あらすじ
ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく――。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島(さめじま)。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津(きづ)を執拗に追う。突き止めた工房には、巧妙な罠が鮫島を待ち受けていた! 絶体絶命の危機を救うのは……。超人気シリーズの輝ける第1作!!
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Posted by ブクログ
今ではハードボイルド・ミステリーの大家となった大沢在昌が、まだ売れない作家と呼ばれていた頃に一発逆転を狙って執筆したのが、本作『新宿鮫』だ。結果として大ヒット作となり、その後も続いたシリーズは彼に直木賞をもたらし、映画化もされ、ヒットメーカーとしての地位を確立することになった記念碑的作品である。
初版の刊行は1990年代ということで、今読むと随分と古い描写も多いが、それでも面白さは全く色あせていない。というのも、主人公である鮫島の設定が抜群で、ミステリーとしての事件の面白さはもちろんのこと、彼のキャラクターを描くだけでも十分に物語を引き込ませてくれるからだ。
もともとはキャリア組の警察官僚であった鮫島は、転属先の地方で地元の刑事とトラブルを起こし、本庁へ戻ってくることになる。そこでいわば「組織からのはみ出しもの」になった彼は、同期の親友から公安内部の派閥争いの顛末を克明に記した極秘文書を託されており、いわば警察組織の中の「爆弾」のような存在となっている。
普通なら警察を辞めてもおかしくない状況だが、彼は自分が警察官として活動をすることに強いアイデンティティを感じており、キャリアでありながら一現場の刑事として愚直に活動し続けている。
そんな彼が混沌とした新宿の街で様々な事件に挑むのがこの『新宿鮫』シリーズなのだが、彼は決して無敵のスーパーヒーローとしては描かれていない。自分が監禁された時には死の恐怖に怯えることもあれば、命の危険に晒されて涙を流すこともある。強がってはいても、人間らしさを決して失わないのだ。
警察内部との陰湿な摩擦と、アンダーグラウンドな敵との死闘に身も心もボロボロになりながら、最後は事件の真相を解き明かす――これこそが本作の魅力を形成する大きな要素となっている。
一回り以上も若い美人シンガーの恋人がいたり、不条理なまでの苦難に見舞われたりと、いかにもハードボイルドらしいお約束の設定や時代感はあるが、今読んでもその面白さは変わらない。むしろ「携帯電話がない時代はこうやって捜査していたんだな」「ハイテク技術がないからこそ、人間が足で稼ぐしかなかったんだな」といったノスタルジーを感じさせられる。もはや古典とも言えるこの名作シリーズを、現代でも存分に楽しめるのは実に幸運なことだと思う。
Posted by ブクログ
元キャリア警察官の鮫島が、一匹狼の所轄の刑事として改造拳銃の製作者を追うストーリーが主軸。そこに歌舞伎町で起きる連続警官殺しが交わり、複数の事件が一つに集約されていく。
初めて読んだが、踊る大捜査線と似た印象を受けた。当時のミステリー界の状況はよく知らないが、作者はかなり警察組織を調査したのだろう。主人公が警察組織で冷遇されるプロセスや、単独行動せざるを得ない背景に説得力があった。
謎解きはメインではなく、物語を推進するエンジンみたいな役割のようだ。映画を見た後のような読後感だった。
最後まで飽きずに読破
前半の謎解き、後半の活劇。一気に読みました。新宿鮫はいつも時事ネタが入ります。今作もたっぷりつめこまれています。それが物語にリアルさを吹き込んでいます。終わり少しあっけないかな。それが良いところか、、、。星4にしました。