あらすじ
大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し盗品を専門に売買する泥棒市場の存在を突き止める。そこで鑑定人として働く中国人美女・明蘭。その背後には鮫島の宿敵、仙田の存在が。鮫島と同期の香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。泥棒市場の存在を巡って、さまざまな思惑が渦巻く!
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Posted by ブクログ
鮫島vs香田vs仙田という3人の警察官の物語。それぞれの警察官に正義があり、どの正義も完全に間違っていなく、かといって完全に正しいわけでもない。だから3人は闘い、3人ともに苦い結果をもたらした。
Posted by ブクログ
鮫島と同期でありながら、決して同じ道を歩むことのない香田。
しかし互いに嫌いあっているとはいえ、それぞれの正義と警察官としての矜持は認め合っていた。
警察官と犯罪者という、立場は違うがよき好敵手としていくつかの事件に関わってきた仙田。
人を見る目、先を読む力、躊躇しない行動力など、実に魅力的な人物であった。
このふたりがこのような形で鮫島のまえから去っていくことになるとは…。
シリーズも終盤になり、今作は別れの気配が濃厚だった。
外国人の犯罪者を日本から締め出すことによって、安全な都市づくりを強行しようとする香田。
法律の自在解釈を許せば、一時は平和になっても、いずれ矛盾が噴出するという鮫島。
“「理想を頭にもたない警察官など、ただの権力者だ。俺たちが何のためにこれだけの権限を与えられているか、一日も忘れてはいけないんだ」”
ある意味理想主義者である鮫島。
しかし彼は現場の人なのである。
理想を唱えることで自分の行動が不自由になり、相手に付けいれられることが多々起こる。
それでも理想を手放さない鮫島が好きだ。
解説によると、作者はこのような思いで作品を書いているそうだ。
“厳しい状況の中で、自分のルールを持って、たった独り意志を貫き、傷つけられる恐怖、何かを失う恐怖と戦いながらまい進していく―私の描く小説の主人公たちは「妥協して一生後悔するのは嫌だ」と思う人間たちです。心の弱さも恐怖感も持っている。しかし妥協せず戦いを選ぶ。それがハードボイルド小説だと私は思っています”
だとしたら、私はハードボイルド小説が好きだ。