あらすじ
天天コーポレーションへの税務調査が始まった。やって来た四人の調査官の対応は経理部の仕事のため、沙名子も気合が入る。調査官たちは想像していたよりも穏健だが、詳細の説明のために呼び出された社員が余計なことを喋りそうになるなど、想定外の事態もあるので緊張は解けない。大きな懸念は吸収合併したトナカイ化粧品関連。合併前のものに関しては経理処理も修正納税も済んでいるが、何か新事実が出てくるかもしれず…? そして先日、沙名子が太陽に言われた「結婚しよう」という言葉。太陽も沙名子も、結婚というものをどう捉えるかに悩み、じれったいままに時間は過ぎて…。
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最近人気のお仕事系小説。知らなかった職業の裏側を知ることが出来たり、働く主人公に社会人として共感したり。本作もそんな系譜に連なる作品です。
優秀な経理部員・森若沙名子が、経理部を訪れる社員や彼らが提出する領収書などを通して、社内の問題や社員同士のトラブルを「イーブン」にしていくという物語。この森若さんの仕事っぷり、全ての会社員が羨むほどきっちり完璧で、読んでいるだけで気持ちいい……。ドジな主人公が失敗しながら成長していくストーリーを読むと主人公のミスにイライラして耐えられない派のみなさん、森若さんは信頼できる主人公です。あくまで「イーブン」にしたいというのが森若さんの美学なので、正義感を振り回すことがないというところも、控えめに言ってかなり推せます。
出てくるキャラクターたちも、経費でぎりぎりグレーな私物を購入する広報課長、私費を使ってでも会社に貢献して正社員になりたい契約社員、レジミスを謝らないアルバイトなどなど、「うわーあるある!」というリアルさ。友達の会社のトラブルを聞いているかのように「え、ありえない!」「この人怪しすぎ〜」と、思わず心のなかで相槌を打ちまくってしまいます。そして、読み終わった頃にはもう、森若さんが同僚かのような気持ちに。
そんな信頼の森若さんですが、恋愛の方は不器用でこじらせ気味。営業部のムードメーカー、山田太陽から想いを寄せられているのですが、この2人のラブ、なかなか進まない……。しかし、仕事は早くて迷いのない森若さんが、一つ年下の太陽からの好意に戸惑い、自問自答しながら亀の如き歩みでゆっくりと距離を縮めていくモダモダ感も風流というもの。
お仕事エピソードをスカッと読ませて、恋愛エピソードでムズキュンさせてくれる、1冊で2度美味しい作品です!
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Posted by ブクログ
税務調査に振り回される経理部だったが、徐々に落ち着いた中で太陽との結婚に向けて一悶着。森若さんは税務調査がある意味で結婚を考えるきっかけになったかもしれないとあったが、ふとした時に考えるものだよなぁと思う。そして、個人から団体競技という表現もとてもわかる。森若さんも最初の頃からずいぶん変わったなと思いつつも、「結婚しよう」からの「了解です」やタスクのリスト化などはいつもの森若さんらしさもあってほっこりした。
Posted by ブクログ
とうとう結婚!?
調査のハラハラ感はもちろんあったけど、新幹線での別れ際の可愛さとハラハラ感で全て吹っ飛んだ!
次巻が楽しみ過ぎる!
お互いを大事に思って優先してるのにすれ違うって、文章にされるとすごくもどかしくなる。
でもよくあるんだろうな。相手の本当の気持ちなんてなかなか分からないもんなー。
いつも通りの面白さ!
今回は税務調査で一冊終わるので、誰かのお仕事垣間見小説、という面が強いけれども、それはそれとしてしっかり森若さんと太陽くんの進展もあり。
森若さんのタスク思考は一貫してて、惚れ惚れします。いつも通りキャラが立ってる。同じ理由で麻吹さんも好きだな。
良い意味でこれまでと同じ、安心感のある一冊です。
Posted by ブクログ
天天コーポレーションに税務調査が入りました。
国税局の調査官達への対応に気が抜けない沙名子。忙しい中でも突然の太陽のプロポーズが気になって ―― 。
付き合っていることがバレてない沙名子と太陽。結婚するとなるとどこかのタイミングで言わないといけないですよねぇ。どうするのか気になります。
Posted by ブクログ
安定しておもしろい。
税務調査が始まりました。
経理部大変。
大阪から太陽が応援にきて、プロポーズ?されたけどなんとなく暫く保留。
税務調査が終わって、なんだかんだで沙名子から逆プロポーズ?で婚約と相成った。
いよいよ結婚か〜って感じ。
Posted by ブクログ
税務調査、とプロポーズの返事でまるっと1冊。
しかし、真夕ちゃん、なんで気づかないんだろう。
というか、本当は気づいてるけど、「いいや、そんなはずはない!」って打ち消してる?
そして、大阪の川本さん、するどいっ!
(帯についてるおまけエピソードの感想です)
沙名子も薄々気づいてドキッとしてたけど、本社営業部と本社経理部が夫婦ってのは、やっぱり会社的にまずいと思う。
逆に、もっと大きい会社で、都内でも各所に営業所があるレベルだとなんとでもなるし、逆にもっと小さい会社でもあるあるなのでなんとかなる。
そういう意味では天天コーポレーションは中途半端である。
となると、沙名子が辞めるか、異動するかして「経理部の森若さん」ではなくなって終了、か、二人とも辞められては困る人材として、会社がなんとかするのか。
なんとかした場合、第二章開幕になって、いくらでも話が続いてサザエさん的に続けることもできそうだ。
勇太郎と織子さんの件も完全には片付いてなかったと思うけど、あれはどうなっているのか。
経理課長と広報課長も、会社的に結構まずそうだし。
あと、鎌本はどっかで大きな事件(セクハラ的な)を起こして、会社クビになったりしないかな。
基本的に、悪い人がいないシリーズだと思うけど、鎌本だけは全く同情も共感もできないし、キモいし、意図的にそういう人物として設定している気がする。
山崎が馬垣の時みたいになんかやりそう。
そして、いつものように前巻を読み返したくなるのである。
Posted by ブクログ
順調に10巻目。もう直ぐ最新刊に到達してしまう!
今回は税務調査回。
そして結婚が決まる。
税務調査ってこんななんだー、とか、こういうことが指摘されるのね、とか、勉強になる回でした。
ラストの真夕のエピローグが、いつに増して癒されました。