あらすじ
この世はヒト知れぬ生命に溢れている――。とある山で“ムジカ”という蟲師の探索を依頼されたギンコ。その道程でムジカの弟子を名乗る少年と出逢ったギンコは、“山のヌシ”をめぐる山の異変とムジカの失踪の真実を知る――。果てなき生命、定めなき姿態。ヒトと蟲との世をつなぐ蟲師・ギンコの旅路、第2集。~アフタヌーンシーズン増刊連載作、珠玉の5編を収録~
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見慣れた動植物とはまるで違う、生命の原生体に近いもの。
「蟲」と呼ばれる異形のものは、形や存在があいまいで、誰にでも見えるものではない。
そして、時に「蟲」は、ヒトと…ヒトの営みに作用する。
これは「蟲」とヒト、そしてその間に立つ者「蟲師」のお話です。
雪夜に耳を病む者が出る村(1巻)、生き神のいる島(3巻)、
天の糸を掴んで姿を消した妻(6巻)、死が伝染する里(8巻)など
数々の奇妙な現象、様々な特質を持った「蟲」と人々の様子が描かれます。
また、作品内の時代設定ははっきりとはしません。
登場人物のほとんどが和装に身を包むものの、主人公である「蟲師」のギンコは洋装です。
産業革命による機械文明とは無縁に、農業や漁業に従事する村里が広がっています。
定かではない時代設定において、摩訶不思議な「蟲」や人々の生き死にを描く『蟲師』という作品は、
どこでもない、あるいは彼岸でもあり此岸でもあるような、あいまいな世界の感覚をもたらします。
それと同時に、作品全体を取り巻く静けさ、妖しさに心惹かれてしまうのです。
幽霊や妖怪といった異形異類の存在を語る怪談や伝承に惹かれる方は、ぜひ読んでみてください。
民俗的で、幻想的な魅力漂う作品です。
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匿名
面白い
生き物と時間の話は印象的。
1日1日、1刻1刻、心を澄ませば
もっと大事に、いろんなことに気づけ、感謝出来るのかも。
ワタヒコを読むと、蟲師って大変な役割だ。
1度一緒に時間を過ごすし、直接的な害もないと、人間にとって割り切れなくなる反面、別の目的を持つ生物が同じように感じてくれるわけでもなく。
蟲と共存する者がいれば、私利私欲のために蟲を利用する者もいる。反対に、人間を利用する蟲もいるわけで…。ギンコの住む世界は、美しいけど残酷です。そして、そこに惹かれます。
蟲と蟲師
昆虫や小動物とは違うもっと生命の源流に近い蟲。
『みどりもの』とも呼ばれるそれらを取り扱い、各地を旅する蟲師の男、ギンコを主人公にした漫画の第二巻。
『やまねむる』
旅の途中に通りがかった山で出会った老人は、蟲師でありながら『ヌシ』として生きていた。
その老人の最期と彼の弟子との物語。
『筆の海』
禁種の蟲を体に封じ込めた蟲師が時たま現れる家系に生まれた女性が、蟲のことを書き記しながら紙に虫を封じ込めるお話。
『露を吸う群れ』
荒波に囲まれた断崖絶壁の小島で生き神として祀られる少女と、彼女をそんな境遇から助けたい少年の物語。
『雨がくる虹がたつ』
虹を見ると見境なく騒ぐ父を持ち、自らもそれにとらわれて旅をする男のお話。
『綿胞子』
婚礼の最中についた緑のシミのせいで生まれた子供はよくわからない緑の塊となってしまい、やがて子供の姿になるが人の理とは明らかに違う生き物となる、それらをめぐるお話。
蟲に関わるとよくも悪くも人生が大きく変わる。
それを業として受け入れていくほか方法がないのは見ていてやるせない。
昔から言い伝えられているようなものを、独自の観点で描く作者の想像力、それを絵として表現する描写力は相変わらず圧倒される。
Posted by ブクログ
全巻通して、ぶっちぎりで一番好きな話が「筆の海」。
ただ淡幽が好き、というか、ギンコと同じ方向を向いて”今を生きている”キャラクターである淡幽の存在感が、やはり群を抜いている。
Posted by ブクログ
いつぞやアニメ化した時はクオリティの高さや声の違和感0度に万歳しまくっていて、いざ映画化されたら………
あそこまで世界観を台無しにしてくれた実写映画は他に知らない。
最初から最後まで展開についていけず、突っ込みどころ満載で漫画の感動を返せ!!!と帰りの車で騒ぎまくった映画なんて、今のところあれだけだ。
無理矢理一話にするんじゃなく、短編集映画にすればもうちょい違ったろうに。
だいたいあれじゃ鬼太郎だ(笑)
今回はそんな蟲師のお話。
【蟲師】
漆原友紀 著
二巻の表紙にした理由は、二巻があまりに濃いから。映画では完璧な恋人扱いだった(ここ突っ込みポイント)淡幽の話や、映画では旅のパートナー扱い(ここも突っ込みポイント)虹郎の話が入っているから。
ではなく、あくまで個人的趣味に走ってます。
二巻の一話目である「やまねむる」
がアニメでも漫画でもいい仕事をしているからです。
まず題名になっている蟲師という職業ですが、幽霊とかとはちょいと違うけれど、見ることができる人は素質がある人だけで【蟲】を研究したり退治したりしている人達のこと。
主人公のギンコもそんな蟲師の一人。
ただ、蟲を寄せ付けやすい体質であるため、一カ所に長くとどまっていることはできません。
ヘビースモーカーですが、あれは蟲タバコと言って、蟲を追い払うために普段吸ってます。
それ以外の意味でも吸ってるだろうけど。
蟲についての説明は、一巻でギンコさんが詳しく説明してくれています。(ロリコン疑惑を付随しながら)
さて、なぜ「やまねむる」を選んだか。
それは冒頭にギンコさんがずぞぞぞとそばを食べるシーンがあり、そのシーンが可愛くて(笑)
アニメでは五回くらい連続で見直した気がする。連続じゃなければもっと。
え?そこ?とか突っ込み入れない。
ギンコさんは普段けっこう淡々としている感じですが、この話は特別キレてます。熱い男ギンコ!!
キレてるところも何度も見直しましたよ、もちろん。
そして最後、またいつものギンコさんらしい感じにはなるものの、どこか……と、色々な表情を見せてくれてお得感があるから!!です。
蟲師は明るい話もあれば、ダークすぎる話もある。中には気持ち悪い話もある。この二巻だけ読んでも十分伝わると思います。
ギンコさんはたいてい干渉していても結末が第三者ってこともしばしば。
全ての話がハッピーエンドで終わらないのが、この蟲師の良いところなんだろうなぁ、きっと。
面白いです
主人公は同じですが、基本的に一つ一つの話が独立していてオムニバス形式に近いです。
どの話も物悲しいラストが多いですね。
ハッピーエンドじゃないと嫌だという人以外は楽しめると思います。