あらすじ
大宝石商・玉村家周辺に次々と届く殺人予告。第一の犠牲者は玉村善太郎の弟。そして令嬢・妙子と長男・一郎も狙われるが間一髪で助かった。しかし、次男・二郎の恋人は公衆の面前で猟奇的に惨殺されてしまう。一方、湖畔のホテルで休暇を楽しんでいた明智は、波越警部に呼ばれ戻った東京駅で誘拐されたが、文代の機転により、なんとか脱出。玉村家への復讐に燃える殺人鬼を追う――。屈指の傑作長編。
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Posted by ブクログ
「魔術師」単独が収録されている。
江戸川乱歩作品には珍しく明智小五郎の恋情が絡んでいるが本筋には大して関係なく、「書き慣れぬなら無理せねば良いのに」と少々脳裏をよぎったが、事実そこまで描写があるわけでもなく、気にかかるほどのものではない。
さて内容であるが、特に前半の描写などは「あれ、これホラーだっけ?」と思うほど生々しく恐ろしい。終盤に至るまで読者をゾッとさせるような事件が立て続けに起きる。
とはいえ、地下室に人を生き埋めにするシーンはエドガー・ア・ランポーの「黒猫」を参考にしたのかと思うほどのものである。
最終的に真犯人が捕まった後もページが残っていることに驚き、更にどんでん返しが待っているのかとも思ったが、最後は真犯人が捕まっても明らかになっていなかった過去の謎を明確にする最後の尻尾であり、なるほどと膝を打つことになった。
江戸川乱歩作品は謎解きの要素もある広義のミステリー小説だと認識しているが、本作はその中でも一層、怪奇小説に描写を近づけたミステリーであるように思う。
Posted by ブクログ
洋子さん可哀想過ぎなんだが・・・
初めてちゃんと読んだ明智小五郎シリーズでいきなり奥さん出てきて舞台版「黒蜥蜴」全否定なのがちょっと面白かった
Posted by ブクログ
ストーリーの面白さはもちろんだけど、明智小五郎と文代さんの恋が良い!!
明智が生涯で初めて恋を感じた瞬間を描いているこの表紙が特に大好き!
Posted by ブクログ
展開や伏線の破綻もなく、かなり面白かった。ただ、最初の福田得二郎殺害だけは、同居していたわけでもない犯人がどうやって実行できたのか謎。
作中の日付に一部混乱があるような気がする。
p54で、今日が11月17日と聞いて明智が「僕が上野駅に着いたのは18日の晩だから、まる一日眠っていたわけですね」と答えるのは明らかにおかしい。
明智が上野駅に着いたのは、福田殺害が行われたのと同じ日(の殺害時刻より前)なので、17日(紙切れ「三」の日)の夜であり、これはそれまでの記述から明白。
そこから誘拐されて丸一日眠ったとすれば、船を脱出したのは18日の夜となる。しかし、p73には「翌々日19日の朝」に明智溺死の新聞記事が出たという記述や、「18日午後4時ごろ」に溺死体が発見されたという記述があり、18日夜脱出と矛盾する。溺死体の発見が19日、新聞記事が出たのが20日の間違いであれば筋は通る。
一方、新聞記事関連の記述が正しいとすると、明智が丸一日眠ったとするのが間違いで、誘拐されて数時間眠った後、17日夜のうちに脱出していたことになる。
巻末の「明智小五郎年代記」には、「東京駅に戻り誘拐されたのが、16日でした。船の上でとらわれの身になって目を覚ましたのが17日」とあるが、16日=紙切れの数字「四」の日であり、「三」になる前日に既に明智を呼び出していることになるのでおかしい。
後の「少年探偵団」シリーズの原型となるような描写が随所にあって面白い。例えば、誘拐された明智が壁にかかった道化の顔と会話し、その後脱出して船から逃げる場面は『仮面の恐怖王』でそのまま使われているし(本作では文代の助けによって逃げおおせるのに対し、『仮面の恐怖王』では自力で脱出しており、明智のスーパーマン度が増している笑)、時計塔の針に首を切断されそうになる場面は『塔上の奇術師』で使われている。また、犯人のピストルの弾があらかじめ抜いてあったり爆薬が水浸しになっていたりするのは、怪人二十面相との対決でお馴染みのパターンである。
解説(大槻ケンヂ)が楽しい。旧「少年探偵団」シリーズの後半巻で大人乱歩に出会ってしまった小学生のトラウマの話には爆笑しつつも深く共感。殺人の前に笛が聞こえる場面や、遺体に菊の花びらが散らしてある場面は本当に怖くて、大人になるまで覚えていたもんなあ。
(2026.7.30)