あらすじ
思い出に浸って生きる男・佐々野は写真の中に入る能力を持っていたが、赤い目の少女に力を封じられてしまう。ケイは彼が持つ写真に、かつて自身の失敗で死なせてしまった少女が写り込んでいるのを発見するが……。
※本書は、二〇一〇年三月に角川スニーカー文庫より刊行された『サクラダリセット2 WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL』を修正し、改題したものが底本です。
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Posted by ブクログ
サクラダリセット、シリーズ第2弾。
本作もとても面白かったです。
「リセット」能力が使われるため、事象の流れが分からなくならないように、普通の小説よりもじっくり読まないといけないところが、サクラダリセットを楽しむ醍醐味かなぁと思います。
能力者の能力の組み合わせ、その能力の制限を上手く利用して、不可能と思われることを可能にしていく、浅井ケイの知略に脱帽です。ケイの記憶保持、春埼のリセット、村瀬の物を消去する能力、そして佐々野の写真の中に入る能力を的確に組み合わせ魔女の救出作戦は凄かった。
浅井ケイは2年前と現在(高校一年生)では、考え方や行動が随分変わったのかな?
シリーズ第3弾も楽しみです。
Posted by ブクログ
入れ子式のストーリーを計算しつくしてるなぁと思った。映画のインセプションみたいだ。
まず事件が起きて、物語は三日前から始まる。これは春埼の能力リセットによるもの。時間は三日前にさかのぼる。
失敗を繰り返しながらも、どうにか解決できる方法を探して再び戻る。
さらに今回は新たに、写真の中の世界に入り込む能力で時間は30年前にまでさかのぼる。
サクラダリセットシリーズ2巻目、だんだん面白くなってきた。
ケイはとある初老の男性、佐々野に頼まれる。
マクガフィンが欲しいといわれ、またマクガフィンが、と思う。あれは、ただの石だ。
破れたジーンズをはき、十字架のチョーカーをつけた、赤い目をした女の子に能力を奪われ、マクガフィンでどうにかならないかという。
ポラロイドカメラで写真を撮る、そして写真を破るときの二回に能力を使うと、写真の世界に十分だけ入れる。思い出に浸るための能力だという。
管理局に呼び出されて、すべての未来を見通す能力を持つ女性に会った帰り、ケイは突然に赤い目の女の子に話しかけられる。
「やっほぅ、先輩」
彼女、岡絵里は、ケイが中学生のときの後輩だった。彼女は明らかにケイに敵対している。彼女は他人の能力を封じることができる。
そのタイミングで、春埼がビルから出てきてしまった。岡が振り向くと同時に、ケイはリセットを宣言した。
自己同一性の思考実験、スワンプマン。もし、沼の横を歩いていた男が雷に打たれて死に、雷の作用でまったく偶然に沼から同じ思考、記憶、容貌を持った男が生まれたとしよう。
今までと同じ生活を暮らし、他人もその男に気が付かない。しかし、男は確かに雷に打たれて死んだ。
沼から生まれた男は、雷に打たれた男と同一だと言えるだろうか?
写真の中に移っていた、二年前にケイが死なせてしまった少女。
ケイは、自分が求めていた能力を手にする。