あらすじ
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!
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Posted by ブクログ
どこかに「名探偵アティカス・ピュント」シリーズが存在することを願わずにはいられない。というか読んでいる最中は、既刊8作が書店に並んでいると錯覚するほどだった!
スーザン編はわずかな導入のみで、ほぼ作中作であるピュント編のみの上巻。小さな村に住む各人の人生が田舎らしく面倒に絡み合う様が丁寧に描かれていて読みやすかった。登場人物をインプットするのに多少時間がかかったけど、ピュントとジェイムズ・フレイザーの2人の調査に同行できたようで楽しい調査パートだった。魅力的な世界観で、たしかにクリスティを思わせる。これで1作としても惜しくない作中作。パディントン発の列車で乗客の死に気付かないジェイムズ・フレイザーの事件、是非読ませてほしい〜……。
Posted by ブクログ
2019年の本屋大賞翻訳小説部門で堂々の一位を獲得した本作。
多くの方がブログにレビューを掲載し、いいなあー、読みたいなあー、と思っていました。
翻訳版は高くて買えなかったのですが、近所の新古品の本屋さん(洋書)でもなかなか入荷がなく、地団駄を踏みつつ同じ作家さんの本でも何か読めないかと新古品の本屋さんのリストを見てみると、殆どYAっぽいものばかりで、食指が動かず。
そして今般、ようやく「♪本を売るなら~」でおなじみの中古量販店で値ごろ感が出てきまして、私の手の届くお値段で購入できたという次第です。
驚き、というか、すごいなあ、というか、これは驚嘆という単語がお似合いな作品であったと思います。
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何がすごいかって、やはりこの入れ子構造・劇中劇・推理劇マトリョーシカとでも言った構造でしょう。
上巻はアティカス・ピュントシリーズの最新刊の内容が綴られます。
冒頭にこれを読む女性編集者の気だるそうな様子が1、2ページほど出てきます。
でも殆どは名探偵アティカス・ピュントの推理劇を編集者と同じ目線で読むというもの。
これ単体で劇中劇を読んでいることを忘れる程十分面白い。アガサ・クリティへのオマージュという話もありますが、名探偵と助手、閉じられたコミュニティでの殺人、全員容疑者等々(他にもたくさんの要素!)、いかにもな推理小説の仕上がりであります。
裏表紙にオマージュ・ミステリである旨がありますが、これを読まなかったら「二番煎じだな」とひとり断定するところでした。
なお上巻は、いよいよ真犯人が分かる、という段で終了。くぅー、はやく下巻が読みたい、となります!。
(下巻に続きます)
Posted by ブクログ
ほとんど前情報を知らずに読めて大正解。上巻を読み終えた今、すごいワクワク感が。
女性編集者が、BBCでドラマ化するほどの人気の探偵シリーズの最新作の原稿を読み始めるところからスタートして、実際にその小説のストーリーが始まる作中作の形。小説ではある村で1人の女性が亡くなったことを発端に村の人々が怪しい動きを見せて、そこに名探偵が登場して真実に近づいていく。ピュントが登場してからはどんどん村人の秘密が明らかになっていくのでするする読める。下巻の冒頭も少し読んだけど、面白そうな展開!
Posted by ブクログ
イギリスの村で起きた事件に外国人探偵が挑む。
お屋敷の家政婦が亡くなった。続いてお屋敷の主人が亡くなった。容疑者は主人の妻、家政婦の息子、その恋人、はたまた村の牧師、医師、骨董品屋? 名探偵ピュントが謎を解き明かす。
クリスティを思わせる作品舞台に一気に引き込まれた。いわゆる"おきゃんな"若い娘や固い仕事をしている女性、お屋敷の"不幸な"ご婦人にその恋人。イギリスでは外国人である名探偵アティカス・ピュントは自信に満ちている。しかしそのピュントが余命わずかだというのもスリリング。
最後でピュントは謎を解く鍵を得たと宣言。家政婦ブラキストンを殺したのは夫だとはどういう意味だろうか。まさかカササギの鳴く声で不安に思ってかけた電話が何かの引き金になったということ? それともピュントの言葉にある「妻」というのがメアリじゃないとか? 早く下巻を読みたくて仕方がない。
というか、冒頭ってどういうこと? アラン・コンウェイは何者?