「おかえりなさい」
そう言って、あなたの帰りを待っていてくれる人はどれくらいいますか?
これは一度、罪を犯してしまった・道を踏み外してしまった「前科者」に
社会更生の橋渡しをする保護司のお話。
一度の過ちだけでも社会から煙たがられ、立場の弱くなってしまう現代社会構造。
0からのスタートではなく、マイナスから0にするために
彼ら保護司は奮闘する。一切の報酬なく、ボランティアで。
一銭にもならない仕事でも、怖いもの知らずだと言われても、
「きれいごとが言える間は、きれいなその部分で人と接したい」
という彼女に圧倒されます。
保護司制度の存続が危ぶまれている今、保護司に求められている姿とはなにか?
社会の在るべき姿を考えさせられる一作です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
助けを求める人
国家公務員でありながら無給で行う保護司という犯罪を犯した人の更生を手伝う仕事をしている女性と彼女がかかわるいろんな人との交流を描いた作品の第二巻。
今回佳代が保護した女性は恐喝および傷害の罪で2年服役していた斎藤みどりだ。
みどりは指定した時間に佳代の家にいかずにラーメン屋で食事をし美容院で髪を染めていた。
しかも代金が足りないのでかわりに佳代が出すハメに。
あっけらかんとしていて明るく、人を惹きつけるみどりが何故か海辺に座って本を読んでいる少女をほっとけずに関わったことから今巻は話が犯罪を犯したみどりだけでなく、その少女・中学二年生の堤亜美にもフォーカスして話が進んでいく。
みどりの子供時代のつらい思い出や、今現在つらい思いをしながらそれを周りの人間を見下すことでなんとかやり過ごしている亜美の生活や家族関係、同級生とのやりとりなど、とてもリアリティがある嫌な性格、嫌な人間というのを描いている。
とても読みごたえがあった。
毒親ばかり
この巻は傷害罪で実刑判決後、仮出所したみどりさんを巡るエピソードで、海辺にいた亜美さん、主人公の過去、みどりさんの母親等、典型的な毒親が出てきます。主人公の母親は18歳時に死んでいるようですし。
亜美さん、TwitterとおぼしきSNSでみどりさん観察日記なる記事を載せだしていて、まぁ今時の子どもです。母親も自尊心だけは一人前でしょうが、離婚し、今の生活もどうなるやら。主人公の父親も相変わらず女ったらしなだけっぽいです。
作中では芥川龍之介の作品が効果的に引用されていました。
前科者集合の会…!!かよちゃんの行動とみどりちゃんの行動がちょっと分からないところもあるけど面白かった。ボーイを呼んだ理由も踏み外さないために呼んだ、で合ってるのかな。