【感想・ネタバレ】妹さえいればいい。のレビュー

あらすじ

“はがない”の平坂読が放つ衝撃作!!

「アマゾンレビューは貴様の日記帳ではない!」
荒ぶる小説家・羽島伊月は、未だ見ぬ究極の妹を創造すべく日夜奮闘する現代のピグマリオンである。彼の周りには、作家やイラストレーターや編集者や税理士など個性的な人々が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。闘志を秘めたイケメン王子、不破春斗。人生ナメてる系天才イラストレーター・ぷりけつ。頼れるけど頼りたくない鬼畜税金セーバー・大野アシュリー。闇を抱えた編集者・土岐健次郎――。
それぞれ迷いや悩みを抱えながらも、ゲームをやったり旅行に行ったりTRPGをやったり、たまには仕事をしたりと、賑やかで楽しい日常を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、ある重大な秘密があって――。

各界から絶賛の声多数(本当)! 『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ、日常ラブコメの到達点にしてライトノベル界の現実を赤裸々に晒す衝撃作。言葉の鋭刃が今、世界と担当編集の胃に穴を穿つ――!!!!

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭のやべぇ文章に速攻切りかけたけどキチンと読んでよかったわ。 主人公の妹狂いにはついていけんが、作中でもそう扱われてるので許容、何だったらヤバイの序盤くらいでジンベエザメ妹は普通に面白そう。 春斗の天才二人組に向ける感情良い。作家三人組好き。 那由多が京に凄く懐いてるシーン可愛い。 そして主人公が可愛すぎる、序盤なんやコイツだったのに読めば読むほど可愛い。那由多とか刹那に向ける子供っぽい意地本当かわいい、態度がデカイとこと相まって本当可愛すぎる。 TRPG回の春斗に対する反応本当良い子。

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い。
そしてラノベというものについてつい色々と考えさせられてしまった。

同作者の『はがない』を読んでいる時は、後半から一気に作者が何かをこじらせていった様子が読んでいて興味深かった(ぎりぎり橋から落ちてなさそうで、でももう落ちちゃってるような具合だった)が、本作ではそのあたりを消化したうえで書いているようだった。

『はがない』のこじらせポイントとしては、ラノベのハーレムもので、ヒロインからの好意と主人公との関係性についてどう描くべきなのかや、一気にネタにされる頻度を高めた難聴系主人公などなど。
このあたりに対して、メタ思考と自己言及の渦に入り込んでいったのが『はがない』だったと思うが、今作では意図的にネタとして使っているところがけっこう出てくる。

以下、作中で気になった言葉に関して感想。

「お、俺だって、『はがない』の小鳩神とか、『俺ガイル』の小町神のような妹がいれば、妹のために本気で料理を習得している!」(p32)
>ラノベ作家の日常(?)を描いているだけあってか、実際のラノベ作品のタイトルがたびたび登場。速攻で『はがない』にも言及。

「今回は男友達もいる」(p37)
>「今回は」のメタ感。

「……え、なんだって? よく聞こえなかった」
「思いっきり反応しておいて聞こえなかったフリはさすがに苦しいんじゃないでしょうか」(p105)
>『はがない』の例の難聴をネタに、このあと軽快な応酬。次のと合わせて。

「んー。可愛い女の子に迫られてるのに曖昧に誤魔化して返事をしないまま体よくキープしているクズ野郎だと思ってて悪かったなーって」(p111)
>すでに返事はしているという設定。『はがない』でこじらせたあれこれから、(良し悪し置いて)先に進んでいる感じ。

「…………で、そんなよくある感じのサークルクラッシュ話を聞かされて俺はどうすればいいんだ。お前のことをこれから『小鷹さん』とでも呼べばいいのか」
「それは恐れ多いからやめてくれ。なんやかんやでちゃんと隣人部を守れた小鷹さんと違って、オレはサークル崩壊を止められなかったしな……」
(p204)
>『はがない』への言及は上にあげたのも合わせてやはり主人公のスタンスと周囲との関係性が中心。

『流し斬りが完全にはいったのに!』(p231)
>ソウルスティール


この作品自体がラノベ作家の日常を描くという作者自身をどこかに反映する作品であることに加え、『はがない』という自作への自己言及的な側面も強く、メタ×メタな作風。
そして、『はがない』で生じたものをいくらか消化しながら書かれているように思えるが、こうしてラノベとそのお決まりについてのメタ思考を繰り返してたら、またいつかどこかでこじらせそう(楽しみ)。

このこじらせっぷりを称して「ラノベ作家版 法月綸太郎」という称号を与えたい。

ところで『はがない』終わったの? って思ったら11巻出るのね。
ここまでこちらで言及してからの続きというのは果たしてどうするのか。期待してしまう。

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2015年08月11日

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