかったわ!」
サザランドから王都に戻ってきたフィーアは、特別休暇を使って姉に、そして、こっそりザビリアに会いに行こうとするけれど、シリルやカーティスにはお見通しで……。
さらに、出発日前日、緑髪と青髪の懐かしい兄弟に再会。
喜ぶフィーアだが、何故か二人も霊峰黒嶽への旅路に同行することに!?
2兄弟+とある騎士団長とともに、いざ出発!
楽しい休暇が、今始まる!!
書き下ろしは、アルテアガ帝国編、300年前の過去編に加えて、クラリッサ団長、クェンティン団長、フィーアの姉オリアのエピソードを大ボリュームでお届け!
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黒竜との再会
第十三騎士団にいる姉と従魔である黒竜に会いに行ったフィーアですが、登場人物(竜含む)が皆個性的かつ魅力的で楽しく読めました。
300年前のセラフィーナに対する騎士団長達の態度は、もう本当に面白かったです。
シリウスも転生して再会してくれれば良いのですが。
Posted by ブクログ
新規配属者としての訓練を終え、三週間の特別休暇を与えられたフィーアは、北方警備を担う第十一騎士団に所属する姉オリアを訪ねるため、王国北部へと旅立つことになる。しかしその地は、霊峰黒嶽の麓――ザビリアが再び戻った不穏な土地でもあった。状況のただならぬ気配を察したシリル団長は、公務という名目のもとカーティスを護衛として同行させ、フィーアの旅路にささやかな、しかし確かな守りを添える。
王都ではかつての仲間であるグリーン、ブルーとの再会もあり、四人は北の地へと歩みを進めていく。そうして辿り着いた第十一騎士団では、団長ガイの軽いいたずらが思いがけずフィーアの心の奥底に触れ、彼女の過去に刻まれた記憶と痛みを呼び覚ます。普段は天真爛漫に振る舞う彼女が、わずかに震える姿を見せる場面は、物語に静かな陰影を落とし、彼女が背負ってきた時間の重さを読者に改めて思い出させる。
本巻では、過去の出来事や歴史の断片が少しずつ紐解かれていくことで、この世界に横たわる秘密の輪郭が徐々に浮かび上がってくる。軽妙なやり取りの裏側で、物語は確かに大きな流れへと向かっており、その静かな積み重ねが作品全体に奥行きを与えている。
それでもなお、フィーアの天然とも言うべき無邪気さと規格外の力は健在であり、彼女の存在が物語に柔らかな光をもたらしている。重みを帯びた過去と、仲間と共に歩む現在。その両者が交差する中で、彼女の歩む道がどこへ続いていくのかを思い描きながら、最後まで心地よくページをめくることができた。重層的な世界の気配を感じさせながらも、読後には確かな満足感が残る一巻であった。