あらすじ
「一人の方が気楽だ」
変わらない日常に不満をもらす日々を送る、中学生の烏丸英司。
ある日、学校中で広まる「鳥男」の噂が、彼の“変わらなかったはず”の日常を大きく変えていくことに…!?
『結界師』の田辺イエロウが描く「SF×青春ジュブナイル」待望の第1巻!!
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中学生ってこんなだったかな
前作結界師が好きだった。前作と同じく中学生が主人公ということで似た空気感。ただしポジティブの塊だった前作主人公に比べ、コミュ障で勉強はそこそこできるけど運動音痴で家族とも上手くいっていない今作主人公が持つ空気は暗い。そこをスタートとして全体的にネガティブな空気が漂っている。
とはいえほぼ主人公一人が動いていた前作と違い「ゴレンジャー」的な作りなので、1巻終了時点で続々と仲間が揃いそこまで話自体は暗くない。会話のテンポは良いし色々と今後の展開を予感させる伏線が散らばっていてワクワクする。田辺イエロウさんはこういうシッカリした世界観(設定?)を持った作品の作り方が好きだ。
中学生男子の心理描写もリアル。ご多分に漏れず僕も中学生時代は鬱々とした毎日を送っていたので、「あーこんなんだったなー」と思わせられる所も多い。女子にチョー興味あるのに恥ずかしくて話しかけられないのをカッコつけて自分に言い訳してごまかすところとか。これでイエロウさん女性らしいからなービックリだよなー。ハガレンの荒川弘さんが女性って知った時もビックリしたなあ。どっちも女性作家でローティーン男子を主人公にしてて、錬金術とか呪いとか鳥ウイルスとか、リアルをベースにして超常能力をキーに物語を日常からずらしていくパラレルワールドみたいな作り、好きです。・・・年食ったせいか「みんな魔法使えます!主人公は秘められた才能を持った超天才です!モンスターは敵です!魔王は悪です!」みたいな分かりやすいファンタジーは素直に読めなくなった。こういう力はあるけどできることは限られてて一生懸命もがく若者の話が好きです。
個人的感想としては少年と呼ばれる年齢は過ぎたけどまだ子供心を忘れられない大人向けのジュブナイルってとこかなあ。