【感想・ネタバレ】氷舞 新宿鮫6~新装版~のレビュー

あらすじ

西新宿のホテルで元CIAのアメリカ人が殺された。鮫島は、事件の鍵を握る平出組の前岡を追うが、公安警察からの横やりが入る。背後には元公安秘密刑事・立花の影が――。捜査の過程で鮫島は、美しく孤独な女・杉田江見里と出逢い、惹かれていく。鮫島が事件の核心に迫っていくと、警察の暗部が明らかに――。圧倒的なスケールで物語が展開するシリーズ第6弾。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

直属の課長桃井と鑑識の藪しか警察内部に味方がいない鮫島。
だから台湾の警察だったり、消防庁だったりなど、外部の人間とだけ協力者がいなかったのだが、今回の相手は警察内部。
鮫島が元々所属していた公安の過去の事件が、現在の事件の捜査を妨害する。

第一作の時に鮫島と対立する公安のエリート香田が、今回は鮫島と同じように自分の思う理想の警察官像と対峙することになる。
エリート意識の塊で鼻持ちならないやつだった香田が、今回鮫島とカラオケで待ち合わせ。
「俺はカラオケに行ったことなんかない!」と言っていた香田が、鮫島を待つ間演歌を歌うなんて。(笑)
最終的にはゲイバーにまで行っちゃったし。

物語の中で、きちんと時間が過ぎている。関係性が変わっていく。
鮫島と晶の関係すらも…。

出会ったときの晶は、人気のインディーズバンドのメンバーだったが、今はテレビでもよく見かける人気者となってしまった。
彼女自身は変わっていなくても彼女の環境はすっかり変わってしまい、彼女のためなら別れることになってもしょうがないと鮫島が思い始めた頃、ある女性が鮫島の前に現れる。

晶は勘のいい娘なのね。
だから鮫島に何があったかうすうすわかっている。
自分の置かれた状況も、自分の気持ちもわかっている。
だから彼女の行動はとても健気だと思える。
けれど運命の女性の方は、鮫島がどこに惹かれたのか実は私にはよくわからない。
だからこその運命の人なのかもしれないけれども。

そしてメインの事件のほうだけど、これもまた、23年前の事件と11年前の事件がそんなに現在の日本にとって大きな影響を与えると、私には思えなかった。
日本の政治状況も世界情勢も変わってるでしょ。

だから動機がわかってからはちょっと失速した感があるけれど、途中までは前作で逃亡したロベルト村上が再び鮫島の前に姿を現して、クレジットカード詐欺とコカイン密輸がどう係わっているのかとか、CIAや公安や日本の政治家や暴力団や凄腕の殺し屋がどんどん鮫島を追い詰めていくのがすごく面白くて、読むのを止められないわけ。
今回は作品の中ごろに、絶対鮫島が助からないであろう状況に追い詰められちゃってさ。
それで鮫島が死んだら残りの半分がないのはわかるんだけど、どうやって助かるのかが本当に想像できなくて、ドキドキものでした。

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2016年09月17日

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