あらすじ
外国人娼婦(しょうふ)殺害の現場に、植物防疫官の甲屋(かぶとや)が割り込んできた。日本の稲作を壊滅に追い込む害虫「火の蛹(フラメウス・プーパ)」が、殺された女性によって南米から持ち込まれたというのだ。鮫島(さめじま)は甲屋とともに、娼婦殺害に関わるイラン人の行方を追う。その男は、鮫島が内偵を進めていた窃盗グループの一員でもあったのだ。放火、拉致監禁……。さらに燃え広がる事件に、鮫島が立ち向かう!
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Posted by ブクログ
3つの事件が複雑に絡み、事件を解決していく鮫島。
他の本を平行して読んでいる為、ちょっと間を置くと、登場人物が多くて、登場人物の名が分からなくなる。
しかし、読み始めると、ぐいぐい引き込まれる。さすが、大沢在昌だ。
今回は防疫管とタッグを組んで事件を解決していくが、防疫管の甲屋さん、
なかなか、良い味を出している。
最後に、謎の不動産屋の社長?という大物らしき人物が海外へ逃げて行き、
この人物が容易ならざる人物だという含みを残して終わり、次回作に含みを
残している。気になるところだ。
Posted by ブクログ
構成がだんだん巧みになっていく。
今回はラブホテル連続放火事件と、コロンビア人娼婦連続殺人事件と、稲を壊滅させるほどの繁殖力を持つ害虫の蛹の確保という3つの事件が同時に進行していく。
鮫島は基本的にひとりで行動するのだけど、放火事件は消防庁と、殺人事件は機捜と、そして蛹捜索は植物防疫官と連携しながら捜査をする。
消防庁予防部調査課の吾妻もいいキャラクターなんだけど、植物防疫官の甲屋が本当に面白いキャラクターで、鮫島よりも押しが強いのには笑ってしまう。
研究者肌で公務員としてはかなり異質、けれど子どものような好奇心で鮫島の仕事に興味津々で付いてくる厄介なおじさん。
3つの事件はそれぞれに全く別なのに、少しずつ重なりながら終焉に向かう。
ともするととっ散らかってしまいそうなストーリーが、失速することなく最後まで。
殺人犯も放火犯も途中でわかるんだけど、このシリーズは犯人当てが目的ではないので。
どういう人間がそんな犯罪を犯すのか、そこにどれだけの説得力を持たせられるかが、このシリーズの肝。
そいう言った意味では、放火犯がどういう人間か途中で想像はついたけど、その心のうちの悲しみは静かに染みてくるものだった。