「私の名を残せ 王の名だ」
1450年代のイギリスでは、ランカスター家とヨーク家が王位継承をめぐる「薔薇戦争」を繰り広げていた。ヨーク公爵リチャードの息子として生まれたリチャードは、実の母に「悪魔の子」と呼ばれながらも、父や兄たちと王冠をヨークのものにするため戦っていた。一方ランカスター朝ヘンリー6世は、戦いで血が流れることに苦しみ精神を病んでいた。そんな2人がただのリチャードとヘンリーとして出会い、友情とも愛情とも言えるものが育っていく。互いの運命を知ったとき、2人は何を思うのか。30年に渡る戦いの中を生きる2人から、一時たりとも目が離せない…!
「他の人と違う」リチャードにとって「父の名をもらった」ということが、心の支えになっていたのは間違いありません。しかしそれと同時に枷にもなっていたのだと思います。父を自分の光であり、生きる意味だと考える彼が、その父の亡骸に対面し口づけたシーンには鳥肌が立ちました。王の名を継いだ者は、必ずしも王冠を求めなければいけないのか、一人の人間としてただ生きていくことはできないのか、リチャードの幸せは何なのか、多くのことを考えさせられる作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2021年06月27日
既刊の中で一番好きな巻。
ただ恐ろしく嫌な女だったマーガレットの印象が、アンへの言葉や大衆を奮い立たせる姿でだいぶ変わった。信念があって潔く悪い女はやっぱり目を惹かれる。
そしてエドワードも最初は本当に嫌な奴だったのになぁ...。いつの間にか好きになっていたキャラナンバーワンだった。幸せになって欲...続きを読むしかった。
最期、リチャードに愛を告げる空想とリチャードに殺される現実が同時に描かれたのが辛いけどうまい。何度も読み返してしまう。
Posted by ブクログ 2017年02月05日
あぁ……なんだかもう、次々と畳み掛けるように救いようのない悲劇。
リチャードも、ヘンリーも、エドワードも、
本当に小さな選択やタイミングが全て悪い方向に重なってしまった。
この物語に希望の光はあるのだろうか。
それにしてもこの作品に登場する女性はみんな一癖二癖ありすぎて恐ろしい。
マラソンで読めば影武者はたった一人しかない。
下克上。
業って残酷ね、マーガレット様。
エドワードが少し報われて、この世界は思ったより優しいな。
前半は、恐ろしいと思ってたマーガレットもやっぱ母親なんだなぁとか思ったり、
認めてもらいたくて頑張ってたランカスターのヘンリーが可哀想だったり、重いしツラいわ。
リチャードは兄ちゃん(エドワード四世)から残酷な命令されちゃうし、リチャードツラ過ぎ。
そんで母ちゃん(セシリー)怖い。
Posted by ブクログ 2021年03月08日
マーガレット、初っ端からクソみたいな女だなと思ってたけど、国のためなのか本当に息子のエドワードが可愛いからかは分からないが、エドワードの最期のシーンで叫ぶのは胸にくるものが…。エドワードとアンはいい友達だけど、エドワードを殺したリチャードはたぶんもうアンから好かれることはないんでしょうね…。完璧にす...続きを読むれ違うの……つらい…。
Posted by ブクログ 2018年05月20日
母親がなぜ、そうまでリチャードを嫌うのかイマイチよく分からないんだよなあ。
両性具有も、この時代は生まれてすぐは分からない気もするし……。
歯が生えそろってた、とかは初めて出てきたけど、確かにそれが本当なら恐ろしいかも知れないが。
そして、主要登場人物がどんどん死んでいく。